一緒に海へ行きし者は、身分違いの親友
身分の格差酷い世界で、エリューとリューカはなぜこんなにも仲が良いのかというと、リューカは公爵家の人間ですが、身分が格下でも才能のある人には平等に接します。まあ、公爵家なんですから優秀な者に身分はとらないんでしょうね。ついでに言うとエリュークスは、前世のセシオンの時に濃すぎる人間に接しすぎたせいで身分に鷹揚です。そのため、帝国の皇女とは仲が良いのですが、皇子とは、仲が悪いのです。
私達が来ている公爵家の直轄領に含められているこのエリュークス大海は、貴族の所有するプライベートの中で最も広く大きい大海原である。この海では、漁れる魚は大きいものだと人の身長の5倍ほどはあるうえに、魚は身の引き締まっているので、美味で有名なのだ。エリューを説き伏せるために使ったのは、毎年ここで一緒に泳ぐ代わりに漁れすぎて逆に処分に困る魚をエリューに押し付けることが可能という一石二鳥の策なのだが、エリューはそれに気づかず満面の笑みであった。
とりあえず、海に出る前に更衣室で水着へ着替えているとエリューは魔術の詠唱を何重に重ねている。
「何やっているのですか?エリュー」
「日除けと海に出て無事で家に帰ることが出来る“シアワセ”の御呪い」
「何だか含みのある言い方だね」
私は、その言い草に思わず好奇心をくすぐられて、エリューに首を傾げて問いかける。
「うん、これは“シアワセ”の御呪いなんだけれども、御呪いである以上はデメリットもあるわけで、そのデメリットが『一週間、露出度が高くなるうえに一歩も家から出ることが出来ない』という地獄の御呪いでね」
「それ、露出狂で引きこもりだったら、デメリットじゃないよね」
「うん、だからこれはワタクシだけ。当人が一番友人がいる時でしたくないこと、と言うのがデメリットなのさ」
エリューは、腹に一物ありそうな笑顔でそう言うが、私は、エリューにとっての嫌なことってそういうことなのか、とも思う。
エリューはフリルたっぷりで今しか着ることが出来なさそうな子供らしい水着に着替えて砂浜を駆け抜けて、海へとダイブ!
「ちょっと、エリュー、準備運動しなさい」
「アハハハ、ごめんにゃさい。だって、こんなにも暑いんだよ。リューカってお母さんみたいな時あるよね」
エリューに思わず口を尖らせて言うと、エリューは茶化してくる。
エリューは、渋々海から出てきて、準備運動を黙々と始める。私もエリューと共に準備運動をしていく。
エリューは私と一緒にいるときはいつも笑顔だなあ、と思いながら二人で一緒に海へとダイブする。
海へ入ると、冷たい水が太陽で火照った身体を冷やしてくれると言うわけは無くて、むしろ想像していたよりも冷たくない。
「まあ、いいや。エリュー、次はスイカわりね」
「うん、一緒にしようか」




