親友といっしょに遠足に行く
遠足に行く予定地は『アドリュファン果樹園』
アドリュファン果樹園は、ここ30年の間王國ニヴルレイム学園の一年生の遠足に行く場所へとなっており、風光明媚でブドウ狩りなどが有名である。基本的に果樹というものは異常成長していない限り王國ニヴルレイム学園の一年生でも倒せるような弱さでしかない。
リューカこと私は『“バス”』に今世で初めて乗っているが、隣の席のエルクは激しく乗り物酔いを起こしていた。吐きそうになりかけて、留まり、また吐きかけるという悪循環。
(今頃、エリューはどうしているかな?)
乗り物に滅法強い私は外の景色を楽しんでいた。
一方その頃、エリューことエリューカは神様に作られたカラダなら乗り物酔いをしないだろうと思い、そして乗り物酔いの薬を買うのを忘れていたアイやシニョンに行かせるのも躊躇ったエリューは後悔し尽くしていた。異常なまでに頭もフラフラして、アイギスやシニョンに介抱されながら早く横になって眠りたい。
「もう、疲れたよ。お休み」
そう言ってエリューは気を失っていた。
私が着いた時にエリューの姿を見つけたので声をかけようとすると、酷い勢いで吐瀉している。
(あ、エリュー。乗り物酔いでまともに話せそうにないや。また後で話そう)
果樹園の管理人さんが話しをしている最中に、果物が私達の方に飛び込んできたが、管理人さんは一瞬の早業で果物を傷めないように捕まえて、管理人さんは「ごめんよ」と謝ってくる。
果物狩りが始まった時にエリューの方を見ているとメイドさんのような女性がエリューの手の届かない高い枝にあるブドウを凄い勢いで取っていく。管理人さんは「おー、あれは伝説のハサミ。魂狩鋏。ドワーフ公ダイダラボッチ様が作り上げた逸品ではないか!」
「「「なにそれ?」」」
みんながそう言うとメイドさんはこう返す。
「ご主君様のお祖父様が、ワタシにくださった物でございます」
エリューは満面の笑みで、ありがとうと言ってくる。
一方その頃 神界では
「エリューの苦手なものってあったんだにぇえ」
破壊神が素に戻ってそう言うと創造神は相方に返す。
「当たり前だろ。怖いもの、苦いもの、辛いもの、龍以外の乗り物。他色々とありすぎるぜ」
「それで殺されるとかはないのにぇう?」
「当たり前じゃろ。我等が久々に本気で貼った結界を壊せる奴なんておらんぞい。ただし、あの子はそれで殺される事はなくても隙を作ってしまうからのう」
「じゃあ、乗り物酔いの薬とか用意しておこうかね?」
「そうじゃの」
神界では積み上がった書類を一瞬にして精査して片付けながら愛しい存在たちを優しく見つめている。