番外編 ドン・エリューカ・セシオン
僕の大好きなキャラ。
お知らせ 【pixiv】で600作目のssを書き終わりました。
ドン・エリューカ・セシオンは、最後の時まで知らなかったが、ウィルクネーゼ家の長男になるはずだった。自分と家族の数奇な運命を理解したのは、死ぬ直前であった。
ドン・エリューカ・セシオンの本当の父は公爵家は公爵家でも大公爵家である。その話について語るためには、ウィルクネーゼ家の家族事情を話さなければならないだろう。
ウィルクネーゼ・キュイ・リューカの母であるウィルクネーゼ・キュイ・リルルは慣れないところに嫁いだせいか、リューカが2歳の時に病を患い、他界した。その頃の記憶はなくて、彼女もお母さんについて語らないのは、そのためである。元々一人しかウィルクネーゼ・キュイ・クゼオスンに妻がいないと思われがちだが、愛している妻はもう一人いた。メイドの彼女達を雇い入れたのも、彼女の世話をするためであった。慣れない環境に連れてきてしまった負い目を抱え続けていたクゼオスンは冒険者の中でも猛者の彼女たちをポケットマネーで雇い入れる。そうまでして愛していた妻の名をウィルクネーゼ・キュイ・ラルルといい黒鬼族の一族を束ねし長でありながら、差別を避けるためにスラムに住み着き、スラムを守り続けていた冒険者でもあった。彼女とリルルとクゼオスンが出会ったのは【大暴走】と呼ばれる魔物が活性化してユニークモンスターも暴れまわるという厄介な事象。食い止めた際にリゼリオンに一目惚れされて黒鬼族であることを知りながらも愛してくれた彼に二人とも嫁いだが、その運命ははっきりと別れた。ラルルは、慣れない環境と過度のストレスで子供を流産させないために、元いた場所の馬小屋で出産したのが、創造神と破壊神に愛された少年。ドン・エリューカ・セシオンである。
セシオンが死んだ日、クゼオスンはお気に入りのワインをお気に入りのグラスに注いで涙を流しながら叫んでいた。クゼオスンは自分に息子がいたことを知っていた。文通で届いてきた息子の存在。会いたくて、会いたくて、たまらないが、それを伝えに行くことのできないもどかしさと共に彼をいつか長男として迎え入れようと思って、男の子用の服を用意していたのに……
白い空間の中で......
ドン・エリューカ・セシオンことセシオンは、死んだ後に創造神と破壊神が最高の壊れない身体を作ろうとして産み出した幼女の身体と記憶を詰め込んで学校に通わせる。
いつか、また逢えたなら君には幸せを味わって欲しいのである。だって、私達の凡ミスで幸福に生きることを許されない彼にも、一回ぐらいは本当に幸福な日々を味わったっていいだろ。