料理長ルドガー
料理長ルドガーは、元々公爵家の領土の城下町に産まれてきた。公爵家当主のウィルクネーゼ•キュイ•クルゼオンは、良き治世で、平和に暮らしていたのだが、16歳の時、口減らしのために親から言われて冒険者ギルドに冒険者登録をした。
冒険者ギルドでH級から、地道に始めていった。
H級冒険者としての活動は、街の掃除や、ボランティア活動のようなことで一年間根気よく続けていった。その時から料理の勉強を始めた。料理のために、解体スキルをとるためにG級にまで上げて、準備に準備を重ねてゴブリンの討伐に挑んだが、ゴブリンの巣にいたのは、ホブゴブリンであった。勝ち目がないと瞬時に悟り、撤退しようと買っていた隠蔽用魔道具を使い、逃げ切れたが、一歩間違えれば死んでしまうと思って、冒険者ギルドから脱退した。準備してきたもの全ては、安値で買い叩かれたが、一泊ぐらいの銅貨にはなった。
その後、大衆食堂『アノードア』で働き始めて、料理の腕を磨くために修行し続けて店長に認められた俺は、食の国とも呼ばれる東の国ミコトに料理修行の旅に出かけることに決めた俺は店長にそのことをいうと快く許可してくれた。
俺が始めて東の国ミコトについて思ったのは、煌びやかで、美味い飯の匂いがそこらかしこにするのだ。俺は近くの屋台で、豚を特製のタレで焼いた串を試しに買って食べてみたのだが、それがもう一本もう一本と食いたくなるような味なのであった。俺は、店長に紹介された娘婿の弟が経営しているレストランとやらに紹介状を携えて、緊張しながら店に入ると閑古鳥が鳴いていた。店長の娘婿の弟さんは、俺の顔を見ると大喜びで、自分が編み出した料理本をくださり、ミコト語も教えてくれたのだ。俺は、その期待に応えるべく修行を重ねてこの料理店を行列店にするべく、チラシを配り、周りの人と交流しながら地道に地道に勤め続けること約30年であった。今では有名店になり、俺が店長になったが、部下の教育はやめたことがなかった。そんなある日、俺を大切にしてくれていたお袋が亡くなったと訃報が入り、俺は、部下に店を任せて家に帰ったが法事に間に合わなかった。俺が見たあの頼もしい親父は老け顔できっかり死相が浮かんでいた。俺は親父を見て、なんとか料理で慰めてあげれないかと思った。
(今まで親孝行もできていなかったんだ。親孝行を今しないでいつ出来るだろうか。いや、できない)
俺は、部下に手紙を出して独立させた。
今まで稼いできたお金で実家をお店に改築させた。親父に休ませて働いていたのだが、今から思えば他の人のことを考えずに働きすぎたのだろう。俺は、そのあとに過労で数週間ほど入院していたのだが、部下の料理人たちにも教えていたのだが、心配で心配でたまらなかった。俺が退院してきた頃には、親父が大きな病にかかり、普通の薬では治らなかったのだが公爵殿下がこう言った。
「お前があの料理人ルドガーだな。お前が料理人として俺の元に来るなら、お前のお父さんも家族も全員雇ってやろう」
公爵家には、料理長がいたが、老衰で亡くなったと聞く。育てていた弟子たちも、料理長の腕は受け継がれずに困っていたらしい。そんな時に公爵殿下は俺のことを噂で聞き、信頼できる部下に俺の店で料理を食べに行かせて、その部下からの情報で俺を雇い入れることを決めたらしい。
公爵家といえば、古今東西の美味しい料理の材料が揃っているらしい。俺はそのことを親父たちに話すと皆が背中を押してくれた。
俺はその時に決めたのだ。
公爵家の料理人となり、いずれは料理長へと昇任しようと...