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春風に睨まれて

作者: 猫背次郎


春風に睨まれているような気がした。


私は全て知っているぞと言わんばかりの風だ。


いや、言っている。睨んでいる。その罪を告白せよと。


そう言っていた。



俺は卒業した。あれらを告白せぬまま。俺はのうのうと生きてゆく。


理由などない。ただ云わなかったのだ。言えなかったともいうのかもしれない。


ずっと好いていた人に、結局、胸の内にあったものを伝えられなかった感覚と似ているのかもしれない。


あっただろう? そういうこと。


俺も同じさ。


君も同じさ。


皆も同罪さ。


俺ひとりが悪かったのか。


いいや、ちがう。


俺だけが悪いんじゃない。


なら、なぜに俺だけが自ら告白をし、咎められねばならない?


おかしいじゃないか。


そうだ。だから俺は言えなかったのだ。


それを告白することはおかしいことだから、言わなかったのだ。


そうにちがいない。


なぁ、そこの君もそうだろう?


わかるだろう?



時がどれだけ過ぎていっても、依然として春風は俺を睨めつけている。



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