表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他問自答  作者: わたる
1/1

自分から見た自分と他人から見た自分

1)プロローグ

「お願い。わかってよ!」と、目の前の女性の目からこの3年間の想いが涙となって溢れ出している様をただ呆然と見ることしかできない私は「それはお前だって自己中だろ!」と彼女に対して割と強い口調で言ってしまったことを思い出してしまい目の前の少し、ほんの少し前までお互いの愛が実感出来ていた女性の別れの言葉を受け入れることしかできなかった。

だが、この感情は別れの悲しさや喪失感だけではない。

きっと流れる涙を止めることもできない程の別れの言葉にも彼女なりの愛を感じることが出来ず自分勝手の想いを思い出したことに対してのやるせない気持ちや自分自身に対してのがっかりした気持ちもあるのだと思う。


寝返りをうったのか目の前に思わず反対に寝返りをし直した程の西日で起きた。

もう別れてから半年か、、、

「あんた、学校ないのはわかったけどバイトでもなんでもしなさい!人としてダメになるわよ!」

と、日頃の様々なストレスを注意することをいい理由にぶつけてくる母親の声で二度寝したい気持ちがなくなり起きることにした。

学校ないと言われたのは現在、某国立大学の法学部4回生ということもあり単位が取り終わりほとんど学校に向かうことがないからである。

昔から口を開けば論理的に相手の話を覆してしまう性格もあったが大学で法律を学んでいくうちにこの性格に拍車がかかり親との口論も絶えずここのところ居心地が悪いものだ。

「なんでだよ、ちゃんと親の言う通り国立大学には入りしっかり単位取ってきたじゃないか」

ふとつぶやきたくなる毎日だ。


だが、これがどうして一度恋愛になると上手くいかないものなのか。

口論も説得も恋愛も相手があって成り立つもの。

なのに、これがどうして恋愛だけ、、、。

3ヵ月ぐらい前まではまゆみが夢に出てきたりふと記念日の予定を考えてしまったりまゆみがいる前提の瞬間があったのにここ最近ではそんなことはなくなってしまった。

友人に言えば「3年も付き合ってたんだ。仕方ないだろ。」だとか「やっと吹っ切れたんだな、案外早かったけど毎日暇なんだし女の1人や2人ぐらい見つけたらどうだ?」

と、言ってくるのだ。

正直、私も早く次の恋愛に進まなくてはと行動したこともあるがそこで名前の同じ”まゆみ”という名前の女性なら呼びやすいしその女性ことを”まゆみ”と呼び間違えることもないと考えたのだ。

だけど、それでは本当の意味で次の恋愛に進んだとは言えない。

だからこそ今は恋愛のことを考えることはやめた。やめたからと言って卒業するまでの半年間はいたってやることもないのもまた事実なのだが。

そんな22歳にもなろうとしている大学生の遅めの反抗期のような朝を迎えたわけだが今日何か予定があるかと言われたらあると言えば嘘になりいたって布団の上で横になりながらスマートフォンのゲームだったり流行りのSNSで目が合い無視することが理性に反するが故に挨拶をする程度の間柄の友人との書き込みを見ては寝ることを繰り返すだけだ。

それが今の私にとっては居心地の良い時間の過ごし方ではあるがどこかきちんとそれは怠惰でしかないこともわかってはいたがどうにもその怠惰から抜け出せない自分を許してしまう。


そんな時間にふけっては何度目の目覚めかわらないがSNSを見ているときに”友人”について考えいた。

SNS上の人を友人と呼ぶには自分自身に友人と呼べる人物が少なく見栄を張っているような嫌悪感に苛まれてしまう。

かといって、胸を張って友人と呼べるのは入学式のときに満面の笑みと少々近寄りがたいほどの元気な様相で話しかけてきた、やまこうこと、山田浩二ぐらいである。

元より高校以前の友人とはそれぞれの進学山田サークル、就活などとあり中々連絡をとれないでいる。

まあここ3年間の日々を基本的にはまゆみ、そしてやまこうこと、強いて言えばアルバイトの人ぐらいにしか費やしてこなかったせいもあるわけだが。

そのほかの親しい人間関係については今はまだ整理できないし、したくないのである。

自分の友人の少なさと友人とは一体何がなどと考えているうちに時計の針は11時を指そうとしていて遅めの朝ごはんを食べることにした。


下におりると両親が仕事に出たため一人暮らしの様な気分になれるのが心地良かった。

台所に行き冷蔵庫の中をとりあえず見ることにした。

自分で言うのもなんだが、割と料理には自信があり高校生の時当時付き合っていた彼女をクリスマスに実家に呼び自分の家族と食事をして食事全て一から作ったこともある。

そんな過去の自慢はさておき今となっては実質無職のような21歳の11時の朝ごはんである。

冷蔵庫の中を見て卵とソーセージで空腹を満たそうと決めた。

ソーセージは焼くより茹でる方が好きなので鍋に水を張り火にかけ沸いてソーセージを入れるタイミングで目玉焼きに取り掛かろうと決めた。

そうこうして目玉焼きと茹でたソーセージを1つのお皿に盛り付け白いごはんをこれまでもかと山盛りにし汁物が欲しいと茹でていたお湯でインスタント味噌汁も用意した。

普段なら2階の自室に持って行き部屋に篭りながらパソコンを開きながらとまあいくつものながらでごはんを食べるのだが今日いつもと違う。

そう、撮りためたドラマを見るためだ。

ドラマもいたってながらなので何一つ変わらないことに。


2)理想と現実

こうして学校に向けて歩くのは何日ぶりだろう。

ここ最近学校へ行く予定が少なくなったのも正直あるだろうが、私の素からまゆみがいなくなり「心の中にぽっかりと穴があいた」とは、まさにこのことなのかとも思うがそんな言葉じゃ今の自分の気持ちを表現はできない。

表現できないのではなくもっともっと悲しいと「悲劇のヒロイン」や「かまってちゃん」を演じているのであろう。

あの日あの別れの後程なく彼女との連絡手段をいくつも失った私はSNSから彼女にメッセージを送った。

「こんばんわ。あれから1週間ぐらいいろいろ考えよ。俺にはオレオ気持ちがある。

ただ、今はまゆみの気持ちを受け入れることにした。でも、これからもずっとまゆみのことが大好きだ!

そのことは変えられない。だから、いつの日かまたまゆみが俺のこと認めてくれて好きになってもらえるような努力をする。俺は俺なりにこれからの生活自分自身後悔しないように過ごしていくよ。俺はまゆみの人生3年間無駄にしたと言われたよね?なら、6年いや30年以上幸せにしてみせる!って胸張って言えるような俺になって帰ってくるからその時またその時また笑って目玉焼きには醤油だのソースだの笑って話せるといいな。最後にまゆみは強くて周りからも頼られるしっかりとした人だよ。でもどこかで無理しちゃうとこあるからくれぐれもも身体には気を付けてお過ごしください。」

と、メッセージを読み返しているうちにこのメッセージは自分自身に向けて送っているな。とまた1つ悲しみが増えてしまった。

このところ、彼氏彼女など関わらずに何が相手にとって何が必要で相手が何を求めていて何が自己中心的な行動なのかと思うとこがある。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ