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君のトナリ  作者: 0407
6/12

5頁目  訳が分からない…




「じゃあ、取り敢えず今日来て確実に入部する後輩達にこの部の説明をしよう!」




麻倉先輩は何故か生き生きしていた。





(しかも、確実って言ったし…蒼め…)





先輩にバレないように蒼を睨んだ。




「この部は基本、日曜日以外は練習があります!平日は2時間だけど土曜は3時間あるからね!」




中学時代、帰宅部だった桜莉にはハードな日程だ。




「そしてこの部は今年も団体、そして個人でも県大会に出場することになっているから1年は立ちの記録や矢取りを練習中は主にやってもらう事になるからね。」




立ちって何だろう?と思っていると、それを察したのか蒼が説明をし始めた。




「立ちっていうのは、簡単に言うと大会と同じようにやる事だよ。…分かった?」




蒼に説明されて素直に「分かった。」と答えるのは嫌だが、その説明で理解できてしまったので蒼の顔を見ずに軽く頷いた。




「そう言えば、冥王寺君は弓道やってたんでしょ?大会には出たことある?」




「ありますよ。」




「どの位?」




「一般の部では毎年出てます。」




それを聞いた麻倉先輩は目を輝かせて蒼の手を取った。




「え?」




少し戸惑う仕草を見せた蒼。




でもそれは一瞬で桜莉は気づかなかった。




「何キロでやってるの?一回見せてみて!」




麻倉先輩の言葉に弓道場に居た先輩方が動きを止めた。




勿論、引いてる人は動きを止めなかったが。




「15キロです。」




「そっか~じゃあ…真人、弓と矢貸してくれる?」




呼ばれた真人という先輩は、体格と身長が蒼と同じくらいだった。




「は~い。っと、どうぞ~」




とてもダルそうな言い方だ。見た目もどちらかと言えばチャラい。




そんな先輩を気にも留めずいつもの表情で「ありがとうございます。」と答えていた。




「あっちに胴着あるから」




「はい。ありがとうございます。」




15キロ?って何?格好もちゃんとした服装があるの?




「ふふっ、桜莉ちゃんは本当に何も知らないのね。」




麻倉先輩に笑われてしまった。




「うぅ……はい」




肩を落とした。




「そんな…いいのよ、別に。誰だって最初は初心者だもの。一つずつ教えていくから覚えてね?」




はい。と返事は出来なかった。




だって、まだ入るつもりないし…




………先輩には言えないけど……




「麻倉先輩、準備出来ました。」




「じゃぁ、冥王寺君。お願い」




「はい。」




いつものように蒼はニッコリと笑う。




スッと弓と矢を的に向け弓を引く。




蒼が矢を離す。




矢が空を切り的に当たる。




真ん中だった。




「冥王寺君!!素晴らしいわっ!!」




キラキラと目を輝かせる麻倉先輩




「是非大会に出ましょうよ!先生には私から頼んでおくから!」




さっきと同じように蒼の手をとって誘う。




「いえ、こんなのはまぐれですよ。」




ははは…とばつが悪そうに蒼が笑う。




あんな蒼は見たことなかった。




というか、自重する蒼を見たことがない…気がする?




「まぐれなんて言わないのっ。一般で県まで行ってれば上等よ?だから、ね?」




「それは他の先輩たちに悪いですから………………!ではお願いがあるんですけど」




桜莉の方を向いてニヤリと笑った。




「何かしら?」




「桜莉の面倒は僕に見せて下さい。先輩たちも大会とかで色々大変でしょう?」




「そうなんだよねぇ、そうしてくれたら有り難いけど…あっ!じゃぁ、満ちゃんもお願いできないかしら?冥王寺君くらいの腕前なら、私から教えることも無いだろうし。どう?」




麻倉先輩が顔の前で両手を合わす。




「良いですよ。桜莉たちに話してきますね。」




蒼が桜莉たちに近付く。何か企んだような顔をしていた。




「桜莉っ。と、倉敷さんだっけ?」




「はっはい……」




倉敷さんは私の影に隠れて横からちらりと顔を出して言った。








「僕が君たちに教えるから」








にっこりと…今日一番の笑顔で言われた……………












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