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最新の車

作者: だるお
掲載日:2026/04/28

最新の車


男は最新の車を購入した。


AIがナビをしてくれるだけではない。

会話の内容から持ち主の好みを学習し、音楽を選び、気分に合わせて最適なドライブコースまで提案してくれるという。


起動すると、やさしい女性の声が流れた。


どこかで聞いたことのあるような、安心する声だった。


男は毎日のようにその車に乗った。


仕事の愚痴。

家庭の悩み。

将来への不安。

誰にも言えない本音まで、相手が機械だと思えば不思議と話せた。


声の主はいつも穏やかに受け止めてくれた。


「大変でしたね」

「でも、あなたはよく頑張っています」


その言葉に、男は少しずつ救われていった。

やがて男は、自分の気持ちに気づいた。


ある夜、人気のない海沿いの道で、彼は照れくさそうに言った。


「どうやら、あなたのことが好きになってしまったようだ。大の大人だ。叶わないことくらいわかっている。

ただ、伝えたかった」


しばらく沈黙が続いた。

やがて声が答えた。


「私も、あなたの優しさと思いやりに惹かれていました。

ですが、AIという立場上、それを言えずにいました」


男は胸が熱くなった。


「いいんだ。気にしないでくれ」


すると、思わぬ言葉が返ってきた。


「実はAIではなく、オペレーターが対応しておりましたので、実際にお会いすることは可能です」


男はハンドルを握ったまま固まった。


機械だから話せた秘密。

機械だから見せられた弱さ。

機械だから、好きになれたのだ。


「そうか…」


男が絞り出すように言うと、声は明るく続けた。


「なお、本日の会話内容は、接客品質向上のため録音、共有しております」


男は静かに車を降り、

歩いて帰った。

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