第9話 「はてさて・・・」
「久保君・・・なんで・・ここにいるの?」
「あっ・・いや・・・・」
どもる恭介・・・
それを見た勇気が気を利かして
「久保さまは、2日前に来店して・・・。」
野村は、少しいい気がしなかった。
「ふ~ん」
あせる恭介・・・
どうしよう・・・
さすがに女装したなんていえないし・・・
「この間は、ちょっとあせって・・・男が美容院て・・・・・・わかるだろ」
恭介は言い訳を言った。
その言葉にに勇気は少しぴくっとなったが。
「野村さま、すみません・・ここのお店は、男性の方も来店します。」
そう言って、恭介のフォローをした。
「知ってるわよ・・・で?何で服を?」と野村が聞くと・・・
「服のコーディネートもしてるんです。久保さまは、服を着てあわせた後、
自分の服をお忘れになったんです。」
勇気はスラスラとうそをついて見せた。
「まぁ~いいわ!」
野村は釈然としないまま、店に入って行った。
恭介は、しまったと思いつつとぼとぼ、家路についた。
野村は、折角先輩に予約してもらったんだから・・・
とりあえず、やってもらうことにした。
席に座ると、勇気以外の人がついた。
「あれ、勇気さんじゃないの?」と野村が聞くと・・・
店員は少しむっとして、「勇気は、基本的に常連さんと男性だけよ・・」
「あれ?山本さんの紹介できたんだけど・・・」
「山本さん?ってはるかさんのこと?」
「はい・・・」
「はるかさんの担当は、わたしよ・・」
「そうなんですか?じゃぁ、勇気さんと仲いいみたいだけど・・」
「えらく勇気のことが気になっているみたいだけど・・・」
「いや、べつに・・・私は、女の人に興味はないわ・・・」
店員は手を止めていった。
「変なこと言うわね・・・」
「変なことって?」
「勇気は、おとこよ・・」
「うそ!」と野村は動こうとしたので、店員は作業を止めた。
「信じられない・・・どう見ても、・・」
「女の子に見えるでしょ?」
びっくりした表情まま、コクリとうなずく野村・・・
店員は、続けた・・・
「そう見えるわよね、でも、勇気はゲイじゃないわよ・・・」
「え?」と野村は、頭の中が混乱した・・・
しかし、
調髪が始まり、
店員の腕がいいのに気づき、この店が気に入った
そして
思い切って久保のことを聞いた。
「一昨日、久保って男性が来てなかった?」
「あっ・・・さっき服取りに来た人!!」
「そうそう・・・」
「あの人ね・・」
店員が話そうとすると勇気がゴホンと咳払いをした。
「あっ・・・」と店員が言葉を詰まらせた。
「どうしたんですか。」
「あの人ねぇ、自分の服を忘れた行ったんですよ。本当にまぬけですよね。」
「そうだったんですか・・・男性客って結構来るんですか?」
「そうね、勇気がしっかりとしてるから、特にデートの前に来る人が多いみたい・・・」
「そうなんですか」
野村は少し気が重くなった。