第2話 「ためいき・・・」
はぁ~とため息をつく恭介・・・
そして
立ち上がり廊下をとぼとぼと歩く・・
向うで渡辺がにやついて立っていた。
「なべ! 俺をだましたな!!」
恭介は渡辺に近づいて行った
「いや、おれは、野村さんが入ったのを見たと言っただけだ・・・」
渡辺は目をそらして言い訳を始めた・・
恭介はその態度と言葉に、あきれた・・・
「じゃぁ、次は俺が野村さんでもお誘いするか・・・明後日の金曜でも・・・」
渡辺はかっこをつけて言った。
「それで断られたら、なべは、あきらめろよ・・・」
「俺が断れるとでも?」
恭介はうなずいた。
「まさか・・・」
渡辺は恭介の顔をみた
「約束だぞ・・・」
そう言ってにらむ恭介に・・・
「わかった・わかった・・」
渡辺の適当な返事を聞いて、
恭介はため息をついた。
「ところで・・・・どうしたその顔?ひょっとして・・・やまもとさんに相当、しぼられたんか?」
「そうだよ・・・」
恭介は渡辺を置いて、事務所に戻った。
そして、さっきのことを思い出した。
にこやかに話しかけてきた山本
「じゃぁ~、合コンに出てくれる?」
「えっ・・・」
絶句する恭介、まさか、合コンに誘ってもらえるとは思っても見なかった。
しかも、次の一言が恭介を地獄へ落とすとは夢にも思わなかった。
「今週金曜の合コン・・・るみちゃんも来るんだけど・・・・」
「はい。」
野村さんも来るんだ。そう思うと思わず元気よく返事してしまった恭介。
「はい。っていったわね・・・」
山本は恭介の両肩に手を掛けにこやかに話しかけた。
「はい。」
山本の雰囲気を気にしつつも、恭介は再び返事を返した。
「そう、よく決断したわね・・・・実は、女の子が一人足らないの。」
「えっ~」
「”え~っ”じゃないわよ、今、”はい”て言ったわよね・・・」
恭介両肩握る手に力が入った。
「でっ・・・でも・・・それって・・・ひょっとして」
「そうよ」
にんまりと笑みを浮かべる山本・・
「女装をしろ・・・と」
山本はこくりと首を縦にふった。
「わ~っ」
叫んで恭介は逃げようとしたが、
両肩を抑えられた状態で逃げることができない
ただ
その場でじたばたするだけだった。
「るみちゃんに言おうかしら}
山本の一言は、恭介の動きを止めた。
そして、
「さっき、何でも言うことを聞く・・・て言ったじゃない。」
山本は問い詰めた。
「でも、それと、これとは・・・」
「じゃぁ、るみちゃんに言ってもいいわよね」
恭介は、目をうるまして首を
横に振る・・・
「じゃぁ、でてくれるの・・・」
山本が再度たずねた。
恭介はついに観念した。
「はい・・・」
うつむいた・・・・
無理やり恭介の承諾を得た
山本はにこやかになって
「ところで、久保君は、メイクとかしたことあるの?」
「いえ」
「そうよねぇ、女装といっても、ウィッグつけて、女物の服着るくらいでしょ?」
「はい。」
「じゃぁ・・・」
山本は、メモに何かを書き、
恭介手渡した。
「これは?」
「合コンが、あさってだから・・・明日、明後日とここに行って」
「ここは、・・・」
「フランって美容室・・・ここの勇気ちゃんに頼んどくから。」
「頼むって、何を」
「当然、あなたの女装を・・・それと携帯教えてよ・・・」
お互い携帯番号の交換をすませ、
山本が立ち去ろうとしたら
「明日チェックしに行くから。ちゃんと行くのよ。」
恭介は山本に念を押された。
最悪だ・・・・
恭介は再びため息をついた。