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第1話 スキル授与

 今日で俺は16歳になる。


 ついに俺にもスキルが与えられるんだ!


「ラントさん。中へどうぞ」


 心の中で歓喜の声を上げていると教会から出てきたシスターさんに名前を呼ばれた。言われた通りにシスターさんについて行き中へ入る。


 歩いていくとステンドグラスの色鮮やかな光が差し込み、神聖な雰囲気を醸し出している広い空間に着いた。

 奥には世界中で信仰されているスキルの神、ファクルタースの像が鎮座している。


「では我らが主神ファクルタース様に祈りを捧げてください」


 シスターさんに言われた通りに像の前で片ひざをついて両手を胸の前で組み、目を閉じる。


 ファクルタース様……どうか俺に戦闘スキルをお与えください。


 両親は他界し、妹のラナは難病を患っていて治療や生活のために俺がお金を稼がなければいけません。


 俺がギルドに加入し、報酬が高額な戦闘依頼を受けるためにどうか戦闘スキルを――。


 すると突然辺りが光に包まれ、それと同時に自分の新たな力の誕生を直感した。


 光が収まったのを確認すると同時に俺は立ち上がり、シスターさんの方に振り向いて尋ねる。


「俺に与えられたスキルはどんなスキルですか」


 とにかく戦闘スキルが望ましい。特に攻撃系のスキルだと最高だ。


「私の[鑑定]によるとあなたのスキルは……[植物]ですね」


「……ショクブツ?」


「はい。[植物]です」


 シスターさんが普段通り抑揚のない声で答える。


「ショクブツって草とか木のあの植物ですよね?」


「はい。その植物です」


 なるほどなるほど植物か。

 ――いや植物でどう戦えって言うんだ!

 明らかに戦闘スキルじゃないだろコレ……。


「[植物]は具体的に何ができるスキルなんですか?」


 とはいえ早合点は禁物だ。

 もしかしたら戦闘にも使えるスキルかもしれない。


「植物の探知、操作、成長促進ができるようです」


 完全なる外れスキルというわけではないようだが、望んでいたものとは似ても似つかない。だが、植物操作は他二つに比べれば戦闘に使えそうな気もする。

 ……まあ試してみないことには推測の域を出ないが。


「そうですか……ありがとうございました」


「はい。あなたに神のご加護があらんことを」


 そうして一生に一度の神授の儀を終えた俺は教会を後にしてギルドへ向かった。



◇◇◇



「よし着いた」


 俺とラナが住んでいる街――アンゼプアの中心部に位置するギルドに到着した。


 依頼を受ける以外に飲食も楽しめる場所であることから昼夜問わず多くの冒険者が集う活気に満ちた建物だ。


 さっそく中に入る。


「ガハハハハ! 昨日ホブゴブリンを十体ぐらい倒してたんまり稼いだからな! 今夜一緒に飲もうぜ! もちろん俺の奢りでな!」


「さっすが守護の巨人プロテクティブタイタン! 今度の戦闘依頼が終わったら次は俺に奢らせてくれよな!」


 普段通り中は多くの冒険者で賑わっていた。依頼を受ける者、仲間との会話を楽しむ者、戦いに備えて武器の手入れをする者と様々だ。


 はやく依頼を受けるためにも、まずは受付に行って冒険者登録をしてもらわないとな。


「こんにちはレセプスさん。冒険者登録をお願いします」


「あら、ラントくん。ついに16歳になったのね」


 レセプスさんがかけているメガネを外しながら言う。


「私に冒険者の事をたくさん質問しに来ていたあのラントくんがついに冒険者になるだなんて……なんだか感慨深いわ」


 レセプスさんは腰ほどまで伸ばした浅緑色の髪に付けたリボンがトレードマークの受付嬢だ。


 いつものようにギルド職員の制服を身にまとっている。

 ちなみにメガネは伊達らしい。

 理由はかけていると仕事に集中できるからだそうだ。


「そういえばどんなスキルを授かったの?」


「それが……[植物]というスキルで戦闘向きではなさそうなものなんです。試してみないことにはまだわかりませんけど」


 それを聞いたレセプスさんが眉をひそめた。


「そうなの……それは残念だったわね。でも冒険者にはなるんでしょう?」


「もちろん! そのために来たんですから」


 明るめの声を出してそう言うとレセプスさんの表情に笑顔が戻った。


「それじゃあさっそく冒険者登録をしましょう。本来ならギルドについて説明があるんだけど……ラントくんなら大丈夫よね」


「冒険者には階級があってS級、A級、B級、C級、D級、E級、F級と区分されることや、戦闘依頼を受けるには階級制限のない依頼をいくつか達成してE級以上になる必要があるとかですよね。しっかり頭に入ってますよ」


 この日のためにレセプスさんや冒険者さん達にいろんなことを訊いてきたため予習はバッチリだ。


「ならこの紙に必要な情報を書けば登録は終了よ」


 差し出された紙に記入し終えるとその紙を持ってレセプスさんが奥に引っこみ、数分すると一枚のカードを持って戻って来た。


「はい、ラントくんの冒険者カードよ。無くさないようにね」


「ありがとうございます」


 待ち望んでいたカードがようやく俺の手に渡る。

 冒険者カードはギルドに加入していることを証明するカードだ。これで俺はついに冒険者となったのだ。


「これで冒険者登録はおしまい。さっそく依頼を受けてみる?」


「受けます。早くお金を稼がなきゃなので」


「それならラントくんにぴったりの依頼があるわ」


 そう言うとレセプスさんが1枚の依頼書を取り出した。


「バンテ草30枚の採取ですか?」


 バンテ草は長く幅の広い形状が特徴的な植物で巻いた部分の自然治癒力を高めて怪我の治りを早める効果がある草だ。


 鎮痛作用もあるため怪我をすることが日常茶飯事の冒険者たちにとって馴染み深い物なのである。


「そうよ。この依頼の報酬金は他の採取依頼より少し多いし良いかなって」


「じゃあこの依頼にします」


「わかったわ。危ないと思ったら無理せずに帰って来るようにね。初仕事、がんばってね」


 レセプスさんが優しく微笑みながら手を小さく振ってくれた。


「ありがとうございました。依頼達成の吉報を楽しみにしててくださいね」


 そう言って俺はギルドを後にした。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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