file.1-5 スーリアと禍狐
前回のあらすじ
地下への道を見つけ、進んでいく…そこでは恐怖を与えられる様々な部屋があった。その奥地にいたバケモノ禍狐と戦闘になるが、苦戦はせずとも攻撃が当たらず一時撤退を余儀なくされる。困っていたところに再起動していたグーレウスにここにいる人の元に連れて行くように頼む。天井裏の部屋にいたのは発明家で研究者の童鏡・T・スーリアという女性だった…
童鏡「いやーにしても凄いね君達、あのバケモノ相手に怯むことなく挑むなんて」
句崇刃「まあ…今までの敵に比べたらまだあの程度ならなんとかできそうではあるが…あんまり力使って後から面倒ごとになるのもな…」
童鏡「へぇぇ〜!凄いね君、もしかしてこの区の有名人だったりするのかな?」
剣呑「え?知らないのですか?あんな大事件を解決した凄腕の探偵を知らない人はこの区にはいないと思っていたのですが…」
句崇刃「もしかして貴方はこの区の人間ではないってことなのか?」
童鏡「そうだね、この区の二つくらい隣の区にある研究所に普段はいるんだけど今はここにいる禍狐の討伐をこの区の胤波さんって人に頼まれてね」
句崇刃「なるほど、胤波さんに頼まれてだったのか…それはそれとしてここに住んでるのに届出は出してないのか?普通に人が肝試しに入り込んでるが…」
童鏡「あー…ごめんね、一応極秘で対処してるからそういう届出は無しでやってて、ちゃんと胤波さんに許可は取ってるから」
剣呑「それで肝試し中に巻き込まれたりして大事になってしまった人とかはいなかったのか?」
童鏡「これは隠さずにいうけど全くなかったわけじゃない。でも被害者にはちゃんとケアが入ってるから安心して」
そうして指を刺したところを見ると医療用ロボらしき数体のロボットがベットで気絶している数人の看病をしている
句崇刃「まあ出来ることをしているのならわざわざつっかかることもないか、それで結局研究所勤めってことは職業は研究者ってことでいいのか?」
童鏡「そうだね!元々は発明家として活動してたんだけど数年前に今の研究所にスカウトされてね、君達が闘ったグーレウスなんかも昔作ったんだよ!」
句崇刃「まさかの発明家と研究者両方だとはな…とりあえず今わかってることをまとめるか」
纏められた内容としては
童鏡・T・スーリアはこの区から二つ離れた区にある研究所で働いている。
ある日胤波さんに禍狐の対処を頼まれて、秘密裏にこの棲みついている屋敷に忍び込んで行動していた
秘密裏に行っていたため、肝試しなどで忍び込んでしまって巻き込まれた人達には医療ロボットによるアフターケアがなされていた
句崇刃「まあ、別に責められることもないし本題に入ろうぜ」
童鏡「そうだね…大人しめの怪異とはいえ何してくるかわかんないから」
剣呑「まずは…風呂に入っているかどうかからだ…」
句崇刃「えっ?」
童鏡「えっ?」
普段真面目な剣呑から変な話題が出て2人はおんなじような反応をしてしまう
童鏡「えっ…それはどうして??」
剣呑「だって2階にあったお風呂場!綺麗すぎるじゃないですか!毎日入ってます!?」
童鏡「う…それはまあ、ちょっと禍狐への対処と患者を見てるので…」
剣呑「ダメですよ!!今見た感じ普通に疲れが取れてないです!!今すぐ入りましょう!!」
句崇刃「ど、どうしたんだいきなり急に…」
剣呑「あっ…すみません、私の実家は銭湯なんです。だから風呂に入らず疲れている人を見るとつい…」
童鏡「あ、あぁそういうことね、でも確かに最近は忙しくてたまに入れてない時あったからなぁ…わかった!作戦会議終わったら入ってくるから、禍狐もまだ昼は鳴りを潜めているだろうしね」
句崇刃「とりあえず本題に戻そうか…結局のところ困っていることはただ一つ、禍狐に攻撃が通用しないことだ。そのことについて何か知ってるんじゃないか??」
童鏡「流石に察しがいいね…そもそも私がここにきた理由は禍狐がうちの区由来の怪異だからだよ」
句崇刃「何!?そもそも外から来たやつだったのか…どうりで知らないやつだとは思っていたが…」
童鏡「しかもうちの実家が元々対処してた怪異だったんだけどねぇ…どういうわけか逃げ出すし、本家は何も言わないしでさー!結局私に伝手がある胤波ちゃんが連絡してきて対処することになっちゃったんだよね」
剣呑「本家が何も言わないことがある気持ちはよくわかりますね…面子のためだとかなんとか言いますけども実害がないからと対処しないのはいつかの悲劇に繋がらないとも限らないと思いますが…」
句崇刃「まあ今頼りにもならねえとこのこと考えても仕方ねえな…それで結局あのバケモンに何かあるって考えてもいいんだな?」
童鏡「そうだね…あの禍狐に内在する超常似力のような力、私は恐怖の外値って呼んでる。その力は相手の恐怖を吸い上げ、段階毎に強化され発現する複数の力があることがわかってる。逆に恐怖しない相手だとその吸い上げた力が抜けて無くなるデメリットもあるんだけどなね」
句崇刃「なるほど…つまり攻撃がすり抜けるのは今まで吸い上げた恐怖によってそういう力が発動している状態ってことになるのか」
童鏡「そうだね、ちなみに今の段階で大体中間くらいの力があるね。」
句崇刃「まだ力が上がるのか…まあ今回はこれ以上に上がることもないだろう…流石にな」
童鏡「だから立てられる作戦としては2つ、一つ目は攻め手を欠かさず攻撃を仕掛けて逆に禍狐を恐怖させて弱体化させてから封印する方法。弱体化した状態なら私でも封印できるくらいになるからそこまで持っていけるのが一番かな〜」
剣呑「もう片方の方法は難しいのですか?」
童鏡「そうだねぇ…あんまりお勧めはできないかなぁ、その二つ目ってのは陽の光に当て続けるって方法なんだけど…弱点の割には結構な時間当てないと効果ないし消滅させる場合に至ってはほぼ日中ずっと当てなきゃいけないレベルだしね…」
句崇刃「まあボコって封印するの方がいいか、わかりやすいし」
童鏡「簡単にいうねぇ…まあそれほどの自信がある方がアイツにとっては脅威だし上手いことやれそうだ」
〜そうして3人で作戦会議を立て、夜になる〜
童鏡「とりあえず結構は明日の朝、それまでは各自休息を取って就寝するってことで」
句崇刃「夜の警備はグーレウスが頑張ってくれるらしいな、頼むぜ!」
グーレウス「オマカセダヨ」
剣呑「思ったより大変な仕事になりましたが…これも修行、ですよね」
句崇刃「まあ最悪は俺が暴れた禍狐を調理して終了にするからそんなに気張らなくていいぜ」
童鏡「そんなに自信があるんだねぇ…いい巡り合わせに出会えて良かったよ」
句崇刃「まあ後のことは考えたくなくなるがな…」
剣呑「とりあえずスーリアさんは風呂に入ってきて下さい!何があるかわかりませんからね!」
童鏡「そうだね…君はどうするんだい?」
句崇刃「近くに銭湯あったからそっち行ってきますよ…」
〜そうして3人共が休息を取り、就寝に入る…〜
そして…
グーレウス「オ、オキテ!タイヘンダヨ!」
句崇刃「ん……どうした?」
グーレウス「ヨナカニキモダメシノシュウダンガアラワレテ…ソレヲカギツケタヤツガソイツラヲトラエテキョウフサセタセイデチカラガ!」
句崇刃「何!?それは不味いな、みんな起きてくれ」
〜そうして残りの2人が起きた後部屋を出て様子を見る〜
剣呑「…いました!確かに昨日より感じる殺気が強い…」
童鏡「不味いね…ほぼほぼフルパワーだ」
句崇刃「強くなってるなら弱体化のために外に引きずり出すしかねえか、スーリアさんは負傷者のとこに!」
童鏡「わかった!気をつけてよね!」
剣呑「私もどのくらい通用するのかわかりませんがやってみましょう」
グーレウス「ボクモイルカラアンシンシテイイヨ」
句崇刃「頼んだぜ!それじゃまずは、展望テラスまで吹っ飛びな!」
鬼 平 手!
そうして完全なるパワーを得た禍狐と3人の闘いが始まる!
file1-finalに続く…
???「禍狐…アレも結局はあの実験の副産物で存在してはいけないもの、できれば消えてくれるのを願っているよ…」




