file.4-2 異世界迷宮、ここに極まれり
前回のあらすじ…
閑散期になった事務所で暇をしていたところ、エマが実家に呼び出されてしまう。そこに理由をつけて同行する句崇刃は彼女の実家の屋敷で両親のマルエラとガルバルドに久しぶりに出会う。そしてエマさんを犠牲にして神嶺地ルランデスへの立ち入りを許可された後、あらかじめ読んでいた鉄菱姉妹、ジラン、ロキと合流して立ち入ることになった。岩が転がってくるベタなトラップをかだんが片付け、探訪が始まるのだった…
句崇刃「にしても進めば進むほど…この世界とはどんどん違ったような感じになっていくような感覚があるな…壁や空気なんかもおかしい気がしなくもない」
ジラン「ここは神嶺地なのだろう?何が起こってもおかしくないとはよく噂されているが…」
針音「奥様方も私達のことを心配なされていたのでしょう?慎重に越したことはないのでは?」
句崇刃「そうだな…とりあえず死角は無くしておいた方がいいか。俺が前、かだんが後ろで…ジランが左右」
針音「お待ちなさい、左は私が担当しますわ。これでも元々海外であの子を探すために何があってもいいように腕は磨いていたんですのよ?」
句崇刃「そうなのか?そういう割にはcome・meの道場とかで姿を見たことがないような…昔師範代に死ぬほど連れ回されたのに…」
針音「まあ私元々は名家の令嬢だったのですが…まあ色々あって両親は死別、その後あの子も海外に帰ってしまい…それから残った爺やに稽古をつけてもらう形で海外でも渡り合えるようにしてもらって、そして爺やも亡くなってから海外に行くためにアイドルに…って感じですわ」
かだん「私らも人のこと言えないような境遇の悪さではあったけど…針音さんも大変だったんだな」
ジラン「……一周回って私が一番まともそうで気まずいな」
句崇刃「そういやロキの似力もなんか家に関わってるとか言ってたよな?」
針音「そうだとは母親から聞いてはいるのですが…詳細までは教えて貰えなかったので今回の旅で何か知れるといいんですが…」
そんな話をしていると片目の潰れた狼が複数体襲いかかってくる!
句崇刃「おっと!その程度じゃ試練にもならねえよ、鬼手!」
ジラン「夜月…」
針音「跳音!」
各々の攻撃で狼は何もできずに消えていく…
句崇刃「……蛇腹剣??すげえもん武器にしてんなぁロキは」
針音「うちの家宝なんですのよ、不思議な力で劣化しないので昔からずっとこれ一本ですわ。まあ上手く使えるようになるまで死ぬほど爺やにしごかれましたけどもね」
かだん「こういう珍しい武器もいつか作ってみてえなぁ…」
からん「全くかだんったら珍しいものに目を引かれて……って何か奥から声のようなものが聞こえるのですが?ここに人が易々と立ち入れるとは思えないのですが…」
そうして5人がその方向に歩いていくと…
句崇刃「…村??まさかほんとに異世界にでもきちまったのか?」
ジラン「少なくともここら辺で見たことはないようなところではあるな。神嶺地というのはここまでできるものなのか」
針音「空間そのものが意志を持っているような感じさえしますわね、この村で何かこなすことでもあるのでしょうか…」
村人A「おぉ!前から頼んでいた国からの救援の人達がついにきたぞ!しかも5人も!」
かだん「5人……もしかして私達のことか??」
句崇刃「そうみたいだな…話を聞いてみるか。俺達を呼んだ理由は一体なんだ?」
村人B「それがよぉ…俺たち村民の子供達のうち何人かが外に遊びに行くっていったきり帰ってこねえんだ!しかもこの街の外には立ち入ってはいけない毒の沼地がある密林地帯が存在していてな、もしそっちに行ってしまったかそっち方面に連れされた可能性もあったと考えると…」
からん「人探しであれば私の似力が適任でしょう、任せてください。」
かだん「姉貴を1人にするわけにはいかねえから私もついてくよ」
針音「お二人の実力なら手助けはそんなに必要ないと思いますので私も万が一の戦力としてついていきますわ、人探しなら人手も必要でしょうし」
句崇刃「……まあ今更言ってもしょうがないことか、気をつけて行ってきな!」
村人B「ありがとうございます、これを持っていけば俺の息子が気づくはずですので是非」
針音「チームサーチェル…いざお悩み解決ですわ!……なんですのその顔は」
句崇刃「いや……俺周りの女性は命名が壊滅的な人間が多くて…久しぶりにまともにカッコいい命名してて思わず感心してしまった…」
針音「……それキサラちゃんに前話されましたわ…落ち込んでらしたのでもう少し手心の加えてあげてもいいと思いますわよ(でも推しから褒められてすっごい嬉しいですわ〜!)」
そうして3人は村人の息子を探しに行った…
句崇刃「さて…残った俺たちはどうするか…」
村人C「そこの方…そこの長身の方のお方、わしの話を聞いてくれぬか…」
ジラン「私か?どうしたというのか」
村人C「わしはこの村の鍛冶屋なのだが…今日受け取りに来る冒険者の武器の仕上げをしたかったのだが、持病の腰痛が悪化してのぉ…よかったら教えるから手伝ってくれんか…」
ジラン「……いいだろう、こういう新たな知識を知ることも大事なことだ…と前うちの博物館で働いているラヴの伝道師と名乗るバカが言っていたことがある…」
句崇刃「ジランがそんなこというなんて…よっぽどのやつなんだな」
ジラン「ほんとはうちに置いておきたくないんだが…ハイエンミュラーに頼み込まれてな、社会勉強と割り切って雇用している」
句崇刃「そこまでいうとなると気になるな…今度また博物館行こうかな」
ジラン「いつでも来るといいさ、それじゃ手伝ってくるとするか」
そして句崇刃は1人になる
句崇刃「俺は…どうするか、このままこの空間の流れに沿って依頼をこなしていれば情報が得られるとは限らない。頼まれごとをされない限りはこっちから探りを入れた方がいいか」
そうして句崇刃は村を歩いて情報収集に向かう…
村人D「あぁ、国から来てくれた旦那じゃねえか?どうしたんだ?」
句崇刃「あぁ…王様があんまりこの村について教えてくれなくてな、一体何があったのか教えてもらいたくてな」
村人D「あぁ!そういうことでい!この村はちょっと前までは何も問題が起こらねえ村だったんだがな…2日前くらいから何故か問題がちょっとずつ起こるようになったんでい!それで村人だけじゃ解決できなくなったから何とかしてくれねえか掛け合ってあんたらがきたってわけだ!だが急すぎてあんまり伝わってなかったんだな、すまねえな」
句崇刃「そうか…大変だったみてえだな(なるほど…そういう設定の空間なのか??それとも何かしらのモチーフがあるのか…まだ現時点ではわからないな)」
村人D「今日はそこまで問題が起きない日でよかったが…もしかしたら明日はそうじゃないかもしれねえ、迷惑かけてすまねえな」
句崇刃「気にするな、こういうことを対処するのも俺たちの仕事だ。気兼ねなく相談してくれ」
村人D「ありがとうございます、村の方は自由に見回ってもらって構わねえから是非!」
句崇刃「そういうことなら…俺としても少し気になるし見回ってみるか…」
そうして句崇刃は村を見回ってみたものの…特に何かが問題だということは感じられず、ごく普通の海が隣接している村だということがわかったくらいだった
〜そして1日目の夜になり…〜
針音「こっちの人探しは難なく終わらせましたわ!にしてもやはりこの空間が特異的に私達に何かをさせたいのでしょうか?」
ジラン「そのくらい単純だといいがな…様子に気をつけつつ、一体どういったものなのかを探ることができれば…」
かだん「私はこうやって依頼をこなしていくのはちょっと昔を思い出して少し楽しい気はするな。前と違って今は仲間たちがいるしな!」
からん「かだんったら…まあでも楽しいと思ってくれてるのなら姉としては嬉しいところではあります」
針音「かだんさんは色々なことをこなして生きてこられたの聞いておりますが…一番大変だったのはどういうことでしたの?勉強だと思って教えてくださいまし」
かだん「あぁ、それは…コンクリート車の清掃だ」
ジラン「ほう?また意外な仕事の名前が出たな、君ぐらいの小柄な子なら何とかなりそうなものだが」
かだん「いや…コンクリート車の筒の中掃除してた時にそれに気づかなかった運転手の人が車を動かしてな……ただの移動だからよかったものの筒の中でホイップクリームの気分を味わったぜ……まぁ流石に労災案件になって報酬が跳ね上がったのだけはいいことだったんだがな!」
句崇刃「大変過ぎる人生だな…俺が言えたことではないが、とりあえず糸口が見つかるまでは依頼をこなしつつそれを探すってことでいいか?」
ジラン「構わない、帰って博物館にいかせるようなことがあるといいかもな」
針音「当然ですわ!これも社会勉強というものでしてよ」
かだん「私の技能が火を吹くぜ!」
からん「私も微力ながら解決してみせましょう」
そうして5人の神嶺地での異世界探訪が始まったのだった……
この村に訪れる破滅をまだ知らないまま…
file.4-3に続く…
マルエラ「そういえばあの場所はきたるものに変幻自在の試練を与える場なんだけど…大丈夫かしら?特に所長ちゃんはあの力を持ってるんでしょ?あの場所がそれを許すのか…」
ガルバルド「そうだな…いざという時は俺たちも出よう、若い芽は俺たちみたいなやつが守ってやらないとな。それにいとしの娘の雇い主を失わせたとあっちゃ娘にどんな対応取られるかわからねえしな!ハッハッハッ!」




