file.2-epilogue 各々が新たに盗むものは…
ハイエンミュラー「でさ〜アイツらまさかそこまで手を染めてると思ってなくてさぁ〜つい」
句崇刃「大変だったんだな…後処理くらいはやってやろうか?」
ジラン「やめておけ、そういうところを手伝っているとこいつはめんどくさがってやらなくなるぞ」
ハイエンミュラー「ひどい〜もうちょっと僕を労ってくれてもいいのにぃ!」
あの博物館での激闘から早半年…今は一仕事終えたハイエンミュラーの元に視察という名目で一緒に食事をしている。ちなみに場所はリーベック兄弟の飲食店だ、ここなら多少踏み入った話をしても問題はないからな。
ジラン「……呑みすぎだ、とても私を従えていた男とは思えないな」
ハイエンミュラー「うるひゃい!お前は力をかくしゅてたじゃないか!」
フラスコ「兄貴…確かにこいつは悪いやつだったろうけど、流石に傷心のところに追い討ちは良くないぜ!」
ジラン「ウッ…仕方ないだろ!こいつに使われてた時の不満なんていくらでもあるわ!」
句崇刃「うわ、ジランのそんなところ初めてみた」
ハイエンミュラー「ごべんねぇ〜あのたきはどうしてもそれが必要でねぇ…まぁ、騙されてたんだけどねぇ」
ジラン「はぁ……まあいいか、とりあえずその酔っ払いはちゃんと持って帰ってくれ…」
句崇刃「それは任せてくれ…それでハイエンミュラーよ、今日はあの3人の弟子達について聞きにきたんじゃないのか?」
ハイエンミュラー「あ、あぁ…そうだったね。少しは酔いが減ってきたから是非聞かせてくれ…」
句崇刃「そうだな…まずは一番初めに会った怪盗、キタラート・ダイアスートについて話しておこうか。彼女はあの後マッサージ師になりたいと結構突拍子に言ってきてな…まあでもこれは春咲さんの伝手で何とかなったな。俺も最初はいきなりだったから大丈夫か?とも思ったが、彼女は真面目に勤務して今はうちの区でも指折りのマッサージ師になってるよ。前に予約しようとした時も1ヶ月待ちで凄かったな、あれなら当分の間は大丈夫だろう。彼女は人の疲労を盗み、人を笑顔にできる人間になれたはずだ。」
ハイエンミュラー「あの子はいつもよくわからないことがたまにあるとは思ってたけどマッサージ師にねぇ…でも話を聞いてる限り安心して良さそうだ」
句崇刃「そうだな…それじゃ次の話に移るとするか」
ハイエンミュラー「あっ、このおでんもう一つ」
句崇刃「えっ、まだ食うのか」
ハイエンミュラー「怪盗やめてから体力落ちたからねぇ…」
フラスコ「わかったぜ、今からすぐ作るぜ!」
句崇刃「とりあえずその次に会った怪盗、ラウンゼス・スペードラーについてだな。彼はすぐに旅に出たみたいだ、その道中でトランプを使った手品を見せて日銭を稼いでいたみたいでな…どうやらそれが何処かのキャラバンの前でやったところの好評だったらしい。今はそのキャラバンで一人で演目を任されるほどにまでなってるみたいだな、俺達が手を差し伸べなくても彼はやっていけそうでよかった。彼は人々の驚嘆を盗み、人々を笑顔にできる人間になれたはずだ。お前も今度見に行ってやってくれ、きっと喜ぶと思うぜ」
ハイエンミュラー「彼はしっかりしてるからね、でもそのキャラバンと巡り合わせたのは運命ってやつなのかも…彼はああ見えて無茶な時でも頑張る人間だしね。周りに支えてくれる人がいるならそれに越したことはないね」
句崇刃「まあ俺も様子は見てるから、何かあったら助けにはなってやるさ。そして最後は…」
ハイエンミュラー「あっ、この飲み物も下さい」
句崇刃「また酒頼んだら引っ叩くところだったわ…」
ジラン「ん…この飲み物よく頼むな、好きなのか?」
ハイエンミュラー「死んだ母さんがよく作ってくれてね…別に美味しいってわけでもないけどなんか忘れられなくてね…」
ジラン「…そうか、待ってろすぐ作ってくるさ」
句崇刃「とりあえず待ってる間に最後に会った怪盗、ラフディアナ・ハートニカについて話そうぜ」
ハイエンミュラー「そうだね、特に彼女についてはよく聞きたいよ」
句崇刃「彼女は、今うちの区で料理学校に通っているよ。未だ精進の身ではあるがどうやら友達もできてるみたいでな…この前また嬉しそうに話してくれたよ。きっと心配ねえさ、時間はかかるかもしれねえが…いつかきっと世に名を轟かせるパティシエになれるさ」
ハイエンミュラー「……よかった、なんだかんだあの子のことが一番気になってたからね。思い込みは強いし…それに伴って結構危ない行動も多かったしね。まあでも君がそういうなら大丈夫なんだろう!また今後もよろしく頼むぞ」
句崇刃「だってよ、ディアナ」
ラフディアナ「……ハイエンミュラー様が私を…ありがとうございます!」
ハイエンミュラー「えっ、いつの間に」
句崇刃「どうしてもってことで呼んだんだ」
ラフディアナ「……お二方にこれを見せたかったんですよ」
そこには○○○製菓店への研修が決まったことが記された通書があった
句崇刃「凄いな…もう研修なのか、これは思ったより早くディアナのお菓子が食べられそうだな。楽しみだ」
ハイエンミュラー「……頑張ってるね、僕も負けてられないな。おめでとう!さ、君も座ってお祝いにしよう」
そうしてハイエンミュラーはラフディアナの頭を撫でる
ラフディアナ「……ありがとうございます」
〜そうして3人でラフディアナのお祝いをして更に時間が経ち〜
ラフディアナ「それでは失礼します、また何かあったら連絡しますね」
句崇刃「あぁ、気をつけて帰れよ」
ハイエンミュラー「困った時はいつでも相談してね」
ラフディアナ「お二方共ありがとうございます!夢を叶えてきますね!」
そうしてラフディアナが去った後
ハイエンミュラー「さて、僕ももう帰ろうかな。明日はちょっと朝早くてね…」
句崇刃「そうか…そういえば結局博物館はどうなったんだ?」
ハイエンミュラー「あぁ〜残りのスタッフで頑張ってはいるみたいだけど流石に厳しそうかな…やむないことではあるけど廃業は視野に入ってるかな」
句崇刃「そうか…残念ではあるが流石に厳しそうか」
ジラン「………」
フラスコ「うわ、兄貴悪いこと考えてる」
句崇刃「こんな顔するんだな…知らないことだらけだなそういや」
ハイエンミュラー「なんだい?僕の博物館に何かあるわけじゃないだろう?」
ジラン「いや?そういえばコキ使ってくれた見返りがまだだと思ってな」
ハイエンミュラー「何する気なの?」
ジラン「そうだな…その博物館、私が貰おう。別に飲食店で働くのが嫌というわけではないが私は静かな環境が好きなのでな。それに怪盗から物を盗むというのも悪くない」
ハイエンミュラー「……いいよ、別に断る理由もないからさ。でもやるからには廃業させないようにね」
ジラン「当然だとも…弟よ、この店は一人で任せてもいいか?」
フラスコ「いいぜ!兄貴はやりたいことやってる時が一番いい顔してるぜ」
ジラン「そしたら明日から準備をしなくてはな…」
句崇刃「良かったのか?」
ハイエンミュラー「まあ彼も僕をよく知る人間であることに疑いの余地はないから、案外上手くいくのかもね。何よりおもしろそうじゃん!」
句崇刃「お前……とりあえずお開きにするか、フラスコ会計を頼む」
フラスコ「はいよ!」
〜そうして店を出た後〜
ハイエンミュラー「いや〜明日から頑張れそうだよ」
句崇刃「そりゃ良かった、まあほどほどでもいいから頑張れよ。キサラが言ったこともあるしな」
ハイエンミュラー「そうだね…」
〜ハイエンミュラーが復活した直後〜
ハイエンミュラー「ん?何か言いたいことが?」
キサラが持っていたスマホに文字を打ち込んで見せる
貴方はきっと一人で頑張ってきた人なんだと思います。それでも犯してきた罪が消えるわけじゃないです、だからその点については反省して下さい。でもこれからは反省しつつも貴方が生きてもいいと思える人生を歩んで下さい。それで困ったことが出た時は周りを頼って下さいね、貴方が思うよりも今の環境は手を差し伸ばしてくれるはずですから…
ハイエンミュラー「僕には計り知れないほどいい子だ。愛されるのがよくわかるよ」
句崇刃「俺の幼馴染だから、当然だ」
ハイエンミュラー「なんで君が得意顔なんだい……大切にしなよ?」
句崇刃「愚問だな、お前こそ3人から相談されたりした時はアドバイスしてあげな」
ハイエンミュラー「当然だとも!それじゃしばらくお別れだね」
句崇刃「なんか困ったらまた連絡しな、誰がなんと言おうと助けてやる」
ハイエンミュラー「できればそうならないようにするさ、また会おう!」
僕 の 最 高 の 親 友
句崇刃「……俺には勿体ねえ言葉だな」
そうして二人はまた二人それぞれの生活に戻っていくのだった…
怪盗VS元怪盗VS探偵 かつて見た憧憬 〜fin〜




