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2-8 玲奈、恥辱の露出調教? 玉藻さん、やりすぎじゃ?

「風が気持ちいい……」


 玲奈が呟いた。玲奈が今着ているライダージャケットはコミネ レディースJK-130 Rメッシュジャケットである。

 黒地にオレンジのアクセントである。ルンルン気分の玲奈が精一杯の可愛らしさを考えて選んだコーデである。

 しかもこのジャケット、可愛いだけでないのだ。メッシュ仕様で風が素肌に通り抜けるのである。夏にぴったりのバイクジャケットである。

 

「ラ、ラ、ララララ♪」


『おい、これ、どうするのじゃ?』白蛇が念話で来国光と玉藻に呼びかけた。

『恋する乙女、瑞々しくていいじゃないの』玉藻が答えた。

『じゃのう』


 来国光は何といっていいのか分からなかった。乙女心共感力ゼロの邪斬である。とりあえず会話として返事を返した。

 いや、お前興味ないだろう!あ、国光さん、剣奈のことで頭いっぱいですか。ソウデスネ。コイツラがオカシイダケデスヨネ。こんな状況なのに頭お花畑だなんて……

 

 まあそれはさておき。

 

「玲奈さん、機嫌いいね」


 藤倉がインカムで呼びかけた。


「藤倉、あ、ちがくて。えっと、ううん、え、ええっと、た、ただゆきさま……、たださま……。あ、アタイ、ううん、わ、わたしのこと……さん付けでよんじゃ嫌っ♡ レナ……呼び捨てに……して……」


 えっ?誰だお前?言葉遣いおかしいぞ?


『こやつキャラ崩壊しておるぞ』白蛇が三者ネットワークに発言した。

『乙女よねぇ……』玉藻が答えた。

『じゃのう』来国光が返答した。


「玲奈さ、い、いや、玲奈ッ」

「はい。忠さま♡……」

「と、とりあえずバイク止めようか」

「はい。忠さま」


 玲奈のただならぬ雰囲気を感じた藤倉である。このまま峠道でカーブに突っ込んだら目も当てられない。

 ひとまず玲奈をクールダウンさせようと藤倉は県道十六号線沿いにバイクを止めた。玲奈は藤倉のすぐ後ろにバイクをとめてヘルメットを脱いだ。


「ん♡」


 玲奈が潤んだ目で藤倉を見つめたかと思うと瞳を閉じて顎をあげてきたっ!

 

 いわゆるキス顔である。れ、玲奈よ。マジで君、キャラ崩壊してるから……。いや、しかしまあよいか。

 

 玲奈は前世、牛頭を持って生まれてきた。父親は彼女を座敷牢に閉じ込めて育てた。

 そして神戸大空襲。空襲で燃え盛る炎に巻かれて彼女は命を落とした。逃げ場もなく炎にあぶられて。彼女は座敷牢で生き、座敷牢に閉じ込められたまま一生を終えたのである。

 あまりに苛烈な体験だったからであろうか。玲奈の魂はそこでひき裂かれた。片割れは成仏できずに怪異・牛女として現世に取り残された(「101 夫婦岩に幽閉された牛女、迫る炎」に詳細)。

 彼女は怪異となって神戸をさまよい、はては夫婦岩とらわれてきたのである。


 彼女の魂のもう片割れは輪廻転生できた。しかし怪異を見通す邪眼を生まれながらに持ちあわせていた。それが普通だと思った幼い玲奈は両親に普通に語った。両親はそんな玲奈を気味悪がった。

 家庭内はギスギスし、父親による家庭内暴力が始まった。そしてあろうことか父親は玲奈に性的虐待を振るうようになった。

 あまりにストレスが大きかったのか。それとももともとも歪んだ性指向なのか。いずれにせよそれは男の都合である。そんなものは理由にならない。

 母は憎しみを玲奈に向けた。玲奈さえいなければ、玲奈さえ普通であれば幸せな家庭を築けたのに。あろうことか玲奈は夫を寝取った。そんな泥棒猫、諸悪の根源には罰が必要だ。

 いや、何言ってるの?ぜんぶあんたの妄想じゃね?


 こうして玲奈は家庭内で父に性的虐待を受け、母からは憎まれて育ったのである。

 玲奈はひたすら家を出ることばかり考えた。逃げ出しては捕まえられてひどい目に遭わされた。

 

 玲奈は中学卒業とともに家からの逃走に成功した。父親はもちろん追いかけてきた。追いかける父親からかくまってもらうために玲奈はチンピラのもとに身を寄せた。チンピラは父親を叩きのめして追い払った。

 しかしそのチンピラは玲奈を性のはけ口として使い、また金づるとしてさんざんに搾取した。飽きれば身ぐるはいで捨て去った。

 

 玲奈は生きるために新たな庇護先を探した。そんなことが繰り返された。玲奈は生きるために散々に男に食い物にされてきたのである。

 玲奈は前世、今世ともにまともな恋愛とは一切縁がなかった。藤倉との恋が玲奈の二代にわたる人生で初めての純愛だったのである。浮かれるなという方が無理であろう。


 カチャ

 

「ワレら何やっとんねん。この暑い中でまあお熱いごっちゃな」


 道端で熱いキスをする二人を見て車が止まった。そしてニヤけた男たちがドアを開けて出てきた。

 

「あ゛?何やテメエら!」


 玲奈はいきなり野生の眼で男たちを睨みつけた。


「ちっ」


 カチャ。ブロロロ。


 眉を寄せて三白眼で睨みつけた玲奈である。いきなり雰囲気の変わった玲奈を見て男たちは背後にやばいものを感じた。そしてさっさと尻尾を巻いて逃げ出したのである。


「ん♡」

 

 玲奈は何事もなかったかのようにキス顔に戻った。


「れ、玲奈っ」


 藤倉は顔を真っ赤にしつつも、玲奈の唇にそっと唇を重ねた。


「んん♡」


 玲奈は藤倉の首に手をまわして濃厚に口づけをむさぼり始めた。

 その瞬間—


 モゾリ


「んっ♡」


 玲奈の胸の蕾にうろこのざらりとした感触が広がった。ガサリ。胸元から白蛇がむくりと顔をあげた。

 

「ふむふむ。お熱いことじゃのぉ」

「て、テメェ」

 

 玲奈は真っ赤になって胸元の白蛇を睨んだ。


「仲がいいのはいいことよ?でも、気を引き締めないといけない時じゃないかしら」


 金色に輝く美しい九尾の狐がケージから顔を出した。妖艶な笑みを浮かべながら。


「そ、そうだけどよぉ……アタイにとって初めての恋なんだ……ちょっとくれぇいいじゃねぇかよぉ」


 玲奈がうつむいて唇を尖らせた。

 

「初恋の初々しさ。眩しいわねぇ」


 玉藻がにっこりとほほ笑んだ。


「しめっぽさが下から登ってきてたまらんわ」


 白蛇が苦々しく言った。


「て、テメェ」


 玲奈が真っ赤になって白蛇を睨んだ。玲奈の服の中、ウエストにできた空間に陣取っていた白蛇である。玲奈の高ぶった気持ちの表れで下半身からナニカが染み出していた。そのナニカが気化したモヤモヤ湯気がもろに白蛇を直撃していたのである。


「くっ。テメエは玉藻と一緒にケージに入っていやがれっ」


 玲奈が顔を赤らめて涙目になって叫んだ。


「くっ」


 玲奈は羞恥のあまり背を向けてしゃがみこんだ。両手は赤く火照った顔を覆っていた。藤倉と来国光はなんのことやらさっぱりわからずきょとんとしていた。

 藤倉は顔を覆ったままぐずぐずとしゃがみこむ玲奈を見てとまどった。昨日までの五十数年間、ずっと童貞ですごしてきた男である。研究一筋の藤倉である。

 藤倉は何をどう慰めていいかさっぱりわからなかった。ありったけの知識を絞り出してそっと玲奈の頭に手を伸ばして撫でた。


「えへへへへ」


 玲奈は一瞬にしてにやけ顔になった。そして笑顔で藤倉を見上げた。正解だったようである……

 

 雰囲気が和んだのを見て玉藻が声をあげた。


「みんなでフォトとろう?玲奈と藤倉さんの初デート記念に!」


 玲奈が振り返った。


「い、今か?う、うぜぇ……」

「そんなことないわ?今日のこの日はもう二度と来ないのよ?一生に一度なのよ?」


 ヒュン


 玉藻は瞬時に人の姿に変化した。ケージからスマホを取り出してみんなを道端に集合させた。


「玲奈っ、おいで」


 藤倉が優しく声をかけた。玲奈は真っ赤になってこくりと小さくうなづいた。


 白蛇が玲奈の首に巻き付いた。藤倉が玲奈の肩を抱いた。玉藻が長い手を差し出してみんなを画面に収めた。玲奈は藤倉に肩を抱かれて真っ赤になって瞳を閉じた。


 パシャ


 フォトの画面を見た白蛇はニヤリと笑い声をあげた。


「ほほほほ。これはこれは」


 白蛇は玲奈の耳元に頭を突き出して耳元で囁いた。


「ほほう。これは艶やかじゃのぅ。頬を赤らめて瞳を閉じておる。顎が突き出ておる。恋人に肩を抱かれてキス顔になるとはのぉ。メスよのぉ」

「なんだとっ!」


 玲奈はあわてて画面を見た。画面の表情は無防備で発情したキス顔そのものだった。藤倉に肩を抱かれてうっとりとメスのキス顔をさらした玲奈である。


 玲奈の黒歴史が永久にデジタル保存されてしまった!

 

「ば、ばかっ!消せ!今すぐ消せ!」


 玲奈が慌てて玉藻からスマホを奪おうとした。


 ヒュッ


 玉藻は華麗に後方にジャンプして玲奈をかわした。


 シュタッ


「いいわねぇ。永久保存版よねぇ」


 すっと着地した玉藻がにっこりと笑んだ。


「無駄よ?クラウドにしっかりと送り届けたわ」

「あ゛あ゛もうぅ!くそがっ!今まで生きてきた中で一番恥ずかしいっ……!!」

「玲奈よ。この幸せ、みんなに分け与えとうはないか?幸せのおすそわけじゃ。ほれ。Xでみんなに共有せねばのぉ。それともインスタがよいか?」白蛇が言った。

「絶対やめろおおお!!!」


 玲奈が真っ赤な顔で叫んだ。

 

「はっ」


 玲奈はナニカを感じて顔を向けた。


「ま、まてっ!テメェ、まさか動画とってねぇか?」


 玉藻の手元のアイフォンのレンズが妙に自分に向けられていることを察知した玲奈である。


「あら?こんなフォト何でもないじゃない」


 玉藻はアイフォンをタッチした。


「あ♡あ♡あ♡、い、逝くっ♡」

「ジュボジュボジュボ」


「た、玉藻ぉ!」


 玲奈は真っ赤になって玉藻のアイフォンを奪い取ろうとした。


 ヒョイ


 玲奈の頭を軽々と片手でヘッドロックした玉藻である。


「ほほほ。これも良い記念じゃ」


 玉藻の長くのばされた腕の先にスマホがあった。無情にもレンズは玲奈の方を向いていた。

 

 玲奈の初恋記念・赤面写真はさらに増え、クラウドに追加でアップロードされたのだった。


 ヒュウ


「うわっ」


 真夏の日差し。ジリジリと焼け付くような。そんななか一陣の風が玲奈たちを通り抜けた。


 玲奈に訪れた幸せを祈るように……

刹那のきらめきを愛おしむように……

悲しむように…………



 


――――――――――


玲奈の露出調教……


心も体もさらけ出し

 喘ぎ声さえクラウドに

 

この快楽のこの羞恥、

 もういつもへは戻れない!


不幸な過去を脱ぎ捨てて

 新たな扉を開ききれっ!

 

悲しげな目で微笑む玉緒……

  大切にしたい……

   今のこのひとときを……


 

#小説宣伝です #安土桃山幻想 #小説家になろう

#晒し #調教 #絶頂

 

  

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