明晰夢の蒼蝶
特発性血小板減少性紫斑病って知っていますか?
明晰夢
一人夢を見ていたよう
走り回って、走り回る人を
窓の外を見ていたよう
泣いてる顔が、羨ましそうに
紫斑点は脚の上
涙は薬にならなかった
その夜夢を見てたんだ
貴方が泣いてる僕のもとに
何も言わずに手を伸ばし
優しく抱きしめてくれたんだ
存在しない貴方の手が
僕を生かしてくれたんだ
夢だと分かっていたけれど
独りぼっちのあの僕は
夢じゃ嫌だと泣いていた
紫斑点は脚の上
夢から覚めればもとどおり
僕は今日も教室で
一人泣いているのです
あの頃は、走る事も歩いて学校に行くこともできないから、友達と走り回って遊ぶことも、はしゃぎながら登下校する事も、窓越しに見ていた夢でした。夢の中で、泣いている僕を慰めてくれた人がいたのです。ずっと一人だった僕にとって、いつでも近くにいてくれる友達が出来たみたいでした。彼はまるで、暗闇の中の、蒼く光る蝶のようでした。