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草のはなし

作者: 秋葉竹



 


草稿なんだ、人生って

製本なんかとんでもないさ

せめて白紙のマス目を埋めようと

日々を過ごしているだけなんだと


だから書きっぱなしで

かまわないんだぜ、って


推敲なんて

しなくったっていいんだ、って


力尽き、

いつか急に死ぬとき、

最後のマス目に書いてた文字が

書き切れずに

ッツ────────、って

ほかのマス目を汚しながら

草稿に突っ伏す


最後の文字は

《希望》の

の字がいいな


あとは、死ぬだけなのに

《希望》の

を書き切れないまま

突っ伏して

こときれる


あの街にも行きたかったな

あの国にも行きたかったな

あの砂漠にも行きたかったな

あのサバンナにも行きたかったな

あの山頂にも行きたかったな

あの氷の世界にも行きたかったな

あの星にも行きたかったな

あの果てまで行きたかったな


そして


あの時代に戻りたかったな


そんな

ちいさなちいさな、


宇宙が誕生し

宇宙が消滅する

までの流れを想い描ければ

まるで

ちいさなちいさな、

けれど輝く夢をみながら


死ぬのです


死ぬのです、って



しょせんは人生って

草稿なんですから

じぶんに恥じないこと

それだけ踏まえて

あとは

好きな人を間違えないこと

この黄金律だけ胸に刻み込み


それで

草稿だけ描き終えて死ぬんです


本棚に

ちゃんと製本して飾ってあるのって

あれはみんな

その人が死んだあとに

ほかの人がかってにやってること

なんですよ


生きてんのは、私。

生きてんのは、今。


あゝ、ほら、ちゃんと、わかるでしよ

夜空

みてごらん


私の生きる道は

殴り書きしていい

草稿なんだ、って


なんだって、ほーら。


満天の星々が

キラキラ、キラキラ、

黄金色の燐粉をやさしくばら撒いて

それを知らせて

くれているよ………










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[一言] はしりかき そうこうしながら いきていく  m(_ _)m
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