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<そんな展開求めてない!>  作者: ゆいまる
【一章】それでも店を開きます!
3/3

ー使い魔を見つけますー

.


外に出てみたはいいものの、行く宛が全くないことに気が付いた。


この町から隣町までは、山一つ分ある。

とりあえずそこまで行ったら、動物の一匹や二匹は出会えるだろう。



そう思い、山へ歩き出した。






***





山に入ると、最初に見えたのは大量のわたの木。

そうだ、ここって綿の名産地なんだった。


従来、わたの木の近くに生き物が寄りやすい。

この山は人の手入れがされていないようだし、道も獣道だった。

だからこの辺りには生き物が沢山いるはずだ。

そう思いつつ歩き続ける。



しかし一向に道が開けない。

ずーっと、左右にわたの木があるだけだ。

もしかして……


「ま、迷った?」


そうだとしたら大変だ。

日没までに隣町か自宅に行けなかったら、野宿しなくちゃいけなくなる。

とりあえず、ここが山のどの辺りかわかる場所に行きたい。




段々と日が傾いてきた。

焦りと暑さで額に汗がにじむ。


次の瞬間、足元にある何かに躓いて転んだ。


「痛っ…こういうときに限ってなぁ……」


幸い血は出ていないものの、膝を強打したらしく立ち上がりにくい。

これは、よっぽど山の麓じゃない限り野宿になりそうだ。



ふと、何に躓いたのか気になった。

後ろを振り向くと、足元に黄色い塊が。

その塊に突然目が出てくる。

驚く間もなく、その生き物は走り去っていった。


「おい、ちょっと待てって!」


軋む足を横目に、塊を追いかける。

すると美しい花畑が。

同時に、沢山の生物がいた。


でもそんなことを気にする余裕もなく。

その場に崩れ落ちる私を見て、あの塊も私の存在に気が付いたらしい。

警戒しているのかモソモソと近づきつつも、「にゃん」と控えめに鳴いた。


「あっ、猫なんだ…」



[カイセキ中…


糸仔猫とカイセキしましタ


スキルは操糸

魔法は巻き取り・チャーミングでス]



なんか久しぶりに会ったな、キミ。


その間にも、糸仔猫は私の心配をしてくれる。

そして、毛糸玉をコロコロと転がしてきたと思うと、光と共に毛布を作ってくれた。


これが操糸…?この子を使い魔にしたら、仕事の幅が広がるかも!



…でも、その前に寝とこうかな。

毛布にくるまりながらそう思った。






***






朝日によって目が覚める。

隣には糸子猫がいるため、起こさないようにそっと抜け出す。

結局野宿だし、お腹めっちゃ空いたな。


寝ていたところは干し草の上だったため、寝心地は案外いい。

ただ、足腰はやっぱりちょっとキツいかなぁ。



「とにかく、食べ物…。」


彷徨うと、カサカサという足音が。

近くにいた、人に襲いかかるモンスターがこちらに気付き襲いかかってくる。

マジかよ、武器持ってないって!



「にゃん!」


飛び出してきたのは糸仔猫。

そんな戦闘力があるようには見えないけど…


案の定、戦えないのか最初の奇襲しか攻撃が当たっていない。

ええい、もうどうにでもなれ!

いざとなれば死ぬ覚悟でモンスターに触れる。






すると、瞬く間にモンスターが糸になった。

唖然とした空気が広がっていく。


しかし糸仔猫の足元は痙攣を疑うほど震えていた。

きっと怖かったのだろう。



「怖がらせたね、ごめんね。」



そうすると、優しくすり寄ってくる。

決めた。この子を使い魔にしよう。




「私と一緒に、お店開かない?

世界一のお店を開いて、女でもできるって見せつけるんだ!」


「にゃんっ!」




元気に言う糸仔猫は、どうやらYESと言っているようだ。

じゃあ、この子を家に連れて帰ればいいってことかな?



[その前に名前をつけるのが先でしょウ

そうでないと不便ですからネ]



それもそうか。

じゃあ…


「キミの名前は“ぽむ“だ。」


彼女…ぽむの周りが若干光った気がする。

ただ、あまり変化はないようだ。


「よろしくね」


「…よろしくお願いします…!!」




「んえ??」



今、喋った?



[彼女に名前を与えたから、会話内容が分かるようになったのでしょうネ

使い魔とはそういうものでス]



なるほど…?

そんなに気にしなくていいってことか。



「じゃあ、帰ろうか。」

「了解!」



一人と一匹が山を下っていく。

日は真上から見守っていた。

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