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6:龍王伝説 人原と竜氏の誕生


   *



『昔、ある村のまだ幼い子どもが、山奥の小さな滝壺で見つけた卵を、龍の卵と知らずに孵した。子どもは生まれた(みずち)を大事に育てた。蛟はやがて子どもに懐き、言葉を覚え、たくましい龍へと成長をとげた』



『子どもも勇敢な青年となり、恐ろしい魔物から自分の村を護っていたが、使命を帯びた龍を天へ見送ってまもなく、魔物に殺されてしまった』


『一族の王となって、ようやくそれを知った龍は慟哭し、その泣き声は雲の中の雨粒を集めて、大きな津波に変えた。津波は天界の建物を破壊し、あふれ出て、地上へと注ぎ、人間たちは大洪水に見舞われた』



『だが、洪水は荒れ果てていた大地を潤し、明るい日差しを招いて、天界にいた命の神々を降臨させた』



『人間たちは、龍王とその同志とされる神々を手厚く祀り、やがてそれは、人間の王の役目とされた―――』









――【 ちなみに 】――


●天地の境たる天津標(あまつしるし)を倒壊させ、悠久の神代に崩壊をもたらした張本人とされる羅羽摩(ラウマ)龍王。彼に端を発し、天と地のものが交わりはじめ、新たな世界――現在の〝化錯界(かさっかい)〟が生まれた。


●羅羽摩龍王は天海の底にて暴れ、大津波をひきおこして緋縁瀧(ひえんろう)を増水させ、八雲原(やくもばら)となり切れない大雨――ひいては大洪水を下界にもたらした。

 羅羽摩が凶行に及んだ真意を知る者はごくわずか。盤臺峰(ばんだいほう)の常世としての平穏を護っていた龍族は、それまでの役目を失って、己の道をさ迷った。



●自分たちの支配者となるのは、善神か悪神か――新世界で新たな宿地を巡る神々の縄張り争いを、息をひそめて見守るしかない人間たちに対し、龍たちはそれぞれの行動をとった。

 羅羽摩龍王の真意を承知していたにも関わらず、裏切り、逃げて割拠したもの――これは後に悪竜となったり、雨乞いの力を欲する人間たちに、各地で退治された。(巌砥(いわとぎ)国など)

 羅羽摩龍王の意思を継ぎ、生き残ったものの中には、各地の支配者・按主(アヌス)となった神と共に、人間との共存を目指し、人と交わる龍もあった。この子孫や、魂(意思)が宿る者を「臥竜(がりゅう)」と呼び、人原(じんばら)の王になる素質のある者とする国もできた。(華瓊楽(カヌラ)国・蔵不磨(くらふま)国・(うてな)蘆那珠(アシナス)王国など)



●現在、花人は自国(うてな)の語り部――常葉臣(ときわおみ)たちが言い伝えてきた内容を正史とし、夜覇王樹神セレイアス・ランサの末裔を名乗らなくなったが、萼の太蘿句(タラク)山には、「青篩(あおし)」という龍が巣食っており、花人が羅羽摩龍王の同士であったことを示すよう、今も人知れず、その成り行きを見守っている。



●ある神霊の因果を身に帯びている〝存在〟を、総じて「脈持(みゃくじ)」と呼ぶ。「竜氏(りゅうし)・臥竜」は羅羽摩龍王の因果が人間として現れた場合の呼称で、物に表れた場合は「竜の脈持物」という。(呪力を持った宝玉、霊木、岩盤など。人間を助けるアイテムとして世界に散在している。萼は〝龍王の眼玉(がんぎょく)〟を安置)



●龍王に限らず、ある神霊との因果を示す “証” があれば、それを「脈印(みゃくいん)」と言う。(花人の華痣(はなあざ)・七彩目などは、夜覇王樹神の脈印とされる)



〔参考資料〕


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