場面1:原作データ紛失により、覚えている範囲内で載せておきます
※)詳細データ紛失中。申し訳ございません。とりあえず、覚えている限りの場面描写・会話内容を載せておきます。
詳細、データ見つかり次第掲載します――――2021.4.20
ケリゼアンの解毒薬完成に貢献し、色葉病の一件を見事丸く治めた褒美に長期休暇をもらった対黒同舟花連は、皐月が暮らす異界国――摩天(鶴領峯)へ。
命がけの任務を終え、メンバーたちの間では、皐月の人格を見直す心の変化が生じはじめていた。
満帆はしかし、自分の失態を取り繕ってもらった経緯を打ち明けてもなお、彼を認めようとしない薫子に疑問と非難の眼差しを注ぐ。
「あんたは “眼がいい” と思ってた」
それが、こんな簡単に曇ってしまうとは――。
そう言うと、あえて満帆に意地の悪いことして見せる皐月。
「ひとはすぐに騙される――」
「ぬぁ…っ」
“公平な立場を保つこと” を忘れないよう、唇をつり上げながら忠告するのだった。
誤解されたり、侮られていて悔しくないのかと、本領を発揮して見せるよう嗾ける満帆だが、
「薫子――そして勇。あの二人は一筋縄ではないかない。ただ単に甚大な力があると判明しただけでは、ひとの上に立つ器とは認められない。そう言うことだろう」と適当にいなされる。
食い下がる満帆を無視して立ち去った皐月は、飛叉弥の下へ――。
宋愷を取り逃がした代わりに得た “鏡の破片” について推測を並べ合いながら、かつて萼を訪れた怪しい刀匠―― “鵺” のことを思い出す飛叉弥だが、皐月はやはり “過去の記憶” を取り戻し切れていない様子……。
実は、万全ではない状態を示すかのような点は他にも見られていた。
茶万村から李彌殷に帰還した際、城門まで出迎えに来ていた千春、妙季、玉百合らに駆け寄っていく子どもたちと隊のメンバーを見てほっとした瞬間――、
皐月は「目が回る」と傍らの智津香に呟いた。正確には、手を挙げて笑った飛叉弥の顔を見た瞬間だった……。
「目が回る……」
「なんだって?」
目が――……。
繰り返し切れず、空を仰いだ。
* * *
「俺の顔を見て安心したと言うなら悪い気はしないが…………面白い」
「全然面白くない。ただ…………ちょっと油断しただけでー…」
「全然取り繕えてないからな、言っとくけど」
やはり、ブランク明けの体には堪えたか。相当気を張っていたようだな。
「お前――正直言って今、自分がどこまでやれると思う――?」
真剣な問いに、「宋愷以上の黒同舟とやり合うのは無理」と険しい面持ちの皐月。
「大丈夫だ――」
「大丈夫なもんか。今に俺は殺される」
「おそらくだが……、敵はお前が不完全な状態だからといって、 “それだけでは攻めてこない” ――」
妙な自信をもって返す飛叉弥――。
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※)斎竹池の鶴頭爺さん、――を登場させる……かも。
皐月が暮らす鶴領峯――通称、摩天へ渡してくれる凄腕の船頭。
浅い水中から孟宗竹が生えている池に、帆掛け船を浮かべている不思議な老人。
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「お待ちしておりました――」
越境を果たし、一同が放り出されたのは、皐月が暮らす萌芽神社の谷にある川辺だった――。
そこには華瓊楽の “新世界樹” との関係を匂わせる椥の巨木が、ご神木として祀られていた。
華瓊楽を先に発っていた五十鈴に出迎えられ、あらためて、皐月を本当の家族のように守ってきた者たちと対面する花連メンバー。
文明社会最先端の医療品を調達したい柴は、看護師である茉都莉の母・叶に薬局巡りをさせてもらいながら、皐月の幼少期について聞かされることに。
「叶……、俺たちは――……」
「さっちゃんの “お友達” ――でしょ?」
まるで、そう言ってほしいと乞われているように感じた柴は黙った。
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一方、華瓊楽に足を踏み入れたことを叱責して以来、はじめて茉都莉と顔を合わせた皐月は、椥のご神木に登り、彼女と対話――……。
へそを曲げているように見せて、当に許していた茉都莉は、久々に皐月とたわいないやり取りを交わし、和む。
――が、幼児化した満帆が高所にて一人遊びをしていることに気づき、慌てて捕獲に。
「――――。あれっ?」
見事に交わされた上、神社の階から転落。――皐月がかばってくれたため、怪我はせずに済んだが、なぜか腕が絡み合ってほどけない状況に陥り、パニックとなる。
皆が出かけてしまった後の出来事で、原因と思われる満帆も行方不明に。
仕方なく、皐月を引きずって満帆を捜索しに市内へ繰り出した茉都莉。人目を気にしながら、夏休み満喫中のクラスメイトに遭遇しないことを祈っていたが、そこで出会ったのは――――。
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「八年前、廃車置き場で起こった火災事件――当時、そこで平山小の子どもたちが火遊びをしていたって話だけど、あれね……? 実は死人が出てるんだよ」
「……え――?」
夏休み明けに北船田高校に転校生してくるという、串木野亮と出会った皐月と茉都莉のクラスメイトたちは、皐月の “黒い噂” にまつわる話を打ち明けられ、関心と同時に形容しがたい不安を抱く。
そこで肝試し大会をしないかと提案する串木野。コミュニケーション能力が高く、男子たちと打ち解けるのが早い反面、茉都莉と近しい友人であるみさ緒は、暗雲の到来を予感――。
そんな時、死蛇九に見限られた宋愷が、華瓊楽より自爆覚悟で来襲。文明社会の最先端が営まれる街中に、魔薬・ケリゼアンを撒き散らして……?
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【茉都莉母(叶)――飛叉弥と対面。皐月と間違える】
【五十鈴の説明――みんな親戚。盆休みに帰省。勇は啓と嘉壱の家庭教師。――で、薫子の恋人】
「ぇええ…っッ!?」
嘘だと分かっているだろうに、ぱっかりと顎を落として白石化する嘉壱。
「あ~あ! じゃあ、飛叉弥さんと五十鈴ちゃんは、満帆ちゃんのパパママの兄夫婦ってことになるのかしら」
「えっ? い…、いえっ。あらっ? そうじゃなくて、そのぉ~…」
(どういう説明したんだ、お前は……)飛叉弥、横目ににらむ。
(……。すみません……)五十鈴、うつむいたまま顔を上げられず……。
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※)長期休暇ということで、この後、飛叉弥と五十鈴はいつもより遠くに出かる。恋人――ではなく、あくまで “義務” として、五十鈴に尽くすことを自分に課しているような飛叉弥。それに苦笑を浮かべ、切なげな表情を見せる五十鈴。
二人の微妙な関係を、若干だが書いた……気がする。
※)前回の一件を経て、ばつが悪そうにしながらも、啓が皐月に協力的な態度をとるようになる。
嘉壱、皐月、啓は年が近い。さらに、飛叉弥が絡むことで “兄弟感” が増す。
茉都莉とセットで昼寝させられていた幼少期の思い出写真――ボディプレスされ、泡を吹いている皐月を見て爆笑。笑い死にしそうになる。
(柴以外の飛叉弥の部下は、まだ、皐月と飛叉弥が双子の兄弟だと知らない。ただ、ようやく普通に接することができるようになってきた――打ち解けてきた、正体はさておき――という変化を描いた巻……だったはず)
*
「なんかさぁ、ごくたまになんだけどよぉ」
「? なんだ」
嘉壱は惚けた調子を装うため、あえて一呼吸置いた。
「――――皐月の仕草が、すっげぇ “飛叉弥にそっくり” な時があるんだよなぁ~」
「ぐふ…っ」
柴は案の定むせた。彼は見た目に寄らず小心者のため、攻めに弱い――。
嘉壱は半眼で、横目に頃合いを見計らって尋ねた。
「――なに隠してんのよ、柴ちゃん」
「な……、別に俺は何も」
「 “俺は” ――?」
「あ、いや……」
嘉壱はここでぱっと柴の傍らに飛びついた。
「やっぱり皐月の奴、飛叉弥と血ぃ繋がってんだろ!」
「……。なんで嬉しそうなんだ? お前……」
嘉壱は自覚がなかったのか、この指摘に慌てて澄まし込んで見せた。
「べ……別に、嬉しくねぇよ」
「なに企んでる」
「企んでるとか失礼だぞッ? お、俺はただ……」
*
――というようなやり取りを、『塵積版』【2】~【3】巻のどこかでさせている。柴が皐月の正体を示す情報をつかんでいることに、メンバーたちは感づいているが、飛叉弥同様、積極的には明かさないつもりであるらしい態度から、本当に “機密” なのだという真実味と実感が増している状況の第【4】巻。
※)あくまでも知りたければ、自力+自己責任で――と受け取り、
薫子は華冑出身のため、予備知識ありで着実に。
嘉壱は葎出身のため、無知に近く、不器用に真正面から踏み込んでいく。
勇はそもそも心当たりがある――ことを隠している。
満帆・啓は、まだこの時点では、皐月の素顔を垣間見る程度。
※)「華冑」は萼の花人における権門。「葎」は野原の雑草生まれで庶民。
※)腕が絡んでしまって取れないため、皐月と茉都莉が不便を強いられる。――ことによる、諸々のハプニングを書いた……気がする。
朝、目覚めたら抱きしめられていたため、茉都莉が皐月をブン殴り、ショックで沈み込む。ブン殴られた皐月が、薫子に延々と絞られる。
皐月の供述によると、「茉都莉は寝相が悪いから、押さえつけていただけ」
――だった気がするが、なんだかんだ言いながら警戒心ゼロで、先に眠りこけた茉都莉の髪くらいは触った。…………ように書いた気がする。
あと、クラスメイトに遭遇することを避けるため、民家と民家のブロック塀の間を通り抜けようとした結果、二人で挟まって動けなくなった。
クラスメイトを回避した代わりに、雨蛙と遭遇し、飛び跳ねる虫嫌いな茉都莉がプチパニックを起こしたせい…………だったと思う。
※) “非異物化” が施されていない肉体で異界国に渡ると、数日と持たず消滅してしまうが、皐月に一矢報いるため、宋愷が界境越えを犯してくる。
市内で様々な動物が狂暴化。怪奇現象のように騒がれ、平穏だった文明社会最先端の都市が、不穏な雲に覆われはじめる――。
【 つづく 】
【 竹柏の木 】について――
椥の漢名で〈チクハク〉とも読みます。榊と並び神事に使われ、神社のご神木として、樹齢1000年を超えるものもあるとか。
葉が裂けにくいという特徴から、縁結び――「災いをなぎ払う」「風が凪ぐ」に通じることから、災難除けや航海のお守りとされてきたそうです。
【呼び水版】ではそのことが分かる描写を省いていますが、皐月が暮らす萌芽神社には、蓮池の他、この椥の巨木があり、茉都莉と玄静は “椥の葉” をお守り袋に入れて持っています。
そして皐月は “実” を体内に――。
華瓊楽の完全不毛化を阻止した “新世界樹” との関係は、第【2】巻で触れています。
この物語の各界国には様々なご神木・世界樹・守り人が存在しています。
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〔 参考資料 〕
ナギの育て方 LOVEGREEN




