【2】あらすじ『白濁黒に染まぬ蓮葉の』
◍ 白濁黒に染まぬ蓮葉の
◍ 皐月の正体をめぐって
◍ 何にも知らないくせにぃぃぃーーーっっッッ‼ と叫びたくなる編
(知らないようで知っていた主人公)
◍ “同類” って何。本当のことが言えない。白黒・二面性を見抜け。
◍ 秋:九月~九月末(異界)
“ 蓮葉の 濁りに染まぬ 心もて なにかは露を 玉とあざむく ”
―― なぜ蓮は、清らかな心を持ちながら、
ただの露を玉と見せて、ひとを騙すのか ――
【 あらすじ 】
ハッと、心臓を鷲掴みにされたような戦慄が走った。
確かに瞼を開いたはずなのに、何も見えない。
見えない。光はおろか、たったの一点――白く染め残された部分さえも、見当たらない。
それが、数多の命から搾り取られた血に浸る、どす黒いこの世界では、
“汚点” でも、かまわないというのに――――。
*
「前回、倒壊に追いやった都の再建費を稼げッ!!」…という名目で、嫌がる皐月を呼び出すことに成功した飛叉弥。強制的に召喚しながらも、彼には皐月に無理強いをしたくない事情がある様子。
早急に即戦力となる必要性に迫られているとは知らず、嘉壱がチョイスした酒楼で、素性・性別を偽り働きはじめた皐月は、母一人子六人の、ある貧乏大家族と関わることに。同時に、魔女のような曰くつきの女医・智津香と知り合う。
*
一方、花人たちはある魔物の異常繁殖と、山間の小村で相次ぐ事件との接点を探っていた。
そんな時、敵の側に回った飛叉弥の元右腕的同胞・やづさが、李彌殷にほど近い路盧城を襲撃。皐月の秘められた力が引きずり出されるが、その本性をめぐって、対黒同舟花連のメンバー(嘉壱・啓)の間に摩擦が生じることに……。
嘉壱の主張が分からないでもない満帆だが、彼のように公然と、仲間たちの前で皐月の肩を持てない自分を卑怯に思い、嫌悪感を抱く。
彼女を慰めながらも、柴は前回の一件で、こっそり採取した血液から、皐月の遺伝子を調べ、驚愕の鑑定結果を隠蔽……。
そんな時、新たな黒同舟の構成員・宋愷が現われて…?
◆ ◇ ◆
〔 参考資料 〕
“ 異花どものみな霜枯れたるに
いとはなやかなる色あひにてさしいでたるいとをかし ”
【枕草子・清少納言】
“ 蓮葉の 濁りに染まぬ 心もて なにかは露を 玉とあざむく ”
【古今和歌集・第三巻(夏歌 165首目)僧正遍昭】




