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2:『銀天の戦い』


 百十二代・花神子(はなみこ)春乃麗(はるのうら))の御代、時の夜覇王樹壺王(セレンディアおう)・蓮宍将彗の息子二人が生まれようとしていた日、俄かに沸き出した妖魔の、黒雲の如き大群に全方位から襲撃を受け、萼は甚大な被害をこうむった。 

 蓮宍将彗の他にも複数の鎮樹王将(ちんじゅおうしょう)が倒れたため、精霊たちが嘆き悲しみ、数ヶ月に渡って雪が降り続ける異常気象に見舞われたが、大樹らの霊力が萼の地に還ったことで史上稀に見る豊作となった。





――【 ちなみに 】――


蓮壬飛叉弥(はすみひさや)が将彗の遺児であることは、容姿がよく似ているため、公に知られている。ただ、妖魔の大群がなんの前触れもなく現れた背景に、相当の召喚術師がいたこと(六瞳)――その目的が、将彗と刹那の打倒・誕生した赤子の飛叉弥抹殺・龍牙の拉致――であったことは伏せられている。

 将彗・刹那が山荷葉の群生地(八雲原)にて散華した際、鉛色の八雲から陽が差し、その硝子細工のような花弁と、白い天花の如き雪が舞い散っていたため、 “銀天の戦い” と言われる。



【 蓮暁寺竜刹那〈れんぎょうじ・りゅう・せつな〉 】

 龍牙と飛叉弥の母。蓮珠貴京と二人で、前代奥座衆筆頭(奥王)を務めた。


【 蓮宍彪牙将彗〈れんじし・ひゅうが・しょうすい〉 】

 刹那の近衛であり夫。龍牙と飛叉弥の父。



【 蓮暁寺六瞳〈れんぎょうじ・りくどう〉 】

 刹那の異父兄。刹那を傷物にし、蓮暁寺家の血筋・未来に大きな “乱れ” を生もうと図ったが、将彗に阻止された。


 


●当時、刹那と将彗の間では、主従関係を超えて縁談が進められていた。六瞳は萼の監察機関・奥座衆に追われる身となったが、龍牙と飛叉弥誕生の日に妖魔の軍勢を引き連れて再来し、刹那の特徴が表れた黒髪の龍牙を拉致し、憎き将彗の特徴を表した白髪の飛叉弥を殺そうとした。



●飛叉弥はこの時、六瞳によって額に謎の呪印を刻まれている。

 六瞳は死んだものと思われてきたが、亡骸は見つかっておらず、龍牙・飛叉弥が三歳になった頃、菊嶋由威阮〈きくしま・ゆいげん〉(元老の一人)が「姿を見た」と言い出し、生きている可能性が浮上。

 飛叉弥の額の呪印が消えないこともあって、もし生きていれば、龍牙を再び拉致しにくると考えられ、龍牙は「災いを招く子」「呪われた子」「死神にとりつかれている」「死神そのもの」などと忌み嫌われるようになった。


 呪印がいつ、どう発動するものか分からない飛叉弥も、萼の守護神となるか破壊神となるか判然とせず、龍牙は幼少期から地下の監察組織(奥庭)に君臨し、姿を隠すことで、とりあえず抹殺される運命を回避した。(臭いものに蓋、という現状)


 飛叉弥の額の呪印解除は以来、ずっと試されているが、今のところ不可能。六瞳再々来を想像した際、彼奴に対抗できるのは飛叉弥か、龍牙か――どちらを生かし、殺すか――どちらも生かすか、あるいは殺すか――で、萼の上層部は二十三年間もめてきた。




●ネタバレとなるが、六瞳は生きており、赤黒天(せきこくてん)に潜伏している。刹那の未来を断つことに失敗したため、標的を龍牙に変え、赤子のうちに拉致し、 “化け物” に育て上げようとした。 


 “自分に似た闇を抱える子ども” として、今も龍牙に執着心を持っている。



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