慣れたくない、でも慣れなければ生きていけない
1匹目のウサギを処理した後、再び森の中を歩き回る。
この森はそれほど強い獣はいないそうで、一番怖いのはクマが魔素で狂暴化したバーサクベアだ。
さすがに一人では勝てない相手で、最低4人の戦闘訓練を受けたものでないと討伐は難しいらしい。
軍隊では小隊で相手をするにはちょうどいい相手ということか。
歩き回っていると、先ほどと同じような気配を進行方向右側から感じる。
ノックスに声をかけ右を索敵してもらう。
頭の上で回っていたパラボラアンテナが、自分が指示した方向で止まった。
数秒後、
「ゼンポウ34ポニハンターラビットハッケン。マダコチラニキヅイテイナイヨウデス。」
ドズに奇襲をかける旨を伝え、目標に向けて一気に駆け出す。
低めの藪を飛び越えた所で、ハンターラビットを目視、確認、動きが止まっているのを幸いに刀を抜いて上段から振り下ろす、
一撃でウサギの首を切り落とした。
2匹目で多少慣れたのか、手の震えは少ない。生き物の命を奪う、この感覚にこのまま慣れていくのかな?
そんなことを考えている後ろでは、おっさんとバケツが「今日は焼肉だ。」と楽しそうにウサギを解体している。
感傷的になる暇もない。こちらではこれが日常なんだろうな。
途中、魔物ではない獣をドズが弓矢で仕留めたり、ノックスがレーザー光線?みたいな物を撃って外したりして、狩りを終えた。
今日の収穫はハンターラビットの毛皮、肉、魔石が各2匹分。鹿の毛皮と肉が1匹分。
売れば1か月くらいは暮らせる金額になるようだ。
この辺もわからないからどうしたものか。
ドズの家に着いて、ドズがウサギと鹿の皮を売り物にするためになめすというので手伝うことに。
ノックスは鹿の肉を調理して夕飯を作るそうだ。何気に高性能だなこのバケツ。
それほど時間もかからず。作業(ほとんど見てただけ)は終了し、夕食もできたので、また3人で狩りの成果や自分の評価を話しながら食事をとる。
結論から言うと、自分の戦闘能力は、軍隊に入隊してから3年ほどの新兵をそろそろ卒業位らしい。
肉体的な評価が一般人だったので、刀の能力がほとんどだろう。
正直、切れすぎるくらいだ。
実際、毎日山を歩き回っているドズや機械のノックスと同じペースで行動してもあまり疲れなかったし。
食後、ノックスは薬草を届けなければと言って帰っていった。
明日は近くの村に行く予定・・・このくだり、最初の晩にもあったな。