ファンタジーにケンカを売る
朝日と言うには強すぎる光と誰かが木を叩く音に、目を覚ます。
寝起きの頭で、有休をどう過ごすか考える。
バイクでどっか行くか?とりあえず1日ゆっくりするか?
3日もあるんだ・・・
周りの風景が自分の家ではないことに気づく。
さらにベットではなく、ハンモックに寝ている。
昨日のは夢ではなかったようだ。
隣のハンモックは既に、もぬけの殻だ。
急いで起きようとして転げ落ちる。痛い。
打ち付けた額をこすりながら、たたき続けられるドアへと向かう。
ドズはいないようだ。果たして勝手に開けていいのだろうか?
悩んでいる間もドアは叩かれ続けている。
居留守もまずいと思い、ドアを開ける。
「すみません、ドズはいまいな・・・?!」
視界にはサビと汚れのついた鉄板を何枚か張り合わせた壁があった。
「ドズハルスデスカ?アナタハダレデスカ?」
頭の上から機械的な声がする。
視線を上げるとバケツに大小1個づつ付いた電球と目が合った。
「ワタシノコエハキコエテイマスカ?」
壊れた人形のように何度もうなずく自分。
えーとここはファンタジーの世界だよね。
現状に頭がついていかない。
シー〇リー〇オー?
ここは星戦争の世界だったか。
そのうち「フォースとともに在らんことを」なんて言われるんだろうか。
現実逃避していると、シー何とかもどきの後ろから声が聞こえた。
「どった、のっぐず?こげなあせへぐに。」
ドズがどこかから帰ってきたようだ。
「シスターガタノンデイタヤクソウヲイタダキニキマシタ、ドズ。」
頭だけで振り向いてドズと話している。
一人だけ現状に取り残されている。
ドズは昨日薬草採取に出かけたところ、自分を回収したので、足りない分を早朝取りに出かけていたそうだ。
このバケツ頭の名はノックス、種族は機人。体の一部もしくは全部を機械に置き換えた種族の総称らしい。
科学水準が高いのか低いのかわからない。