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ドワーフは訛っていた

木の陰から出てきたのは、ガタイがいいちっさいヒゲ面のおっさんという表現がぴったりの何か。

ファンタジーではおなじみのドワーフみたいだが、知り合いはもちろんいないのでわからない。


大きな斧を肩に担いだおっさん(かなり失礼)はこっちをじっと見つめる。

敵意は感じられない?少なくとも危害を加える気はないような気がする。

あくまで気がするだけだが。


値踏みをするように彼の視線はゆっくり上下する。


「おめ、こっただとこでなぬすてるだ?」


訛った日本語?それとも頭の中で似たような音に変換されたのか?

混乱する頭をなんとか鎮めて一応標準語で返してみる。


「道に迷いまして」


あきれ顔で、何言ってんだこいつは?みたいな顔になったので、

言葉が通じないのかと不安になる。


「みつぬまよだって、ヒムがなんがようだで、こだどこうろうろすてんだ?」


なんとか通じているようだが、聞きづらい。意味はわかるけど。

さて、どう説明すればいいか悩んでいると、急に髭のおっさんは周りを気にしだした。


「こだどごでだべっでだら、あぶねっけ、ついでこ。」


うなずいて、小さいおっさんに無言でついていく。

おっさんも特に何も話さない。


川沿いに歩いて、体感で10分くらい、森の境界に出たところで、小さな家が見えた。

丸太の山小屋的な感じだ。家族で住むには小さいが、一人で住むには十分すぎるほどの大きさだ。


小さめのドアを開けておっさんは中に入る。

ドアが開いたままだが、様子を見ていると出てきて中に入るよう即してくるので、お邪魔する。

入ってすぐにはテーブルと椅子が3脚。

一番出口に近い椅子に座る。

奥に行ったおっさんは、お茶のようなものを持ってきた。


「のめ。」


勧められるままにお茶を一口すする。

冷めたほうじ茶?


「で、なすてあっだどごさいだ?」


本当のことを話すか?話したとして信じてもらえるか?

うそを言ってもすぐばれるだろうし、どうしたものか?


「気づいたらあそこの近くにいました。」


うそは言っていない。


「そどのひどが?」


外の人?どういう意味だろう?


「外の人とは?」


おっさんが真剣な顔で答える。


「ごのほすのなば、ウォルトアス、ふるいごどばで、みずばほすだいみだ。」

「このほすぬは、たまぬほかぬせがいがらひどがまよいごむ。」

「そのひどだちば、そどのひど、まだはまよいびどさよんでんだ。」


自分みたいな人が結構いるようだ。明らかに田舎のおっさんが存在を知っているくらいだから。


「たぶんそうだと思います。」


確信はないが少なくとも『外の人』、または『迷い人』だろう。

そんなこと考えていてふと気づいた。

お互いに名乗っていない。


「私はムサシといいます。名乗るのが遅れてすみません。」


おっさんは不思議そうな顔をしていたが、


「おらは、ドズ。どわふさドズだ。」

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