表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

5 告白

 


「母ちゃん、母ちゃん。最近、なんか胸が苦しい。病気かな?」


「なんだなんだ?海行ったから、皮膚がんになったか?」


「胸とヒフは関係ないじゃないかぁ」


「あら、そうかい。じゃ、原因はなんだろ?狭心症にはチッと早いしな」


「母ちゃん、母ちゃん。いまはなんともないんだけど、その子の前に行くと痛くなるの」


「えー?もしかして、恋か?」


「母ちゃん、母ちゃん。コイって何?泳ぐコイ?」


「バッカじゃなかろか、ルンバ!恋ってぇのは、好きな子のことを考えると、ドキドキしたり、胸がキューンとなったりするやつだよ」


「母ちゃん、母ちゃん。それそれ、胸キュン」


「どういうタイプよ?」


「髪が肩ぐらいで、目が大きくて、口が小さくて、スッゴくかわいいの」


「母ちゃんみたいじゃん」


「母ちゃん、母ちゃん。一つも似てないよぉ」


「あら、そうかい。けど、こう見えても、子どもんときは可愛かったんだぞぅ」


「母ちゃん、母ちゃん。母ちゃんの昔話じゃなくて、ボクのいまの話」


「あら、そうかい。だったら、グズグズしてないで、思いきって告白しちゃいな」


「……そんなことできないよ」


「なんで?男は勇気と我慢だよ」


「じゃ、ガマンする」


「バッカじゃなかろか、ルンバ!我慢は勇気のあと。勇気の前に我慢したら、なんの進展もないじゃないか」


「……けどぉ」


「けどぉ、じゃないよ。イクジがないなぁ。じゃあ、ラブレター書けば?」


「そんなことしたら、もし、フラれたとき、あとあとまで残るじゃないか。カッコ悪いよぉ」


「ったく。そんな先のことまで考えてたら、恋なんてできないよ。父ちゃんを見てみぃ、裸一貫で母ちゃんのとこに転がって来たんだよ」


「母ちゃん、母ちゃん。それって単なるイソーローじゃないか」


「居候だっていいじゃないか。惚れた女に命をかける。簡単にできるもんじゃないよ。えー?父ちゃん、カッコいーだろ?」


「母ちゃん、母ちゃん。母ちゃんにはカッコいいかもしれないけど、ボクまだ小学生だから、コイに命はかけられないよ。勉強もあるし」


「ったく。お前は相変わらずロマンがないね。そんな現実だけに生きてるんなら、恋なんかするな」


「母ちゃん、母ちゃん。極端だよ。現実派でもコイはするよ」


「お前は矛盾だらけだ」


「母ちゃん、母ちゃん。……母ちゃんのほうがムジュンしてるよぉ」


「あー、も、アッタマきた。その子に告白しないんなら、ご飯作んないから。フンだ」


「……意味わかんないし」





「かーちゃん、かーちゃん。にーちゃんがコクハクするから、おなかすいたって」


「クッ。空腹に負けて、とうとう告白を決意したか。よしよし、計画どおりだ。晩飯は、“君が好きだぜ”にちなんで、“すき焼き”にでもするか。父ちゃんの給料日だし」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ