Prologue
僕は、異常犯罪の実行犯達の精神状態に興味を持った。
その結果として今ここにいる。
今僕がいるのは、僕が住んでいる街から2時間ほどかけた場所にある、地方都市だ。
色々な伝を使って紹介してもらったがこの地方にある大学、の教授は心理学の中でも犯罪心理学に精通しているらしい。
警察にも協力するような、教授らしいが何故こんな地方都市の大学に...と思わなくもない。
しかし、汚い物に蓋をして、厳重に保管するようなこのご時世じゃ、犯罪者の心理状況など、忌避されるのも仕方無いのだろう。
無駄とも思える推測を膨らせながら、駅を降りバス停に向かう。
「20分か...」
次のバスが出るまでは結構な時間があった。
地方都市にしては、待たなくてもいい方だとは言うがそれでも一応でも都会にすんでいる僕としては、長く思える。
暇な時間が有ると、色々な考えが浮かぶわけで、これから訪ねる教授のある一つの噂とも呼べる情報を思い出した。
曰く、彼は前時代の遺物とも呼べる能力持ちらしい。
彼の能力は、思考記憶同調といった物で、対象の思考、感情をトレースする事でより深くまで知ることが出来るそうだ。
だけど...
「犯罪者の思考、感情をトレースしても正気を保つことができるものなのだろうか...」
単純な疑問だった。
そんなことを考えながらバスを待っていると、バス停に不釣り合いに綺麗なバスが目の前に止まる。
バスに揺られて数十分経つと大学らしき建物が見えてくる。
わざわざ休みの期間を狙ってきたのだが、サークル活動なのかちらほらと生徒が見える。
受付に、来客で来客用の台帳を記入して、教授の部屋まで案内してもらう。
「神城教授お客様です。」
案内してくれた事務の女性がノックと共に教授を呼ぶ。
少し待つとドアが開け放たれた。
ドアの向こうに立っていたのは、一人のけだるげな女性だった。
「あぁ上原刑事の紹介の...そういえば今日だったか...」
少し値踏みするような、自分の心情が見透かされているような目線に少し身震いをした。
「はい、今日はよろしくお願いいたします。」
「うん、私の仕事に興味を持つ変人なんて珍しいからね。よければゆっくりしていってくれ。」
「あの...教授流石に失礼では...」
少し恐れ多そうに、受付嬢さんが教授に苦言を呈する。
「あぁ、彼なら大丈夫だよ。うん、君はそんなことを気にする人物ではないだろう?」
あぁ、間違いなく彼女は僕の事を見透かしているのだろう。
「えぇ、特には気にしていませんよ」
顔の上に愛想笑いを浮かべながら僕は、彼女の言葉に応えた。