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異世界の契約者  作者: 木剣
第一章 異世界へ
8/35

研究所と白狼の少女

西城 蓮  年齢:17歳 性別:男

Lv.1

職業:契約者

種族:人間

称号:召喚者、精霊の寵愛、妖精の寵愛

加護:魂の盟約、火大精霊の加護、???

固有技能:<共感>、<具現化>、<真理の瞳>

技能:契約、隷属術、火属性耐性、精霊魔法、顕現、我流格闘術、言語理解

[契約]妖精フィーリア


体力:30

筋力:30

魔力:100

敏捷:20

防御:20

魔防:100


<真理の瞳>

相手のステータスを見ることができる。集中すると魔力を見ることができる。


<具現化>

フィーリアが知っている物のみこの場に出すことができる。


『火大精霊の加護』

火属性耐性を与える加護。


顕現けんげん

契約している者を呼び出すことができる。


『妖精の寵愛ちょうあい

妖精に好かれたものに送られる称号。妖精と契約がしやすくなる。


『精霊の寵愛ちょうあい

精霊に好かれたものに送られる称号。精霊と契約がしやすくなる。


『精霊魔法』

自然や精霊の力を借り発動する魔法。普通の魔法と違い威力が高く精霊の力に依存する。



目の前に研究所が見えてきたあたりでステータスカードの確認が終わった。この中で真理の瞳というのがかなり便利だ。いくつかの制限はあるけれど相手のステータスを見ることができるうえに魔力そのものを見ることができるから使いどころは多そうだ。精霊や妖精と契約すると目覚める技能らしいからそこまで珍しいものではないようだけどさ。でも、地味に攻撃手段が増えたのが嬉しい。サラマンダーからもらった加護のおかげなのか精霊魔法と耐性が増えたが適性はないから魔法は使えなかった…精霊魔法の火は使えるのに解せぬ。


ま、まあ、これで多少は戦うことができるから本当にフィーリア様様だ。自分も具現化を扱えるように特訓しないとな。そして研究所に到着すると中から悲鳴が聞こえてきた。

「いいぃぃぃやあああぁぁぁぁ!!!???」

「なんだ!?」「なんですか!?」


2人揃ってびっくりするとすぐに悲鳴の原因を確認するために建物内部に入った。中では大臣みたいな人と白衣を着た女性が腰を抜かしていた。その視線の先をたどるとそこには…全裸の女の子がいた。髪は腰まで長くて色は白色だ。必死に手で胸と局部を隠していたのだが、その…胸が大きいせいで手が胸に沈みこんでいるのが非常にエロい。

ただ、俺はそれよりも気になるものがあった。それは本来なら人間にはない犬みたいな耳と尻尾があったからだ。しかも耳はペタンと倒れていて尻尾は体を隠すように体に張り付いている。よく見ると微妙にピクピクと動いているな。耳も尻尾も白色で触るとしっとりとしていそうだ。すごくモフモフしたい。と、そんなことを考えていると女の子と目が合った。


「さ、さささ西城君!?」

会ったことがないはずなのになんで俺の名前を知ってるんだ? いや待てこの声ってまさか!

「まさか野原さんか?」

「こっちみないでーーー!!!」

野原さんは近くにあった机を片手・・で持ち上げてそのまま座った状態で投げてきた。それもすごい勢いで。


「うそぉ!?」

慌てて俺は横に回避しようとしたが避けきれずに肩に机が直撃した。

「ぐおっ!?」

「あっ、あああごご、ごめんなさいいぃぃぃ!!!」

またパニックになるのと同時に今度は野原さんの体が光に包まれ始めた。

「あああ、まずいです! は、早く非難してください!」

「何が起こってるんだ!」

「ガアアアアアアアアア!!」

答えを聞くよりも先に光が収まってしまった。そこには咆哮を上げた白い獣がいた。


「…まさか狼か?」

「逃げてください!」

後ろに下がっていた白衣の人にそう言われたが俺は呆けてしまっていた。その隙をついて狼は俺に飛びかかってきた。

「ガアアアアア! ガブッ」

「いってええぇぇぇ!!」


何とか受け止めたがそのまま狼にはさっき怪我をした肩に思いっきり噛みつかれてしまった。

「ちょ、は、放せ! 痛い痛い!」

「グウウウ!」

引きはがそうと首に手を回したその瞬間、声が聞こえてきた。

「(怖い怖い怖い助けて助けて)」

これって野原さんの声か? ど、どういうことだ? いや、それよりも落ち着かせよう。

「っ! 大丈夫だっ…俺がついてる…怖かったろう? もう大丈夫だから落ち着いて」

そう言いながら撫でていると噛む力が弱くなってきた。そしてやっと放してくれた。


「くぅーん」

甘えてきたのでしばらく撫でていると急に光に包まれ始めた。そして後に残ったのは気絶した全裸の野原さんだった。こっちに倒れてきたので受け止めて抱き寄せる。

「よかった生きているみたいだ…」

呼吸しているのが分かったので生きているってことを実感する。そして安心するのと同時に痛みが襲ってきたがそれ以上に胸の感触がかなり伝わってくる。お、女の子って柔らかいんだな…それにすごくいい匂いがする。…着痩せを知った瞬間だな。いかんいかん。


「野原さん大丈夫?」

「ん、んうぅ…」

まだ起きそうにないな。とりあえず、服を着せよう。じゃないと俺の理性が持たない。俺が着ていた上着を着せておく。ちょっと血がついてるけど大丈夫かな。

「さて、いったい何があったんですか?」

「…はい。桜さんの能力を鑑定したのですが詳細が全く分からなかったので一度使ってみればよいのではないかということになりまして。で、使おうとしてもなかなか発動しなかったので力を引き出す魔法を使ったのですが、それでもダメでした。これ以上は危険と思いやめようとしたのですが、そこの貴族が強引に再開して暴走してしまいました。最初から狼形態で暴れられたのでこんな状態になったんです。そして収まったところに西城様がおいでになったということです」


2回目の暴走は俺のせいか。で、さっきから漏らしてるこいつが原因か。

「お前が原因か? くそ野郎。おい聞いてんのか」

どうしても声に怒りが混じってしまうが仕方ない。できればこいつを殴りたい。

「い、いや違う! でたらめだ!」

そう言って責任逃れをしようとしたが周りにいる妖精たちが「うそつきー!」とキャーキャー騒いでいた。

「嘘をつくなよ。周りにいる妖精がお前が原因だと言ってるぞ」

「貴様、精霊使いか!?」

「似たようなもんだよ。で、何してくれてんの? 野原さんになにかあったらどうする気だったんだ?」

「亜人の勇者などどうなってもかまわん!むしろ死んでいたほうが被害を抑えられたわ!」

「…具現化"剣"」


「ひぃっ!」

俺は無言で具現化した剣を突き付けた。

「西城様、おやめください。元はといえば私が止めることができなかったのが悪いのです。罰なら私が受けますのでここはどうか剣を収めていただけませんか?」

「次はないと思え」

「く、くそっ!」

貴族の男はすぐに立ち上がると走り去っていた。

「申し訳ありません。この国の貴族の一部は獣人を亜人と呼んで差別する風習が残っているんです」


「そうなんですか。注意などは?」

「何度も忠告を受けているはずなんですが…結果は見ての通りです。申し訳ありません」

そう言って頭を下げてきた。

「あなたは悪くないですよ。顔を上げてください」

「…すみません。とりあえず、桜さんをベッドに寝かせましょう。こちらです」

「ありがとう」


野原さんをベッドに運んで休憩する。白衣の子は寝かせている間にお茶を入れてきてくれた。

「お茶、ありがとう」

「いいえ、あっ…先に怪我のほうを治療しますね。この薬を塗ってと…癒しの光を"ヒール"」

「おー、暖かい」

緑色のクリームを塗ってから回復魔法を使ってもらった。このクリームは拡幅の効果を増幅させる効果があるらしい。それにしても初めて魔法を見たな。

「痛みはどうですか?」

「うん、大丈夫。完璧に痛みも引いてるよ」


互いに椅子に座ると向こうから話しかけてきた。

「西城様も能力の確認にいらしたんですよね?」

「そうだよ。後、名前でいいよ」

「そういうわけにはいかないので」

「ならせめて様付けはやめてほしいな」

「わかりました。あ、私の名前はメルです。呼び捨てでかまいません。では、本題なのですがさっきの剣はなんですか!? 見たところ魔力を感じたのですが一体どこから取り出したんですか! そ、それに妖精が見えてるんですか!? もしかして契約に成功したんですか? すごいです。精霊と契約が成功する人なんてなかなかいませんよ! 私の同期の子なんて20回以上も失敗してますよ!」


「一気に質問するのはやめて! わからん」

質問が多すぎだ。てかさりげなく自分のことは呼び捨てを強要したな。

「あ、すみません。つい熱くなっちゃいました」

俺は質問に1つ1つ丁寧に答えていった。全ての説明が終わったあたりで何か気になることがあるみたいなので一緒に考えることにした。

「…変ですね? 妖精にそんな力があるなんて聞いたことがないですが…んー、西城さんの職業が影響しているのかもしれませんね。"契約者"なんていう職業はこの世界には存在していないので何とも言えませんが。やはり『???』は鑑定できませんでした。力になれず申し訳ありません」


やっぱり知らないかそれもそうか異世界の特殊な職業の可能性があるしな。

「加護、称号、技能のどれも過去の文献にのっていないので全然わかりません。ですが、真理の瞳があるのなら多少は詳細がわかるはずです。あの、できれば桜さんのステータスを見ていただけませんか? 健康状態に異常はないのですがもしかしたら暴走の原因がわかるかもしれないので」

「了解、一回見てみようか」

俺も気になるしな。ステータスカードは一緒に破れてしまったみたいだから再発行するまでは能力が確認できないので万が一にも変な能力がついていないかを確認して安全なのかを確実にしておきたい。そして俺は確認するために真理の瞳を使ってみた。



野原 桜  年齢:17歳 性別:女

Lv.1 

職業:白狼はくろう

種族:亜人

称号:

加護:狼

固有技能:<獣化>

技能:風爪、纏風、疾風、天駆、自然治癒、言語理解


体力:50

筋力:50

魔力:40

敏捷:60

防御:40

魔防:40


風爪かざつめ

風の刃を手元に展開する。切れ味は使用者に依存する。


纏風てんふう

風を纏う技能。使い方によって風に関するものであらゆるものを操作できる。


疾風しっぷう

どの方向にでも風を発生させる技能。


天駆てんく

足場を発生させる技能。空中でも発生させることができ、普段よりも高くジャンプすることができる。ちなみに落下の衝撃も完全に受け止めることができて落下のダメージを無効化できる。


『自然治癒』

自然治癒の力が高くなる。ただし、使うとお腹がすく。



こうなっていた。それを伝えるとメルは顔を真っ青にして震えながら言った。

「技能の『変身』が無くなってる? ということはもう二度と戻れないかも」

ちょっと待てそれじゃあ人間には戻れないってことか? いや、でもステータスが上がっているから死ににくくなったからいいのか? いやよくねえわどうしたらいいんだ?


「…桜さんには私から説明します。こうなってしまったのは私の責任でもあります。必ず…必ず元に戻る方法を見つけて見せます」

「頼む。俺からは何もできないけど力になれることがあるなら遠慮なくいってくれ」

「ありがとうございます」


取り敢えず、今日はこのまま解散することになった。まだ、寝ている野原さんの頭を少しだけ撫でてから俺は退室した。

「必ず…守って見せるよ」

そう俺は言葉に出して騎士団長のもとに向かった。

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