迷宮地下2階
これで筋肉と神経の変質理由を用意できたぞー。少し駆け足になりますけど許して。次はボスの予定です。ちなみに黒幕が誰かを予想している人っています?もうバレてそうだけど~
ショットガンを作り終わってから俺達は出現した階段を下りていくことにした。階段を下りていくと途中で階段が途切れていて飛び降りるしかない状態になっていた。お互いに目で合図すると意を決して飛び降りていった。大体100mくらい落下したあたりで次の階層が見えてきた。どうやら木が生い茂っているみたいだ。さて、気を引き締めていくか。そして地面に着地する寸前に天駆を発動させて落下ダメージを消した。
「何だか蒸し暑いね」
「そうだね。お、目的の木もあるじゃないか」
周囲を見渡して警戒しているとナメナの木という皮を鞣すのに最適な樹液を出す木が生えていた。その他にも調味料に加工できる実のなる木もいくつか発見した。これで料理できるようになるから本当にラッキーだな! 採取しようと俺は木に近づいていくと不意に敵の気配を感じた。
「っ!」
「蓮君?」
思わずバックステップで距離を取ったが視界には敵の姿が全くない。それどころか索敵に反応もなかった。気のせいならそれでいいが確かに一瞬だけこっちに殺気を向けたのを感じたんだ。
「今、一瞬だけこっちに殺意を向けてきた奴がいる。索敵にも引っ掛からないから敵は相当隠密能力が高い」
「何も感じないけど、うん、音も全くしないよ? 葉っぱが擦れる音くらいだね」
葉っぱが擦れる音だけか……しばらく考えていると不意に俺は違和感に気づいた。なんだこの違和感は? 桜の言葉の中にあった小さな違和感に俺は気が付いてしまった。
「戦闘態勢!!」
すぐにカリバーと手榴弾を手にもって戦闘態勢に入る。その様子を桜はポケーっと見つめていた。
「えっと、敵はいないと思うよ?」
「違う! もう囲まれてる!」
「どういう…」
質問するその言葉を遮って俺は叫ぶ。
「洞窟の中で葉っぱが揺れているのがおかしいんだ! 敵は見えないんじゃない! 植物型の敵が潜んでいるんはずだ!」
そういうのと同時に敵が攻撃を仕掛けてきた。まず、俺に向かって飛んできた尖った種を回避する。だけど桜はまだ戦闘態勢を取れていなかったので足元から近づいてきていた敵に気づけなかった。
「きゃああああ!」
「桜!」
桜の足にツルが巻き付いていてそのまま逆さまになって空中に投げ出された。ツルの先には大きい木の実があって急に実が2つに割れてそこからギザギザの歯がむき出しになっていた。
「いぃぃぃやあぁぁぁぁ!?」
パニックになった桜はホルスターから銃を取り出そうとしたが取り出せずに木の実に引き寄せられていった。
「落ち着け!」
俊歩を使ってすぐに近づいてからツルを風爪で切断。そして桜を空中でキャッチするのと同時に周りから刃のような葉っぱが大量に飛んできた。これを風爆で蹴散らしながら壁に近づいていく。だけど運悪く何枚かは俺と桜に命中して掠り傷をつけられたけど何も問題はない。
「ごめん蓮君」
「これくらいなら大丈夫だ。このまま地上に手榴弾を投げ込んでから着地する」
「わかったよ。次は油断しない!」
「その意気だ。いくよ『復元』」
地上に手榴弾を5つほど投げて爆発させてから地上に降りた。降りてからは桜と背中合わせになってから銃に銃剣というちょっと短めの剣を取り付けた。これには風爪を付与してあるので武器を持ち変えずに戦えるから便利だ。ブルドと戦っている時にはなぜか風爪を使えたけど改めて使おうとするとできなかったので仕方なくこうした。
さて、周りを見渡すと手榴弾が爆発した場所は見事に植物が無くなっていて相手が攻撃してくるタイミングがわかりやすくなっているから戦いやすい。飛んでくる種や葉っぱはマジックシールドで防ぎ、ツルや根っこは風爪で切り裂く。木の実の敵はカリバーで正確に撃ち抜いていく。桜も同じように発砲して敵を排除する。しばらくして敵からの攻撃が無くなったあたりで警戒しつつも戦闘態勢を解いた。
「敵は粗方片付いたかな?」
「うん、それっぽい音はしてないね」
「お疲れ様。探索しながら薬草とかを採取してくるよ」
「私も手伝うよ」
警戒しながら薬草や樹液、食べられる山菜もたくさん採取した。地面が土だからもしかしたら掘って進めるかなと思ったけど途中から岩になっていたから諦めるしかなかった。ズルはいけないってことだね。そして探索も終わったあたりで横穴を作って拠点を作成した。念のために簡単な結界も張っておく。壁から急に根っこが生えてきて攻撃されたらたまらないからな。
「や、やっと落ち着けるよぉ」
「今回の敵は神経を結構使うからね。索敵にも引っ掛からないし」
「だね~。音もかなり紛らわしくて判別するのに苦労したよ。あの回復魔法掛けてもらってもいいかな?」
「いいよ。俺も掛けようと思ってたから」
回復魔法を掛けたけどなぜか痛みが全然取れない。まあ、耐えられないほどの痛みじゃないから気にしないでおくか。目も若干痛い。
「うーん、痛みが取れない」
「あれ? 桜もなんだ」
「蓮君も? さっきから目も痛いし、なんだろうって思ってたんだけど」
「色々と神経を使ったから疲れたのかな? 今日は早めに休もうか。取ってきた山菜を使って料理を作るよ」
「そうだね! さっそく料理しよう!」
と言っても薬草とお肉を炒めるくらいしかできないけどさ。桜が炒めている間に俺は採取してきた物から調味料を作っていた。少し焙ってすり潰すだけでいい風味を出してくれるやつがあったからね。それを炒めている肉と薬草に放り込んで余ったものはストックしておく。その後は樹液を使って皮を鞣し始めた。これでアイテム袋をアイテムバックにバージョンアップができるからだ。革にした後はミスリルを糸代わりにしてバックを作った。
「蓮君、作るの速いね~」
「慣れれば誰でもできるさ。桜の分も作ってあるから後で中身を移しておいてね」
「はーい、もうすぐでできるよ」
「ありがとう」
なんだか夫婦みたいなやり取りをして出来上がったお肉と薬草炒めを食べ始めた。
「「いただきます」」
「うん、美味しいな」
「美味しいね」
作った調味料がいい風味を出してくれているから美味しく食べられる。そうだな、例えるなら胡麻の風味が近いかな? お互い無言になって一心不乱に食べていた。そして食べ終わると桜は疲れたのかそのまま眠ってしまった。
「ごめんね。ちょっと行ってくるよ」
俺は起こさないように近づいてちょっとだけ頭をなでると外に探索に出かけた。外に出ると場所がわかるように目印をつけて探索を開始した。さっき戦闘で荒れていた場所はもう植物が覆っていて再生能力の高さを思い知らされた。どうやら敵も復活しているようでこっちの様子をうかがっている。
「残念だけどもうお前たちの気配はわかるようになったんだ奇襲は通用しないぞ」
その言葉を理解したのか一斉に襲い掛かってきたのを見て俺は銃じゃなくて剣を二刀流で持ち、戦闘に入った。しばらくして敵を刻み終わると敵が飛ばしてきた足元に落ちている葉っぱが気になって鑑定すると俺はその内容に目を疑った。
『シトメイの葉』
神経性の猛毒で神経だけを破壊する最悪の毒。この毒に侵された者は体の内側から焼かれるような激痛を味わいながら死んでいく。大体は脳をすぐに破壊されて死に至ることが多い。奇跡的に生き残ったとしても盲目になる可能性が非常に高いため別名シツメイの葉とも言われている。
「まさか桜が眠ったのはこれのせいか? なら俺もぐうっ!!」
急にとんでもない激痛が襲ってきて俺の意識を持っていこうとしたのを堪えた。今ここで倒れたら確実に殺される。それに桜もこの毒に侵されているならすぐにでも解毒薬を作らないとまずい。確か解毒薬を作るのに必要な花があったはずだ。あれをすぐに採取しよう。
急いで花が咲いていた場所に行くと確かに花はあったが咲いていたのはたった一つだけだった。
「これじゃあ1人分しか作れないじゃないか…」
桜を助けるか自分を助けるかの二択だが、俺がとる答えは決まっていた。さっそく俺は採取した後拠点に帰って調合をして薬を作成した。そして…
私はいつの間にか眠ってしまっていた。目が覚めるとあの体の内側から焼けるように痛かった痛みが消えていた。それどころか前よりもすっきりしていてなんだか集中力が高くなったような錯覚さえ感じるくらいだ。ふと周りを見渡すと何だか見たことがない器具が置いてあってその近くでうずくまっている蓮君がいた。こっそり近づくと寝息を立てていたから起こさないように蓮君の顔を見ていた。
「寝ている蓮君も可愛いなぁ」
蓮君の頬をつつきながら私は微笑んだ。
「いつもありがとう」
「ん…?」
おっといけない。蓮君が起きてきちゃった。ちょっと名残惜しいけど距離を取って起きてくるのを待った。
いけね。意識を失ってたか。あれから薬を調合した後は何のためらいもなく桜に飲ませて俺は継続再生というじわじわと回復させる魔法を全力で使って毒を耐えきっていた。こうすれば体に抗体ができて薬は必要ないって思惑だった。まあ、思惑通り上手くいったみたいでよかった。ただ、体の内側から焼かれるような地獄の苦しみを味わっていたけど桜がこんな痛みを味わうよりはましだ。どうやら桜には気づかれていないようで助かった。
「おはよう桜」
「おはよう蓮君」
挨拶を交わして微笑みあう。その笑顔だけで頑張れる、俺は君を守るためならもっと強くなれる。そう新たに決意した。
「今日は攻略を再開しようか」
「うん!」
妙に冴える頭でこの階層の攻略を考え始めた。そして次の階段を見つけるのにそれほど時間は掛からなかった。
だけど蓮たちは気づかない。シトメイの毒によって神経が通常の人間とは全く異なる状態になっていることに。
次回!桜が覚醒!獣化の真の意味が明かされるかも?




