表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の契約者  作者: 木剣
第二章 迷宮編
26/35

爆走獣ブルド

戦闘態勢を取ったブルドは俺達に一瞬で距離を詰めてきた。それも瞬きをした瞬間に20mはある距離をだ。その強力な突撃は横に回避することで避けることができたが、急に発生した衝撃波は避け切ることはできなかった。少し吹き飛ばされつつも冷静に状況を分析する。今の攻撃は相手の小手調べ程度だというのがよくわかる。もしも、最初から本気だったならさっきの攻撃で殺されていただろう。

『ハハハハハ、久しぶりの戦闘だ! もっと我を楽しませるがいい!』

「速すぎるぞあいつ!」

「私も目で追えなかった」

お返しとばかりにホルスターからカリバーを抜き、12連撃の銃弾をお見舞いする。ドドドッパンと銃声が鳴り響き相手の頭に寸分たがわずに12発とも命中したが、平気そうな顔でこちらに突っ込んでくる。


『なかなかの威力だが我の特殊な防御を貫けんようだな』

「舐めないで!」

桜も風爪で切りかかっていくがブルドがその場で足踏みをすると衝撃波が連続で発生して全く近づけずにいた。

『懐かしい姿をしておるが近づけなければ攻撃できぬぞ?』

「くっ、あの衝撃波が厄介すぎるよ!」

「桜、下がって!」


手榴弾を投げるが衝撃波ではじかれてこっちに戻ってくる。そしてまずいと思い全力で回避するとすぐ近くで爆発したがなんとか巻き込まれずに済んだ。

「あっぶねえええ!?」

『愉快愉快』

楽しそうに一瞬でこちらに近づき蹴りを放ってくる。さっきの爆風のせいで体勢を崩していた俺は次の攻撃を回避できないため防御するしかない。俺はアイテム袋からミスリルと重力石の合金を取り出しつつ攻撃に備えた。


『ふんぬっ!』

「錬成!」

ガゴォッという音と共に左腕の骨が折れる感覚が伝わってくる。とっさに錬成で作った盾も原形が残っていないくらいに歪んでいるのが蹴りの威力を物語っていた。


俺は壁に叩きつけられた衝撃で肺の空気を全部吐き出し激痛に襲われる。だけど一秒たりとも止まっていられない。すぐに錬成で折れた左手を固定してその場を離れるのと同時に俺がさっきまでいた場所にはブルドの蹴りが突き刺さっていた。

『いい判断だ』

「んなくそ! 巨体のくせに速すぎるんだよお前!」

「大丈夫!? 蓮君!」

俺を助けるために桜がブルドの目の前に割って入った。だけどこれじゃあ桜があの蹴りをくらってしまう。とっさに風爆を投げつけて桜とブルドを引き離す。

「きゃあっ!」

『うむっ?』


「不用意に近づいたらダメだ! 俺は大丈夫だから死角から攻撃して!」

「わ、わかった」

『フハハ、お主は過保護だな』

折れた左腕を治療してからはブルドに近づきすぎないように距離を取りつつ俺は地上から桜は空中からカリバーを発砲して攻撃していた。ブルドは無茶苦茶に走り回って衝撃波を飛ばしてきていた。まるで何も考えていないように見えるけどただ近くを走るだけでも衝撃波と一緒に岩の破片が飛んでくるためこちらが少しずつ消耗させられていった。


『桜、このまま耐久戦に持ち込まれたらこっちが負ける。何とかして隙を作るからお願いできる?』

『任せてよ! あいつ両断してやる!』

『3、2、1、0!』

俺は閃光手榴弾を投げつけて桜は高くジャンプした。そして俺はアイテム袋から鉱石を取り出して錬成を始めた。

『そのような小細工、我には通用せぬ!』

閃光手榴弾をもろに受けたブルドは衝撃波を発生させて吹き飛ばそうとしてくる。まじで攻防を同時にしてくるからたちが悪いなあれ! だけど間に合った。


「受け取れ!」

投げたのはブルモオンを倒すときに使っていたバトルアックスだ。流石に重いうえに持ち運ぶのは不便だったからいちいち分解していたのをこの一瞬で作り上げた。

「ナイス投擲! いくよ!」

風爪を纏わせて空中でおもいっきり振りかぶる。

『甘いと言っている!』

そういうとブルドは咆哮をあげて桜を吹き飛ばしたが、吹き飛ばされる直前に桜はバトルアックスを投擲していた。

『ごめん蓮君』

『大丈夫、後はまかせて』


咆哮の衝撃波をマジックシールドで防御しながら地面に落ちかけていたバトルアックスを空中でキャッチしてそのまま切りかかろうと振りかぶった。風爪を付与してないからそのまま切り裂こうとしたが不意に自分でも使えるんじゃないという予感があった。その感覚のままに風爪をバトルアックスに纏わせてブルドの胴体に振り下ろす。すると風爪が発動してバトルアックスがブルドに突き刺さった。


『グオオオ!!』

攻撃の入りが浅い! どんだけ硬いんだよこいつ! そのまま押し込もうとしたが連続で衝撃波を発生させて強引に振り払われた。

「くそっ、そう簡単には行かないか」

『今のはなかなかだったが後一歩届かなかったようだな』

「私を忘れてもらったら困るよ!」

再び空中に飛び出していた桜がまだブルドに刺さっているバトルアックスに迫ろうとしていた。

『甘いといっておろう!』

迎撃するために衝撃波を発生させようとしていたがそれよりも速く桜は腰から切り札の一つを取り出していた。


「この距離なら私だって!」

取り出したのはサブマシンガンのマイクロウジーだった。照準を定めてトリガーを引く。毎分1400発の弾丸の嵐がブルドに襲いかかる。

『グオオオ!』

桜の狙いはバトルアックスを押し込むことだった。そして狙い通りにバトルアックスはブルドに押し込まれていった。俺もカリバーを構えてバトルアックスを狙い撃ちする。だけど戦闘不能にさせるには後一歩届かない。

『我はまだ動けるぞオオオオ!』

バトルアックスの重みのせいで多少動きが鈍くなっているがまだ戦えると言わんばかりに暴れまわっていた。

『桜、何とか時間を稼いでくれないか? 空中で相手の気を引くだけでもいいから』

『了解!』

桜は空中でカリバーを発砲して牽制している間に俺は相手の動きを止めるための道具を作り始めた。



『ウォォォォ!』

ブルドはもはや一瞬たりとも止まることなく走り続けている。空中から蓮君にもらったリボルバーを発砲しているけどがむしゃらに動き始めてからは一発も当てられない状況が続いていた。衝撃波で飛んでくる岩でダメージを受けつつも何とかブルドの気を引くことができていたけどそろそろ残弾も心もとなくなっていて私は焦り始めていた。早く決着をつけたいけどつけられない。

「このままだと私の魔力のほうが先になくなりそう」

蓮君がブルドと同じように動き回っているけど何をしてるんだろう? 道具を作るって言ってたけどさっきから走り回っていて作る余裕なんてなさそうに見えるけど。と考えていると急にブルドが叫び声を上げてその場から動かなくなった。

『いだぁ! なんだこれは! 抜けぬぞ!』


よく見るとブルドの後ろ足にトラバサミが設置されていた。そして動けなくなった瞬間に蓮君がブルドに近づいて地面に手をつくとそこから追加でトラバサミが出現していた。

『何をしたの蓮君?』

『直接錬成でトラバサミを作ったんだ。最初の罠は地面を薄くして簡易落とし穴にしておいた。そこら中に設置してるから降りるときは気を付けて』

「分かった。こっちは追撃するね」

私は残った弾薬を全て使い尽くす勢いで発砲し続けた。蓮君はとどめの一撃を入れようと接近戦に持ち込んでいたけどブルドの衝撃波乱れ撃ちで近づけずにいた。だけど一瞬の隙をついてバトルアックスをもう一本突き刺していた。それでもブルドは諦めずに無理矢理、罠を引きちぎろうとしていたがそこにダメ押しと言わんばかりに2人でバトルアックスに踵落としを決めた。

「「これでどうだ!」」

『オオオォォォー』



これ以上は動けないみたいでその場に崩れ落ちるブルドだった。

「勝った?」

「やったー!」

「ありがとう桜のおかげだ」

「いやいや、蓮君の斧と銃がなかったら無理だったよ」

そこまでいって2人とも笑いあった。お互い傷だらけだけど生き残れてよかった。

『なかなかいい殺し合いであった』


「「生きてたの(か)!?」」

『はっはっは、我の能力の1つだ。気にするな。さて、お主らに伝えねばならないことがある』

「なんだ?」

『この場所は【試練の迷宮】というのだ。一度入ったら最後、100階層全てを突破するまで脱出することはできん。確か10階層ごとにボスが待っておるからそやつらも倒さねばならん。我よりも強いから気をつけるといい』

「そんなことを教えてもいいのか?」

『いいのだ。我もお主に全てを託さねばならんからな』

「どういうことだ?」

託す? どういう意味なんだ?


『すぐにわかる。こちらにこい』

俺は黙ってブルドに近づくと頭を触れと言ってきたので頭に手を置いた。

『我、全てを託すことを誓う<継承>』

唱えた瞬間ブルドから力が流れ込んできて力の情報も理解することができた。


<継承>

相手が認めた場合のみ、その者が持つ全ての力を自分のものにできる。


『衝撃』

呼び動作なしに衝撃を発生させる。逆に衝撃を消すこともできる。


不屈ふくつ

即死レベルのダメージを受けても数分だけ耐えることができる。


俊歩しゅんほ

数mの距離を一瞬で移動できる。さらにダッシュの速度も上昇する。


剛脚ごうきゃく

脚の踏み込みの力や蹴りの威力が上がる。


『身体強化』

魔力を纏い能力を底上げする。防御力も上がるが治癒能力は上がらない。



『どうやら無事に継承することができたようだな』

「どうして俺に力を?」

『これが決まりであり、我らの望みでもあるからだ』

「どういうことだそれ。俺たちがここに放り込まれたのに何か関係があるのか?」

『詳しいことは忘れたがもう時間切れだ。さらばだ』

「忘れたってどういうことだおい! って勝手に終わんなああ!」

それっきりブルドはピクリとも動かなくなった。そして部屋の隅っこに下に通じる階段が出現した。


「あんにゃろ! 言いたいことを言いたいだけ言ってあの世に行きやがった!」

「まあまあ、落ち着いて」

はぁ、仕方ないか。とりあえず、腹いせに解体して肉にしてやろう。にしても継承か…固有技能っぽいよなこれ。技能が一気に増えたのはいいけどなんで俺に力を渡してきたんだ。それに望みってどういうことだ?ダメだ情報が少なすぎる。このことはこれ以上考えても答えが出ないから考えないようにするか。一度、技能を試してみるか。


剛脚を壁に向かって放つとドゴォという音と共に壁がえぐれてしまった。

「何今の蹴り? と、とんでもない威力だったよ」

「ブルドから貰った技能なんだけどここまでの威力だとは思わなかった」

次に俊歩を試そうとして 使った瞬間、俺は壁に大の字でめり込んでいた。すぎょくいだいでず。もろに顔面からぶつかったぞ。これは使いこなすのに時間がかかりそうだ。


「蓮君が消えたと思ったら壁にめり込んでるぅ!? 大丈夫!?」

「大丈夫だけどちょっと扱えるようになるまでここで練習してもいい?」

「制限時間なんてないんだし、いくらでも練習していいよ」

「ありがとう。さて、最後は衝撃を試してみる」

手を前に構えて魔力を集中させてブルドが放っていた衝撃波をイメージする。するとブルドが放っていた衝撃波には届かないが衝撃波が手の平から放たれた。手の平からだけじゃなくて足から頭からと色々と試してみた結果、体のどこからでも放つことができるのが分かった。後は魔力の量で威力も調節できるみたいだ。


「よし、一通り試し終わったから腐る前に解体しちゃおうか」

「はーい」

4mはあるブルドを解体し終わったら大量の肉が確保できたが、流石に多すぎだったので食べない分は魔法で凍らせてアイテム袋に収納しておいた。そして、肉を焼きながら今後のことを相談していた。


「この迷宮の情報が手に入ったのは良かったけど100階まであるみたいだね。しかもボスがいてさらにブルドよりも強いと来たか」

「そう…だね」

「今回の戦闘でよく分かったけど火力が足りない。だから色々と武器を作りたいと思う」

ブルドを倒すのに圧倒的に火力が足りなかった。頼みの綱だった45ACP弾タイプの弾薬だとブルドの身体強化を貫けなかった。今後ブルド以上の防御力を持っている奴に出会ったら確実に倒せないことになる。だからここで武器を強化することにした。


作るのはショットガンをメインに作ろうと思う。とは言ってもそこまで詳しいわけじゃないから俺がゲームで見たことがある感じの見た目から手探りで作ることになると思う。目指すのは連射できてマガジンで装填できるようにするのが目標だ。理由としては手数がかなり多くなるのと桜のスピードなら一瞬で有効射程距離に近づけるからだ。


そしてもう一つの強化は特殊弾を作っておこうと思う。一つは炸裂弾、別名で榴弾という弾薬だ。弾丸の中に爆発の魔方陣を書き込んでおいて復元で爆発させるため俺専用になるけどこれでカリバーの威力を底上げできる。今のところは強化はこれだけにしておく。まあ、作っても持ち運ぶのが問題だからな。そこら辺の問題が片付けばスナイパーライフルを作りたいんだけどな。先にミスリル以上の鉱石を手に入れないといけないけど。


この後は2人でうんうん言いながら武器を作成をすることになった。何気に桜にFPSゲームの知識があるのが意外だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ