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異世界の契約者  作者: 木剣
第二章 迷宮編
24/35

迷宮全力マラソン

全力疾走でマラソンなんて絶対にやりたくないですね!

「う…ん?」

額に冷たいものが当たって俺は目を覚ました。なんで俺はこんなところで寝ているんだ? 確か転移陣で転移した後、どうしたんだっけ? 頭が完全に覚めて意識がはっきりすると俺は飛び起きて周りを見渡した。するとすぐ近くに野原さんが倒れていた。


「野原さん! 大丈夫か」

急いで駆け寄って容態を確認する。よかった。怪我はないみたいだ。野原さんが目を覚ますまで膝枕をしながら周りを確認すると迷宮の岩でできた部屋だった。壁のところどころに光を放つ石が埋まっていて昼間のような明るさがあった。だけどおかしい。


確か俺は外に飛べるように指定したはずだ。なのにどうしてまだ迷宮の中なんだ? よく見るとドアが一つしかない。ますます謎だ。とりあえず、装備に異常がないかをチェックしていくとアイテムバックが全部なくなっていた。そしてもう一つ問題が起きた。何度呼びかけても妖精たちの反応がないのだ。


『フィーリア! 返事をしてくれ!』

『ご…めんな…さい。意識を保っていられないの。皆、強制的に眠らされているから精霊魔法は使えなくなるよ…。私も限界なの…』

『そっかありがとう。今は無理をしないで休んでくれ』

『待って、せめてこれだけでも…』

『これは?』


光り輝く鍵のようなものが俺の目の前に現れた。それに触れると俺の手に溶けるように消えてしまった。

『<こ???>が解放されました』

『私の能力は具現化じゃないの…本当は……』

その言葉を最後にいくら呼び掛けてもフィーリアからの反応が無くなってしまった。具現化じゃないってどういうことだ? いや、待てよ? もしかしたらステータスカードのほうに書かれているかもしれない。そう思ってカードを探そうとしたがそういえばアイテムバックが丸ごとなくなってたんだった。


「ううん…」

おっと、野原さんが目を覚ましそうだな。

「ここは? 蓮君? って私どうなって?」

完全に意識がはっきりしたんだろう。顔が真っ赤になったと思ったらすごい速さで起き上がってきた。一応、その動きを予想して俺は体を後ろに傾けていたためぶつかることはなかった。

「なななな! なんで西城君がいるの! ま、まさか夜這い!?」

「いや、落ち着こうよ野原さん。どう見てもここ部屋じゃないでしょ」

「あ、え? 本当だ。ここって迷宮?」


「多分そうだよ。でも、おかしいんだ。確か俺は外に飛べるように距離を指定したんだ。なのに迷宮にいる…ちょっといきなりだけど装備を確認してもらってもいいかな?」

「うん……アイテムバック以外は全部あるね」

「やっぱりそうか。俺もアイテムバックがないんだ。もしかしたら誰かがアイテムバックだけを取って俺達をここに放り込んだ可能性があるね」

「誰がこんなことをしたんだろ?」

「それはわからないけど。先に生き延びるためにこれからの行動を決めようか。アイテムバックに物資が全部入っていたからね…」


「ど、どうしよう?」

「うーん、水は魔法で出すからいいとして問題は食料だね。ここだと何もないから移動しようか」

「わかったよ。あ、あの膝枕してくれてありがとう…」

「どういたしまして。っとちょっと待って弾薬もないから少し作るね」

「はーい」

とりあえず、30発だけそこら辺にある石を使ってササッと作った後は一つしかない扉からこの部屋を出た。出た先は天井が約200mくらいあって奥行きは大体100mくらいの広い部屋だった。中央には壁があって左右に広がっていた。多分ドーナツみたいな形をしてるんじゃないかなと思う。

「すごく広いね」

「そうだね。というかこんな場所あの迷宮にはなかったはずだからここは別の場所だと思う」

「私もそう思うよ……ん? 何か聞こえてくる」


野原さんはそう言って右側を見つめ始めた。俺も索敵を使って確認しているとだんだん地響きがしてきて車の音が聞こえてきた。

「な、なんだかすごく嫌な予感がするんだけど」

「奇遇だね。俺もだよ」

2人で見つめあって冷汗を流す。そして地響きがかなり近づいてくるとその正体が分かった。

「ブロロロロロ!」

その正体は車の音を出しながら走る巨大な闘牛だった。かなりの速度でこっちに走ってきていて俺達を血走った目で凝視していた。これって明らかに俺達が標的だよね? 気が付くと俺達は左側に向かって一目散に走り出した。

「「わあああああ、こっちに来るなー! というかなんで車の音!?」」

2人でツッコミながら全力で走り出したがちっとも距離が開かない。


「はぁはぁはぁ、さ、西城君。あ、あれどうしよう!?」

「はぁはぁ、攻撃してみる」

走りながら後ろを向いて連続で銃を発砲する。12連の銃声を轟かせて死の弾丸を全部頭に叩き込むが相手はピンピンしていた。それどころか。怒ったようで速度が上がってきた。

「ブモオオオオオ!!」

「「わああああ!?」」

「ささささ、西城君!? 速度が上がったよ!?」

「ごめん、逆に刺激しちゃったみたいだぁ!」

そしてさらにスピードを上げて走り出したので、次にアースウォールを使って足止めを試みたけど結果はあっさりと壁を粉砕してきた。勿論さらにスピードが上がってこっちもスピードを上げるしかなかった。この後は膠着状態になってしまっていた。攻撃したら速度が上がるし、足止めも意味がない。そしてそのまま活路を見出すまで体感で3時間くらい走り続けることになったのだった。


「ねえ。西城君、お水貰えないかな」

「はい、どうぞ」

お前ら余裕そうだなと言われそうだけど実はこれには理由がある。筋肉が千切れる痛みが足を襲ってきてるけどなぜか千切れるのと同時に回復しているみたいで3時間たった今でもずっと走ることができている。なによりこの速度での移動に慣れてきて余裕が出てきたからこんな風に会話ができるようになった。だけど問題があって喉の渇きや空腹は癒されないみたいだ。水は大丈夫だけど空腹だけはどうしようもない。2人ともさっきからお腹が空腹を訴えてきていてそろそろ限界だった。ちなみにこの魔物のステータスはこんな感じだった。



ブルモオン

Lv:???

鑑定不能



正直に言って鑑定不能のステータスを持っているブルモオンを今の俺達は倒せない。風爪も走りながら作った手榴弾も効かなかったため、戦闘をせずに逃げ出すしかなかった。一応、ただ走り回っているだけじゃダメなので走りながら部屋の調査も進めていた。すると何か所か扉があったのでどれかに飛び込んでみようかと考えていた。罠の可能性もなくはないけどこのままだといずれ空腹で倒れる。選択肢は一つしかなかった。

「野原さんあそこに見えてる扉に飛び込もう。このままだとじり貧だ」

「わかった。いくよ!」

ラストスパートで速度を上げて扉に駆け込んだ。どうやらブルモオンはこっちにまでは入ってこないみたいでそのまま走り去ってしまった。去り際に「パッパラパッパッパー」って鳴いていた。めっちゃムカつくんだけど。ってすごい速度だな。時速70kmくらい出てるんじゃないのか? 


それはつまり自分たちもそんな速度で3時間以上も走っていたということなのだがその事実に2人とも気づいていなかった。さてと駆け込んだのはいいけどこの部屋は何だろう? 形はさっきと同じだけど…

「ねえ、すご~く嫌な予感がするんだけど」

「奇遇だね。俺もだよ~」

2人ともさっきと同じセリフを言って見つめあっていると左から「パラリアパラリアー」という鳴き声と共にさっきよりは小型のブルモオンがこっちに突撃してきた。

「「またかああああ!!」」


今度の場所は狭いくて横に4人くらいしか並べない広さしかなかった。そしてそこにまたブルモオンが突っ込んできた。こんな場所でぶつかったら潰されて終わりだ。だからまた走るしかなかった。今度は部屋が無駄に長くて曲がり角が多かったため全体を把握するのに結構時間がかかってしまった。大体6時間くらい走ったと思う。だけど今回は傷が回復しなかったので足に限界がきていてこれ以上はもう無理だというところにまで追い詰められていた。よく見ると野原さんも足が震えていた。

「これ以上は限界だから強行手段に出るよ」

「はぁはぁはぁ、どうするのぉ?」


「錬成と地面操作魔法で無理矢理、横穴を開けてそこに避難しよう」

「分かった…」

「次の曲がり角でいくよ。3、2、1、錬成&アースコントロール!」

言った通り無理矢理に穴をあけてそこに飛び込んだ。そしてすぐに穴を塞ぐとブルモオンは気づかずに行ってしまった。

「よ、よかった。うまくいった…」

「う、うん、もう私は走りたくないよ…」

「水を置いておくよ。一応、回復魔法もかけておく…」

「ありがとう」

水を飲んで回復し終わった後は2人して地面に大の字で寝転がっていた。


「流石に9時間以上の耐久全力疾走マラソンはきつい」

「そうだね…ここにも光る石あるんだね」

横穴を掘った先にもあの光る石が埋まっていて真っ暗じゃないのは助かった。というかなんの石だこれ? やっと安全に採取できる場所にこれたから調べてみるか。俺は鉱石鑑定を使って調べてみる。するとこんな情報が頭に流れ込んできた。



「発光石」

魔力の量によって光る色が変わる珍しい鉱石。


なんだか珍しい鉱石を手に入れたな。他にも鉱石の反応があったので面白くなって周りを確認していると重力石グラビティタイトも手に入ったのでこちらは錬金で不純物を取り除いて純度100%のインゴットにしておく。後、見つかったのは火炎石とミスリル鉱石があった。こっちも重力石と同様にインゴットにしておく。


「火炎石」

魔力を込めると燃える鉱石。城下町では主にランプや火おこしをする時に用いられる。


「ミスリル鉱石」

魔法との親和性が高い鉱石。これを用いて魔法を使用した場合通常よりも高い効果が得られる。



とにかくミスリル鉱石が手に入ったのがかなり大きい。これがあれば装備作成の幅がかなり広がるためどうしても欲しかったのだけど売ってもらえなかったので今まで入手することができないものだった。でも、今は鉱石よりも食べるものが欲しい。野原さんも俺もお腹が鳴りっぱなしだ。そんな恥ずかしそうに目をそらさなくてもいいのに。

「西城君、そのできれば聞かないでくれると…」


「いや、こんな状況じゃ無理でしょ」

「ううううぅぅ」

女の子座りをしてそんな恨めしそうに見なくても…まあ、しょうがない。あのブルモオンを捕獲するか。というかあれを食料にしよう。

「って何作ってるの?」

「あのブルモオンっていう魔物を捕まえるためのものだよ。さっきからあいつがもう肉にしか見えないんだ…」


「…そう言われると私もお肉にしか見えなくなってきた」

どっちも獣の目をしてブルモオンが走っているだろう通路の方向を見る。お腹の音がさらに飢えた獣の雰囲気をかもし出していた。

「よし、できた」

「それってまさか」

俺が作ったのは"トラバサミ"という罠だ。別の名前で"ベアトラップ"とも言われている。これは俺達の世界で禁止されている罠だ。構造は簡単で板バネという下から上に上がるだけの部品と挟み込む歯にあたる部品とストッパーと踏む場所の部品を用意するだけだ。


開いた状態だとストッパーで歯が戻ってこないけどいざ踏んでしまうとストッパーが外れて板バネが上に上がって歯の部品を固定する仕組みだ。板バネが固定する部分は円になっていて一度閉じてしまうと板バネを踏みながらじゃないと決して外れることがないから動物相手だと解除されることはまあないね。ちなみにこれを人間が踏むと足の骨が折れるくらいの力があるため踏むと痛いよ。今回は色々と考慮した結果、歯はギザギザにして両端に板バネを追加してさらに板バネは強力なものにしてある。


さらに重力石で作ってあるからめちゃくちゃ重い。これにかかったら確実に身動きが取れなくなること間違いなしだ。しかもかなり丈夫というおまけつき。よく考えたらこれかなり凶悪じゃねえか。ま、まあこれくらいしないと捕獲なんて無理そうだし、まあいいか。そう思って外の通路に仕掛けようと持ち上げようとしたが持ち上がらなかった。

「重っ! 誰だよこんなの作ったのは!」

「西城君だよ!?」

結局、魔力を流しながら野原さんと2人がかりで運ぶことになった。通路に運び出すと俺は一緒に作ってあった鎖を錬成で地面に埋め込んでさらに本体の一部も埋め込んでから横穴に戻った。罠にかかるまでは横穴の拡張と採掘でもしておくか。


しばらくするとブルモオンが戻ってきたのか地響きがしてきた。

「音が近づいて来たよ…」

「了解」

掛かってくれと願いながら近くに来るのを待った。そしてとうとう目の前にまでやってきたとき「バチン」という音と共にブルモオンが壁にぶつかる音がしてきた。すぐに穴をあけて外を確認すると足をトラバサミに挟まれたブルモオンがそこにいた。無理矢理、進もうとしているがあまりの重さに一歩も動けずにその場に固定されていた。それを見て2人して抱き合い歓声を上げた。


「「やったー!」」

ハッとなってお互い抱き合っていることに気づいてバッと離れるが、今はそれよりも空腹がひどいため恥ずかしさよりもブルモオンを調理することに意識を向けてしまった。

「お、おほん、とりあえず先に調理しますか」

「そ、そうだね。私も賛成」

俺達がブルモオンに近づくと「プップップー」と鳴き出して暴れ始めた。この時、ブルモオンはとんでもなく怖い捕食者の目線を向けられていたため何とか逃げようとしていたのだった。


「とりあえず、黙らせようか。うるさいし」

「そうだね。黙らせよ。うるさいし」

二人同時に風爪を使って首に刃を振り下ろすが結局、かすり傷をつける程度しかダメージを与えることができなかった。それを見たブルモオンは子馬鹿にするように「プープー」と笑い出した。

「「………イラッ」」

「ちょ~っと待っててね。野原さん」

「うん、私も風爪をもっと鋭くできるように練習するね~」

俺は別の武器を用意しに、野原さんは風爪の精度を上げるために風爪を展開しながら瞑想を始めた。そして30秒ほどで作成した武器をもって戻った。作成したのは巨大な斧だった。バトルアックスって言ったほうがいいくらいのかなりのサイズで俺の身長と同じくらいの大きさだった。


持ち手はミスリル鉱石で刃の部分は重力石を使って作成してある。鋭い刃で切れないなら重さで切り裂く方針に切り替えてみた。斧をみたブルモオンはこれはマジでやばいと思ったのだろうやめてやめてと目をウルウルさせ始めた(幻覚)がその急な態度の変化に俺はニッコリと笑って斧を構えた。説得は無理だと思ったのだろう再び暴れ出したが気にすることなく笑顔のまま近づいた。

「あ、私にも手伝わせて風爪を纏わせるから」

2人で持ち上げて風爪を展開する。そして斧をブルモオンの首めがけて振り下ろした。結果はキッチリとブルモオンの首は両断されていた。


「「イェーイ!」」

ハイタッチをしてさっそく罠を外してから横穴に引きずり込んでいく2人だった。肉屋でお手伝いをしていた時のことを思い出しながら解体していく。お手伝いをしていて本当によかったと思った瞬間だった。皮も材料になるから分けておく。なめしたいけど樹液も薬品もここにはないから木を見つけたら樹液を抽出してなめそうと思う。


ちなみに解体したばかりのものが"皮"でこれをなめすと"革"になる。皮のままだと腐敗したり、乾燥して硬くなる欠点があるため、できれば鞣したいところだ。アイテムバックにするのも鞣した革のほうがしっかりとしたものが作れるな。今回は単純に袋にしただけの物で作るつもりだけどさ。本当にアイテムバックの作り方も習っておいてよかった。


さてと解体が終わってお肉の塊にし終わった後、床に炎の魔方陣を書き込んで中央に火炎石を設置して焚火の準備を始める。ちょっとだけ魔方陣の真ん中にくぼみも作っておく。理由は脂がこっちに流れてこないようにするためだよ。後はちょっとした台を作って錬成で金網を作成してその上に肉を並べていく。お皿とフォークもそこら辺にある石を使って作成した。錬成ってかなり便利だな。そして味付けをしようと思ったが、よく考えたら何の調味料もないからただ焼くことしかできなかった。


「すごくおいしそうだけど焼き肉のタレとか欲しいね」

「調味料も全部バックに入れてあったからなぁ。この迷宮で材料を採取できたら作ってみようかな」

「そうだね~。あっもう焼けたよ。はい」

「ありがとう」

いい感じに焼けたものをお皿に取り分けてから両手を合わせる。

「「いただきます」」

二人同時にお肉にかぶりつく。口の中に入れると2人とも感動で声を上げていた。

「「美味しい~~~」」

「調味料がないのは惜しいけどこれなら十分食べられるな。脂っぽくもないし」

「そうだね~。でも、ちょっと大味なのは仕方ないかな」

どちらかというと牛に近い味だ。調味料やタレがなくて素材そのものの味だけど誰かが言っていた空腹は最高のスパイスだと…少しだけ硬いなと感じつつも全部食べ切っていた。


「「ごちそうさまでした」」

「結構な量があったのに食べきっちゃったね~」

「お腹がすいていたからなぁ。味は何とも言えないけどさ。でも、タレ次第で結構化けそうだな」

「塩とかもよさそうだね。後はおろし大根の醤油ダレでも合いそう」

「そう言われると食べたくなるな」

「フフッ、だね~」

お腹がいっぱいになって急に眠気が襲ってきた。ああ、そうか結構動き回って疲れがたまってたんだな。俺があくびをしていると伝染したのか野原さんもあくびをしていた。

「そろそろ休んでおこうか。このまま火をつけておくから先に寝ていいよ」


「それは流石に悪いよ。西城君がたくさん働いたんだから先に寝ててよ。維持するくらいなら私でもできるよ」

「そうだけどさ。野原さんも慣れないことをして疲れてるでしょ? だから先に休んで欲しい」

2人とも譲らずに言い合いが平行線になり始めたところで野原さんがとうとう折れてくれた。

「もう…わかったから。先に私が休むけどその代わり西城君の肩を貸してくれないかな?」

「それくらいならいいよ」

そう言って近づいてくると俺の隣に腰を下ろして頭を肩に乗せてきた。女の子特有の香りがして少しだけドキッとする。

「ありがとう。蓮君…」


それからはすぐに寝息が聞こえてきた。やっぱり疲れてたんだな。というか蓮君か…懐かしいな。ちょくちょく緊急の時は蓮君って呼んでいたのに気が付いていたけどこうして落ち着いた状態で聞くのはこれが初めてかな?

「こちらこそありがとう。桜、おやすみ」

頑張った野原さんの頭を撫でながら野原さんが起きるまで火の温度を調整していた。だけど蓮は気が付いていなかった。寝ているはずの桜の表情は少しだけ嬉しそうに口元が笑っていて頬も若干赤みがかっていることを。

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