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異世界の契約者  作者: 木剣
第二章 迷宮編
22/35

迷宮

明けましておめでとうございます。更新頻度は多くないですが今年もよろしくお願いします。

アクセス数が3000を超えました!これってすごいのか?いや、すごくないでしょうからもっと増えるように頑張っていきます!

数日後、蓮と桜はお城に呼び出されていた。そこでは司祭と団長、バルバ師匠が待っていて団長は何やら苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。何かあったのかな? と疑問に思っていると司祭が口を開いた。

「こんにちは、西城さん、今日君たちにここに来てもらったのは私から依頼があるからなのです」

なるほどそういうことか。何かを企んでいるけどそれがわからないためどうするかを決めかねているってことだな。

「そんなに警戒なさらないでください。私は純粋に緊急事態に対処したいだけなのです」


めっちゃ怪しいんですけど。何もしてきていないとは言っても流石にこの流れは警戒する。何よりも場所を指定してくる依頼なら罠を仕掛けていてもおかしくないからな。とりあえず、話だけは聞いておこう。

「…とりあえず、依頼の内容を話してください」

「ええ、わかりました。今回依頼したいのは迷宮の調査です。この世界には迷宮と呼ばれている魔物が生まれる場所が存在しています。その迷宮の1つで何やら魔物が一体も生まれないという異常事態が発生しているようなのです。西城さんにはその原因の調査に当たってもらいたいのです」

この世界では魔力が溜まった場所、通称魔力溜まりと呼ばれる場所から魔物が生まれてくる。迷宮はその魔力溜まりがかなりの濃度で溜まっている場所のことだ。


魔物は濃度が濃ければ濃いほど強力な個体が生まれてくるため迷宮となった場所はかなりの危険地帯となるのだ。だから、迷宮は人によって管理されているので異常が発生したとわかったのだろう。では、なぜ危険な迷宮を破壊しないのか? 理由はいくつかある。まず、生まれた魔物を倒した場合は消えずにその場に残るのだ。何より魔石という魔力が結晶化した石を採取できる。だから資源となるため利用されている。


ちなみに魔石は俺達の世界で言う電池みたいなものだ。魔道具を動かすのに必要になる。つか、俺にも普通に売ってくれよ。そしてもう一つの理由は破壊しようとしてもなぜか再生するため破壊できないというのも理由らしい。時々、迷宮から魔物が出てくるがそれほど強力な個体は出てこないため騎士団で防衛ができているとのことだ。それに奥に行かなければ強力な魔物に会うことがないため冒険者にも一般公開されているみたいだ。


「私どもとしても安全な迷宮を失うのはかなりの痛手となります。ですので、今回の功績を踏まえて西城さんが今回の依頼に相応しいと思ったため指名させていただきました」

…聞いていて不自然なところは何もない。だけど司祭の表情が何か引っかかる。まるでこれで何もかもうまくいくと確信している…そんな自信に満ちた感じがする。俺が返事を渋っていると司祭は畳みかけるように話し始めた。


「もしも、魔物が迷宮外に溢れていた場合、近くの村に被害が出ることになります。過去にも迷宮から大規模に魔物が溢れだすということがありました。もしかしたら今回の異常事態はその予兆かもしれません。ですから住民を助けると思って受けていただけませんか?」

ぐっ、断りずらいことを言ってきた。確かに理屈は通っている。さらに過去に起こった事例も出してきた。もしも、罠じゃなくて本当のことだとしたら周りの人に被害がでる…罠だとしても受けるしかないのか?


「蓮、今回も私が同行します。できれば受けてもらえませんか?」

バルバ師匠も一緒なら罠の可能性は低いか? なら受けても大丈夫そうだな。

「バルバ師匠がそういうならわかりました。その依頼受けさせていただきます」

「ありがとうございます」

そう言って笑顔で握手を求めてくる司祭に俺は渋々、握手に応じるのであった。



翌朝、俺、野原さん、バルバ師匠の三人でリフトを使って召喚の間に向かっていた。

「今回は召喚の間に向かってますけど何かありましたっけ?」

「ああ、召喚陣は転移陣にもなるのですよ。使用するにはかなりのコストがかかりますが遠くに遠征するには便利ですからね。今回は非常事態ということで使わせてもらえることになったんですよ」

へえ~、便利そうだな。武器づくりにも使えそうだし、いろいろと聞いてみるか。そして大体聞き終わったころに召喚の間に到着していた。


「お待ちしておりました。では、こちらへどうぞ」

そう言われ案内されたのは俺達が最初に降り立った。あの変な模様がある部屋だった。これが召喚陣だったのか。部屋には魔術師の人達が召喚陣を中心に円状になって待機していた。俺達はその中心の召喚陣の上に乗り待機することになった。どうやら発動には少し時間がかかるみたいだ。それから一分くらいだろうか?召喚陣に魔力を注ぎ終わって光始めていた。


「準備は整いました。帰りはその帰還の羽を使ってお帰りください。では、後のことはよろしくお願いします」

そう言い終わると足元から地面の感触が消えて浮遊感に襲われた。周りの景色は一瞬ホワイトアウトしたかと思うと次の瞬間には岩肌の洞窟に変わっていた。これが転移か。これで体験するのは二回目だけどさ。部屋には足元に転移陣があって隅のほうに何かの魔道具が置かれていて後ろには外への出口があった。


「着きましたね。ここが迷宮です。魔物が発生していないと言っても警戒は緩めないように。先に2人で先行して魔物がいたら倒してください。念のためにここの結界を強化しておきます」

「「わかりました」」

先に野原さんと2人で先行する。俺の装備は2丁拳銃に貰った魔剣一振りのスタイルになっている。ちなみに2丁拳銃は反動あるし、当たらないと思うだろうけど衝撃吸収の付与のおかげでほとんど反動がないから一応、5割の確率で当てることはできるから採用した。


他には風の魔道具を強化してある。パラシュートの時に使った物は『纏風』を付与してあったけどこれを『疾風』に変えた。(纏風だった理由は上空の寒い風対策のためだったからだ。子供がいたしね)さらに試作品の風操作の魔道具も組み込んであるので結構な高機動ができるようになった。


野原さんにも同じものを渡してある。この魔道具は腰の左右のベルトにつなげてあってナイフもいくつか仕込んであり、後はいつも通りアイテムバックをつけてある。二丁拳銃は太もものホルスターに魔剣は背中に背負ってある。服は黒色のコートで下の服は普通の服だ。一応、防刃ベストは完成したけど結構重いから結局不採用になった。


野原さんはベルトなどは大体俺と一緒だけどコートとかは着ないでスポーツブラみたいなかなり露出が多い上着に短パンという格好だった。寒くないのかな? というかすげえ目のやり場に困る。巨乳だし。装備は一丁拳銃に少し大きめの短剣一振りでナイフを何本かベルトにさしてある。何だかバルバ師匠の装備に似てるな。まあいいか。


こんな感じで若干装備のほうを強化することに成功した。手榴弾と風爆も調整を入れてちょっと面白い使い方もできるようになった。それはおいおい見せることになるかもしれない。

さてと、今は索敵を使いながら迷宮の1階を探索中だ。迷宮の壁には光る石が埋まっていて結構明るいから視界は悪くない。


ある程度探索するとどうやらちょっとした迷路になっているみたいだ。でも、迷うことなく下に通じる階段を見つけた。というかほぼ直線だったわ。そしてここに来るまでに魔物とは一匹も会うことはなかった。

「本当に魔物が一匹もいないね。音も匂いも全然しないよ」

「ああ、索敵にも引っ掛からなかったから隠れているわけでもなさそうだ」

疑問に思いながら考え込んでいたが、結局結論は出なかったのでバルバ師匠の元に戻ろうと後ろを見たらちょうどバルバ師匠が走ってきていた。


「お待たせしました。では、行きましょうか」

「「はい」」

「ここは3階までしかありませんので調査はすぐに終わるでしょうけど警戒はおこたらないように」

「わかりました。それにしても本当に魔物の気配がありませんね」

「普段ならもっといるはずなのですが…本当にいませんね」

それからしばらく歩いていると階段を見つけたので降りていった。で、ここが3階だけど何だかノコギリみたいな形をしていて結構な広さがあった。所々に魔力を感じる大きめの石が壁から生えていた。


「奇麗…」

「これが魔石ですか? ちょっとだけ採掘してもいいですか?」

「それが魔石ですよ。採掘もして大丈夫です」

「おおー、精霊石と比べて結構魔力を溜め込めるんですね」

「そうですね。魔石は量に優れていて、精霊石は質に優れていますからね。少々、準備が必要になりますが魔石も作ることはできますよ」

なるほどな。この場合、質というのは属性の割合のことだ。魔石はどの属性にもなって精霊石は火属性と風属性が混ざったといったものが多い。精霊石は簡単に作れたけど魔石だけは魔力の操作精度が悪いせいなのかうまく作れなかったためこの情報はありがたい。サンプルも手に入れたし、これで魔石も作れるようになるかな?


ある程度、採掘が終わったあたりでバルバ師匠の調査も終わった。

「うーむ、魔石があるってことは魔力が漏れ出していないでしょうが、魔物が発生しない。どういうことでしょう? 野原さん音に変化はありましたか?」

「壁を全部叩きましたけど空洞はないと思います」

「そうですか。いくつか魔道具を持ち込んで調べる必要がありそうですね。あれは複数人じゃないと起動できないので一旦帰還しましょうか」

そう言って3人とも帰還の羽を取り出したその瞬間、羽が急に燃え出した。すぐさま手を放して地面に捨てるとそこから魔方陣が広がり始めた。

「あつっ!?」

「やはり罠ですか! まさかこれは封印していましたね!」


「どういうことですか?!」

「今は逃げることが先決です。すぐに転移陣の部屋に逃げましょう」

「「はい!」」

そう言って振り返って走り出したときバルバ師匠がすぐに逃げるといった意味が分かった。魔方陣から魔物達が大量に出現してきていたからだ。ほんの数秒で後ろからは50体もの魔物の反応がしてくる。こんな速度で出現する魔物なんて処理しきれるわけがない。だから全力で走る。


そして2階への階段を上ろうとしたとき魔物の反応はもう100体以上になっていた。これだけいれば詰まるかと思ったがそんなことはなく一糸乱れずにこちらへと突撃してくる。使いどころはここだな。

「復元」

強化された手榴弾を投げつけてから階段を上がっていく。突如、下からものすごい地響きがして魔物の反応が一気に消えた。


「すごい威力ですね」

「西城君なにしたの!?」

「強化した手榴弾だよ。うむ、いい威力になってるな」

「ですがここではこれ以上使わないでください。あまり壁が分厚くないので使いすぎると1階への道が崩れます。再生すると言っても時間がかかるのでこの状況だと完全に積みます」

「わかりました」

そう言って2階を駆け抜けようとするともう魔物が溢れかえっていた。

「仕方ありません。結界の石」

バルバ師匠が投げつけた石が割れると道になるように結界が展開されミシミシと音を立て始めた。

「急いで! あまり持ちませんから!」


そしてそのまま急いで1階へと駆け上がっていった。1階は軽い迷路だが出口と階段の位置はほとんど直線の位置にあるため真っすぐ走っていく。どうやらまだここには魔物は出現していないみたいだ。そう安心して気が抜けてしまったのだろう。俺は上から急に現れた岩の魔物に気づけなかった。

「危ない!」

そこにバルバ師匠が俺を庇うように突き飛ばした。岩の魔物は上から降ってきていた。その下にいればどうなるかは一目瞭然だった。

「あああああ!!」

バルバ師匠が岩の魔物の下敷きになってしまった。まずい、俺のせいで俺のせいでこんなことに!すぐにに助けないと!


「バルバ師匠! すみません。すぐにどけます!」

「い…え、もう、無理です。すぐに、逃げなさい」

「でも!」

「足の骨が完全に折れています。私を担いだままだと間に合いません」

「す、すぐに治療すれば」

そうこう言っているうちに周りにさっきと同じ魔方陣が出現し始めていた。

「まずい、行きなさい!」

そう言ってもまだ動かない俺にバルバ師匠は怒鳴り散らす。

「蓮! ここで死ぬつもりか! お前の後ろには野原さんがいるだろう。野原さんも死なせるつもりか!」

「あっ」

「いけえええ、必ず生き延びろおおお!」


「ごめんなさい。バルバ師匠」

俺はそう言って泣きながらすぐに走り出した。その後ろ姿を見てバルバは笑っていた。そしてとうとう魔方陣から現れた魔物に飲み込まれていった。

「西城君…」

「ごめん、野原さん行こう」

そして転移陣の部屋に飛び込む直前に後ろを振り返る。バルバ師匠がいた場所はもう魔物に飲み込まれていて何も見えなかった。

「ご指導ありがとうございました」

俺はそういうと転移陣の部屋に飛び込んだが、そこには絶望が待っていた。


出口が無くなっていた。野原さんが出口があった場所を叩いているが完全にふさがっているみたいでびくともしない。

「野原さん、下がって。手榴弾を使う!」

「うん!」

復元を使って手榴弾を投げつけて爆発させたがそこには傷1つない壁が立ちふさがっていた。やけくそになって連続で爆発させるが結果は同じだった。さらに近づいて野原さんは風爪で何度も攻撃して俺は錬成から地面操作魔法に使える手段全てを試したが壁はびくともしなかった。ここで完全に理解する。俺達はここに閉じ込められた。後ろからは大量の魔物が迫ってきている。


活路を見いだせずにもう終わりだと思い2人とも膝から地面に崩れ落ちる。幸い魔物はバルバ師匠が貼りなおした結界のおかげでまだ入ってこないが壊れるのも時間の問題だろう。

「ねえ、西城君どうしよう? 私たちここで死ぬのかな?」

絶望に染まったその表情を見て俺がここで諦めるわけにはいかないとバルバ師匠に顔向けできないと自分を震え立たせる。絶対に野原さんを守って見せる。何か使えるものはないかと視線を漂わせるとちょうど転移陣が目に入った。そうだ! これを使えば脱出できるかもしれない。


「野原さん諦めるのは早いよ。転移陣を使って脱出しよう」

「えっ?」

急いで転移陣に魔力を流し始めるが、このままだと魔力が全然足りない。今ここで俺は転移陣の式を書き変え始めた。行き先は50m先でいい。転移人数も陣の上にいる人数じゃなくて2人だけを指定。空間魔法の無駄な部分を消して最適化する。よしこれなら魔力が足りる。すぐに魔力を流して発動準備に取り掛かる。だけど結界にはもうヒビが入り始めていてこれだと結界が敗れる前に発動させるには間に合わない。

「大丈夫、私に任せて! 私だって守られてばかりじゃないんだから!」

野原さんが俺を守るように前に出るのと同時に結界が敗れてしまった。そこに野原さんは短剣を構えて突っ込んだ。


魔物の攻撃を必要最低限で躱してすれ違いに風爪を振るって両断していく。一匹だけすり抜けて俺に向かってきた魔物には疾風で勢いをつけたナイフを頭に投げつけて絶命させる。その様子はまるで洗練された舞みたいだった。白い髪を揺らして剣の先から赤い花を咲かせている。美しい…ハッ! 見とれている場合じゃなかった。それから約25秒くらいで発動の準備が整った。

「野原さん! いけるよ!」

「うん! 『疾風』フルパワー!」


最後に疾風を放って魔物から距離を取ってから戻ってくる。怯まずに追撃しようとする魔物は俺が銃撃で倒して援護する。そして俺のもとにたどり着いたところで転移陣を発動させた。

「転移!」

2人とも魔力が枯渇してフラフラになりつつもこれで生き延びることができる。魔物達が迫ってくるがぶつかる直前に俺達は転移した。それと同時に俺は意識を失ってしまった。

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