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異世界の契約者  作者: 木剣
第一章 異世界へ
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帰還

ちょっと改稿して辻褄を合わせたいところが出てきたのでしばらく更新はお休みです

あれから王都へと無事に到着した俺達は住民に歓迎されたが、先にしなければならないことがあったので断りつつ俺は宗司のもとにバルバ師匠は大臣達に報告しに行った。野原さんはその場に残って住民の皆さんに囲まれていた。


「宗司! 今戻った。これが相手の情報と周辺の地図だ」

「おう、ありがとう。へぇ、上手くいったみたいじゃないか。この地形なら…」

そのまま考え込んでしまったため俺はその場を後にする。宗司に渡したのはマップの技能を付与した紙だ。普通なら宗司がマッピングしないといけないがこうすると俺でもマッピングできて宗司が使うことができるので活用させてもらっている。さて、ここからは俺にできることはないため俺は寮に帰って戦闘の問題点を解決すべく試作していた。


今回問題になったのはリロードだ。銃は確かに強力な武器だけど銃弾がなければただの鈍器になってしまう。そんなことが起こらないようにスピードローラーを作ったけど接近戦に持ち込まれたらリロードする隙が一切なかったため意味がなかった。空中リロードとかすればいいんじゃないかと思ったけどあれができるのはアニメの中だけかもしくは認識能力と身体能力がとてつもなく高くないと無理だ。


つまり、何が言いたいかというと今のリボルバー銃ではリロードという弱点を克服することができない。ならオートマチックの銃で弾数を増やしてクイックリロードをしやすくしようとすればいいがそれもできない。何回もオートマチックの銃を作成しようとしてきたが5発以上発砲すれば必ず壊れてしまうからだ。理由は簡単だ。今手に入る素材だと連続の発砲に耐えてくれないのだ。オートマチックは確かに便利になるが部品の数が多くなって機構的にもリボルバーに比べて脆くなってしまう。硬度上昇の付与をつけてもこれは改善できなかった。


結論を言うと今の現状だとリロードの問題を解決できないということだ。じゃあ、何を作ってるの? というと作っているのは防刃ベストというものだ。とりあえず、銃が強化できないなら防御面を強化しようと頑張っている最中だ。銃は軍オタの兄貴がいたからなんとか作れたが防刃ベストは別だ。構造も全く知らないから色々と試して貫通しない編み方を見つけるしかなかった。今は布にしたものに謎の敵からもらった剣を刺しているところだ。


「豆腐みたいにあっさりと貫通したな。はぁ、また失敗か」

うーむ、そういえば鎖帷子くさりかたびらっていう防具があったよな。あれの構造を参考にするか。いや待てよ? 作るのはベストだけじゃなくてもいいよな。一回できるかどうか後で試してみるか。

ちなみにこの剣はどうやら魔剣みたいだ。何の魔剣かを知りたかったけど俺の鑑定じゃ何もわからなかった。明日、メルの研究所に持って行って調べてもらうつもりだ。

「上手くいく気がしないなぁ。戦闘スタイルを変えるか?」

距離に応じて銃と剣を切り替えるほうがいいかもしれないな。でも、作成できれば頼りになるから諦めずに作るか。


待てよ? ふと思いついたことを俺は実行するために鉄板に火種の式を彫ってから錬成で一部を消して復元を使ってみた。すると溝が復活して火種が発動した。それをみて俺はニヤけながら新しい武器の構想を思いついたのだった。その後、部屋からは苦悩する蓮の声だけが響いていた。



桜は今、困惑していた。王都に帰ってくると住民の人達に囲まれてしまったからだ。びっくりして思わず蓮君に助けを求めたけど「大丈夫だよ」と微笑んでそのままどこかに行ってしまった。完全に囲まれてしまって動けない状態でどうしようもない。私が困っていると蓮君にお肉を奢ると言っていたおばさんが私のほうに近づいてきて手を前に伸ばしてきた。その行動にビクッとなったけど黙って次の行動を待っていた。もしかしたら殴られるのかなと思ったけど次の瞬間、私は抱きしめられていた。

「桜ちゃんでいいさね? 今までごめんねぇ、あたしらのせいで色々と迷惑をかけたね」

「えっ?」


「私らからもごめんね。人の性格なんて噂なんかでわかるわけないのにね。見る目がなかった私らも本当に馬鹿だよぉ」

「あの、どういうことですか?」

「あたしらわね。桜ちゃんが亜人ってだけで一方的に悪者だって決めつけてたさね。実際に会ってみるとこんなに可愛くて勇気のある女の子だったさね」

「でも、私何もできてな」


「できたかどうかじゃないさね。一番大切なのは行動すること。誰でもいうことだけならできるさね。だから、あたしらのために戦いに行ってくれてありがとう。無事に帰ってきてくれてありがとう。おかげで桜ちゃんに謝ることができたさね」

「そんな奇麗な理由で私は…!」

「桜ちゃんはあたらしらが困っていたら見捨てるかい?」

「絶対に見捨てません! 私にできることがあれば何でもします」


そういうと皆が笑い出した。え? どういうこと?

「あっはっは、いや、ごめんねぇ。蓮ちゃんと同じだったからね。あの子も即答だったよ」

「あっ、えっ、蓮君と同じ?」

「そうさね~。おや? これは乙女の顔だねぇ。お肉を奢ってあげるから色々と話を聞かせてもらうさね」

「…はい、ありがとうございます」

今日私と町の住民の皆さんとこうやって和解することができた。その後はすごい勢いで質問攻めをされながら美味しいお肉を食べさせて貰いました。美味しかったです。


皆さんに解放されたのは日が落ちかけの時刻でした。夕刻っていうのかな? そんなことを考えつつ研究所に帰っていた。ちょうど研究所が見えるところまで来るとドアの前に仁王立ちで立っている人がいた。ってあれはメルちゃん? よく見ると青筋が幻覚で見えるくらい怒っているのがよくわかる。な、なんで?

「た、ただいま~」

「お帰り~桜~ねえ~? なんでこんなに遅くなったの? 夕飯前には帰ってくるって言ったよね?」

そういえば出発前にそう言った覚えがあったよ。やばい完全に忘れてた。冷汗がダラダラと流れてきて止まらない。ど、どうしよう。


「う~ん? その反応完全に忘れてたね?」

「…ごめんなさい」

メルちゃんが手を振りかぶったので思わず目をつぶって身構えた。でも、待っていても来るべき衝撃がこないので目を開けるのと同時に私はメルちゃんに抱きしめられていた。

「どれだけ心配したと思ってるのよ。帰ってきてるって知らせが来てから全然帰ってこないからまさか大怪我したんじゃないかって」

メルちゃん…そんなに心配してくれてたんだ。

「…ただいま、私は怪我もせずにちゃんと帰ってきたよ」

「お帰り、桜」


私はそのままギューッと抱きしめられた。ちょっと痛いくらいに。

「メルちゃん、ちょっと胸が痛いよ」

そういうと何だかメルちゃんの背中に炎のオーラが噴出しているような幻覚が見え始めて本能がすぐに逃げろと訴えてきます。

「さーくーらー? それは私が貧乳って言いたいのかなー?」

あっ、地雷を踏みぬいちゃった。

「そ、そんなことないよ。私これから用事があるので失礼しまーす」

「そんな嘘が通じるか! 待てこら止まれー!」

「ごめんなさいいい!!」

しばらく研究所の周りでは楽しそうな女の子たちの声が響き渡っていた。


「はぁ…」

メルちゃんとの追いかけっこで捕まって尻尾をモフられ終わった後、自室に戻ってきていた。ベッドに寝転ぶのと同時に私はため息をついてしまっていた。その理由は単純で。

「何もできなかった」

ただそれだけが私の中に残っていた。いざとなった時に私は銃の使い方も忘れて風爪で切りかかっただけだった。あの瞬間まで見ているだけの自分がひどく許せなかった。


そんな自分も嫌だけどそれ以上に気になることがあった。それは最後に蓮君が自分を犠牲にしてお腹に剣が貫通した時は…あの時は自分の中にある何かが激しく叫び声をあげているのが分かった。あれが何なのかわからないけど嫌な予感がするそれだけはなんとなくわかってしまった。今気にしても仕方ないかな。私は不安を奥底に押し込めて明日からはどうしようかと悩み始めた。

「バルバさんに相談してみようかな」

とりあえず、私は戦闘訓練を積んで少しでも蓮君の役に立てるようにと努力することを決めた。



「ただいま戻りましたよ」

「もう帰ってきたのかバルバ。ってどうしたんだその服装? そんなに強敵だったのか」

「ええ、私もかなり苦戦させられました。挙句に取り逃がしてしまいましたからね」

「そうだったか。お疲れさん」

「ところでガイア団長。なにかありましたか? 何やら大臣や教会連中に不穏な空気が漂っていますよ」

「…どうやら今回の偵察でお前たちを暗殺しようとしたが失敗したらしい。何者かに妨害されたと言っていたな」

「なるほどそういうことですか。ということはまさか?」

「ああ、蓮と野原の処分が奴らで決まったみたいだ。それと同時に勇者達を『フール神教国』に招待するための理由を作るつもりなのだろうな」


「とうとうこの時が来てしまったのですか。今回が失敗ということはまたどこかで仕掛けてきそうですね」

「くるだろうな」

「殺させませんよ。あの子はやっと私が見つけた後継者になりうる器を持っているのですから」

「やっと見つけたのか。やったな」

「ええ、やっとですよ」

その後は蓮が団長と呼んでいるガイアとバルバでお互いに笑いあっていた。

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