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異世界の契約者  作者: 木剣
第一章 異世界へ
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銃の改良

次回更新予定は11月19日です。

宗司が走り去っていった後、俺は一人寮に戻ってきてさっそく問題点を改善するために机に向かっていた。一応、どうやって銃を作り出したかを最初から考えていく。そうすることで改善方法を思いつくことがある。色々と考えながら鉄板に爆発魔方陣の式を彫っていく。細工の技能のおかげか最初のころに比べたら作業速度がかなり上がった。思えばよくここまで作り上げたなぁ。弾がまっすぐ飛ばなかったり、シリンダーが回らなかったり、撃った瞬間ぶっ壊れたり、弾が不発になったり暴発したり、あぁ…自爆した時は死ぬかと思ったな…やべ、悲しくなってきた。


さてと弾薬は鉄板に手榴弾と同じ式を彫り込んで錬成で式が内側になるように円柱状に加工する。そして底の部分に小さく穴をあけて浮かせる。これを押し込むと式が完成するようにする。こうすると発砲できるという仕組みだ。ここからさらに錬成で収縮させて拡大率を下げることで威力を落とす。サイズは大体9ミリ弾と同じだ。

銃本体は俺が知りうる限りでリボルバーを再現したものを作り出した。というか兄貴の軍隊オタクの知識が役に立ったため何とか作れた。シングルアクションとダブルアクションが可能なタイプにしてある。銃本体には硬度上昇の付与をしてある。そうしないと本体が壊れるんだよ。


シングルアクションは弾薬を叩くハンマーを上げてから引き金を引く動きのことだ。こっちのほうが早く発砲することができる。

ダブルアクションは引き金を引けばシリンダーが回転してからハンマーが弾薬を叩く動きのこと。こちらはシングルよりもワンアクションが入るため発砲が遅い。その代わり連続で発砲できる。


ちなみに付与と刻印魔法というのがあって刻印魔法はスクロールを金属に刻んだものといったほうがわかりやすいかな?これは何回も使えるため魔法武器や杖にはよく使用されている。基本的には魔力吸収を刻んでいることが多い。ただどうしても加工が難しいので値段はお高いです。勇者の武器は全部キッチリと刻まれてますよこれ。俺にはないよ!畜生!


話がそれたな。さて、今回の実験では命中精度と秘匿性が問題点として挙がってきたので新たに改良を加えることにした。主に弾薬にだけどね。爆発の式をかいた底の面を覆うようにもう一枚硬度上昇の式を追加した。これで薬莢の強度を上げることで本体が壊れるのを防ぐことができるようになった。これによって銃本体に付与していた硬度上昇の付与を衝撃吸収に変えることで命中精度の問題を解決できるだろう。さらに秘匿性は爆発と硬度上昇の式の間にほんの少しだけ隙間を作って爆発の式にだけ硬度上昇の式を適応しないようにして爆発と同時に砕け散るようにした。その代わり加工難易度がめっちゃ上がったよ。ああ、さらば俺の睡眠時間…


今思えばここまで来るのに何回失敗したことか…。最初は復元を用いた発砲方法を使っていたが威力が桁違いすぎて一撃でぶっ壊れるとんでもない銃だった。仕方なくバルバ師匠に相談して爆発式の威力を弱めるための手段を学んだ。それと同時に銃本体の強度を上げるための設計にもアドバイスを貰えてやっと壊れないようにできた。


ここまで頑張っているのには理由がある。それは宗司のためだ。宗司は職業が指揮官のせいで魔法も剣も使えない。そのためもしも戦闘になったら確実に殺されてしまうそれだけは何としても避けたい。だから魔法が使えない宗司でも使えるようにここまで苦労している。それでも俺は宗司のことを怒らせてしまった。もっとあいつのことを考えてやればよかった。あいつの不安に気づいてやれなかったのが悔しい。

「ウジウジしてても仕方ないか。シル、宗司を探してくれないか?」

『ソウジ君?任せて~風よーふぶけー…もう帰ってきてるみたい~』

「ありがとう。はい、お礼のお菓子」

『わーい』


風の妖精に頼んで宗司の場所を調べようと思ったけどどうやら帰ってきてるみたいだ。ちなみに風の妖精の名前はシルだ。フィーリアと同じくらいの大きさで髪の毛と瞳が翡翠色だ。髪型はツーテールっていうのかな?上のほうで少しくくっていて毛先は風の妖精なのかウェーブが掛かっている。普段はなんかつかみどころがない感じだけどお菓子を食べているときは子供みたいで可愛いな。おっと、宗司を出迎えなきゃな。やっと改良も終わったことだし、帰ってきたか。



「ただいま、ぜえぜえ…」

「そんな息切れするまで急いでどうしたんだ?」

しばらく息を整えるために俯いて深呼吸していたがある程度落ち着いたあたりでバッと顔を上げて言った。

「蓮、本当にごめん!俺、お前に八つ当たりしてしまった。俺の不安をお前にぶつけるなんて親友失格だ!だから俺を殴ってほしい」

「飛躍しすぎだおい…ま、そのほうが宗司らしいよ。ほい、改良したやつだ。それの感想を原稿5枚に書いたら許すよ」

「お前…それそんなに時間たってないだろ?もう改良したのか。って原稿事態ここにないだろ!」


「なら作ろうか?一枚一文字の原稿用紙を」

「っはははは、そう来たか。わかってるよわかりやすすぎる問題だな!感想は一言"ありがとう"」

「正解、悪かったな。宗司の不安に気づいてやれなくて…安心できるようにお前の攻撃手段を増やしてやりたかったんだ」

「やっぱりお前はすげえよ。自分の力で切り開いていけるお前が羨ましくて悔しい…俺はお前に嫉妬してた」

「そんなことを思ってたのか。今俺がやっていることはものすごく苦労する道だぞ?羨ましいか?できることなら宗司みたいに楽なほうがよかったよ」


「俺も嫌だよ蓮みたいに苦労するの」

「さっき言ってたことと違くね?俺バカにされてない?」

「褒めてんだよ。察しろ」

そこまで言い合ってからお互いに笑った。そこからは蓮が用意していたご飯を食べながら溜め込んでいたものを吐き出すように話し合った。

「そっかそっか宗司も悩むことあったんだな」

「うるせえ、そうだ蓮、ちょっと頼みごとがあるんだけどいいか?」

「いいけどどうした?」

「実はさ…」

今日蓮と別れた後のことを少々ぼかしながら説明した。


「なるほどなるほどアトリアに惚れたのか。で、プレゼントを何にすればいいかを考えてほしいと?任せておけ!最高のプレゼントを作ってやろう」

「いや、誰も惚れたなんて言ってないぞ!」

「顔を見ればわかるぞ。例えば今からアトリアに告白しに行くって言ったら嫌だろ?」

「それはまあ…」

「冗談だから睨むな怖い」

つい目に力が入っていたか。やっぱり俺はアトリアさんのことが好きなのか…好きみたいだな。俺って単純だな。

「……プレゼントのことは頼む」

「任せとけ。よし!さっそく作るぞ。みんなの力を貸してほしい」

『『『『はーい』』』』


「まて、何を作る気だ。こんなに魔力を集めてどうするんだ」

「惜しい。魔力じゃないんだ。今作ってるのは精霊石だよ。精霊の魔力が結晶化したもので主に召喚の儀式に使われている物なんだ」

「なんで精霊石を?」

「実はな。アトリアってちょっと天然なのか分からないけど召喚の儀式に魔石を使ってるんだよ。で、魔石を使うと実は精霊を召喚するための魔力の質が足りないから全然召喚できないことが起こるんだ。つか、何が召喚されるかわからんことになる。実際…いや、知らなくてもいいか」

「気になる終わり方をするな!てかなんでプレゼントが精霊石になるんだって聞いてるんだよ!」


「一応、精霊使いの女の子だぞ?精霊使いにとって精霊石はとても貴重で大切なものだ。そのアクセサリーを贈れば喜ばれること間違いなしだろ?俺の持てる技能全てをつぎ込んで最高のものを作るぞー」

「…ありがとう。ってなんで3つ作ってんだ?」

「アトリアに精霊の魔力を込めて貰えばお前も精霊の力を借りられるからな。会いに行く理由になるぞ。もう一つは召喚の儀式に使ってもらおうと思ってな。アクセサリーのほうはお前からのプレゼントとして渡せよ」

「りょ、了解」

その後、宗司とアトリアの関係がどうなったのかはまた別のお話。



固有技能<統率>が解放されました。

<統率>…覚悟を決めたものが得ることができる技能。戦闘時マップ内にいる味方全員に念話の技能を付与する。また、陣形により様々な補助がかかる。

<命令>に範囲命令が追加されました。マップ上でまとめて命令することが可能です。ただし、直接命令したときよりも補助効果は下がってしまう。

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