入学式当日
爽やかな風が吹き付ける桜並木を、ゆったりとした歩調で歩いているのは、ゼロ改め笑美。
「ここが、海星高校・・・か」
笑美は、校門の前に立ち止まり、ぼそりとつぶやいた。
だが、立ち止まっている余裕はない。なぜなら、もう入学式は、始まっているのだから。
ここでようやく笑美は動き出した。
約三分後、笑美は所々マイクの音が漏れ出している体育館の扉を勢い良く開けた。
そのため、予想よりも大きな音が響き、体育館内にいるほぼ全員といっていいほどの生徒や、教師の視線が笑美に突き刺さっていたが、そんなこと気にも留めずにぶつぶつと独り言を言っていた。
「遅れた…。第一なんで三日後なんだよ。そんな短時間で準備できるわけがないに決まってんだろ。カレンのやつバカじゃねぇの?―――――――…。」
自分でも聞こえるか、聞こえないかぐらいの声で言っていた為、幸い誰にも聞こえていなかった。
でも、はたから見ると、うつむきながら突っ立っているおかしい1生徒のようにしか見えない。
「おい!!そこの君!」
シーンとした、体育館の中で大きな声を出した教頭の声が大きく響いた。
「僕、ですか?」
教頭が、近寄ってきてからの、笑美の切り替えは早かった。
一人称を、「俺」から「僕」に変えるなど、先ほどの笑美と、今の笑美とでは、まるで別人のようだ。
これも、暗殺では必要な技である。
「君に決まっているだろう!入学早々遅刻とは、いい度胸だな!」
「はぁ…」
俺はため息とも受け取れるような息を吐いた。
仕方ないだろう。入学3日後だって言われたら、誰だって間に合わないないに決まってる。
家を出るときには、もうすでに入学式開始まで、5分しかなかったし…。
まぁ、俺が家の屋根とか使ってマジで走ったら余裕で間に合ったけど。
「なんだその気の抜けた返事は!?気がたるんでいる!!名前は何だ!!」
何この人…。やべぇ…。おもしろっ 読者の皆さん気付いてる?
この人……。
語尾に必ず『!』がついてますよ?