少年暗殺者Ⅱ
『殺し合い』の音が、時折聞こえてくる。
規則正しい音が、止まった。聞こえてくるのは、荒い一つの息づかいのみ。
「っはぁ・・はぁ・ちっ」
それは、ゼロの息遣いだった。少年は、自分の攻撃が当たらず、ストレスを感じていた。
そのため、ゼロは無駄な動きが多かった。
「息が切れていますよ。」
「っ・う・・るさ・いっそんな・・こ・と分かっている!!!」
ゼロは、息が切れているため、言葉がとぎれとぎれになっていた。
だが、対照的に男は、まったく息が切れていなかった。
「『ゼロ』、一つかけをしませんか?」
「・・・かけ、だと?」
「えぇ、そうです。とても簡単なことですよ。この『殺し合い』に負けたほうが、勝ったほうの言うことを聞く、ということです。」
「・・は?『殺し合い』に勝ったも負けたもない。『殺すか』、『殺される』ただそれだけだ。」
「本来はそうかもしれませんが、今回は違います。私はあなたを『殺さない』」
『殺し合い』で、殺されないということはゼロにとっては屈辱であった。
「俺を馬鹿にするのも、いい加減にしろ!!!」
「馬鹿になどしておりません。それで、賭けは受けるのですか?」
「ちっ・・俺はただ、お前を殺せればいい!!」
ゼロは、もうやけになっていた。