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溺れる理性




朝から最悪の気分だった。

頭は痛むし視界だって揺らぐ、目覚めてすぐは歩くことすら困難だった。

這いずるようにして台所へと向かい蛇口を捻り、出しっぱなしにしてあったグラスになみなみと水を注いで一気に飲み干す。

冷っこい感触が食道を通り過ぎる度に、頭痛が幾分か楽になる気がした。

もちろんそんな物はただの気休めに過ぎず、水の力が消えると再び頭痛がぶり返してくる。


「ううぅ……くそう、だから嫌だったのに……」


だが昨日はそうする必要があった、何が何でも記憶に残すわけにはいかなかったのだ。

自己防衛のための犠牲、そう思うと二日酔いの頭痛にも耐えられる気がした。

もちろん気のせいでしかないのだが。


「はあぁ……でもよかった、全く覚えてないよ。綺麗さっぱりと」


不幸中の幸いである。

おそらく、しばらくはさとりや勇儀と顔を合わせる度に意味深な笑みを向けられるのだろうが、自分で覚えておくよりは何倍もマシだろう。

目を瞑り、昨日の出来事を思い出そうとしても全く出てこない。

いや、全く何も浮かんでこないというわけではないのだが、辛うじて覚えている場面でさえもモヤがかかってよく見えない程度だ。


「私、勝ったんだよね、勝利を誇っていいんだよね……っつつ」


拳にぐっと力を込め、高らかに天に突き上げる。

しかしそんな勝利宣言もすぐに力を失い、いとも容易く地に落ちてしまった。

勝利の代償はあまりに大きかった、いくら病を操るヤマメと言えど二日酔いには勝てなかったのである。


「あぁー……痛い、きつい、だるい……今日は寝とこう」


誰かとの約束があるわけでもない、いつもなら暇を持て余してパルスィの所へ遊びに行くのだろうが、あれだって別に約束を交わしているわけではない。

まさかあのパルスィが寂しがるなんてことは万が一にも考えられないし、一日ぐらい空けた所で文句を言ったりはしないだろう。

ヤマメは再びずるずると這いずりながら寝室へと戻り、そのまままだ温もりの残る布団へと滑り込んだ。

額に手の甲を当て、気だるげに天井を見上げる。

何が見えるわけでもなく、ただしばらくぼーっとしているだけで特に意味は無い。

そして次第に瞼が降りて行き、ヤマメの視界から光が失せる。

彼女が再び寝息を立てるまで、そう長い時間はかからなかった。

眠る前に、何だか昨日とんでもない出来事が起きたような気がしたのだが――睡魔と二日酔いに勝てるわけもなく、記憶にもすぐに霞がかかり、ヤマメは何もかもを忘れて眠りへと落ちた。




次にヤマメが目を覚ましたのは昼を過ぎたころ。

寝起きで意識が混濁している彼女は再び布団から這い出ると、朝と全く同じように台所へと向かった。

目的はもちろん、水を飲むためである。

寝すぎてしまったせいか腰が痛むらしく、時折腰を手でさすりながら、ずるずると這いずりながら移動する。

ようやく台所へと辿り着き、朝と同じ動作で水を飲み干すと、台所の床にだらしなく座り込んだ。


「あー……相変わらずだるい、何も変わってない」


寝溜めなんて言葉があるが、あんなの嘘っぱちである。

睡眠時間を貯められるわけがない、むしろ寝過ぎると体はだるくなる、それを今のヤマメ自身が証明していた。

二日酔いのせいもあるかもしれないが、頭痛は朝に比べると随分と良くなっている。

しかし贅沢な悩みである、睡眠不足で悩むのならまだしも、睡眠過剰で悩んでいるのだから。

地霊殿の主として毎日そこそこ忙しそうにしているさとりに話した日には、一日中ねちねちと嫌味を言われることだろう。

いや、彼女の場合は話さなくても勝手に頭の中を読まれてしまうのだけれど、それで勝手に不機嫌になられるのだから理不尽極まりない。


しかし、ようやく起きたのは良いが、すでに昼を過ぎてしまっている。

何をするにしても中途半端な時間になりそうだ。

なにはともあれ本日一度目の食事を取る必要があるのだが、頭痛の影響からかあまり空腹は感じないし、何より食事を作るのが面倒だ。

昨日の昼の残り物あたりを軽く口に運ぶ程度になるだろう。

それから――と、今日の予定を脳内で組み立てていくうちに、自然と”パルスィの所へ遊びに行く”という予定が入り込んでしまった。

一日ぐらい空けても問題は無いと自分で言ったはずなのに、意識もせずに自然と予定を立ててしまうとは、すっかり習慣として体が覚えてしまっているようだ。

ひょっとすると、寂しがるのはパルスィではなくヤマメの方なのかもしれない。


二人の付き合いは長いが、約束してどこかに遊びに行ったりすることは滅多にない、先日の勇儀に連れられて温泉に遊びに行った時のような例外を除けば、ほとんどがあの橋で二人で駄弁ってばかりだ。

それも、パルスィがいる場所にヤマメが向かうだけで、ヤマメがあの場所に行かなかった場合、パルスィがヤマメの家までわざわざ来ることは無いだろう。

ヤマメが行かなければ終わり。

一日や二日で二人の関係が終わるとは思えないが、もしヤマメが一ヶ月もあの場所に行かなかったとすれば――


「私も、パルスィと他人になっちゃうのかな」


想像して、胸がじくりと痛む。

今は友人だが、いつまでも友人とは限らない。

ヤマメにはパルスィの代わりなど居ないが、パルスィにはいくらでも知り合いがいる。

それがヤマメの代わりに成りうるかはパルスィにしか分からないが、少なくともヤマメよりはダメージは少ないだろう。

どんなに過剰評価したとしても、パルスィにとってのヤマメの存在が、肉体関係を持っている誰かより上ということにはならないはずだ。

パルスィがどう考えているかは別として、ヤマメはそう考えている。

二人の間の経験の差は明白だ、定期的に女性を取っ替え引っ替え”食べて”いるパルスィに比べて、ヤマメは友人は多いが恋愛経験は全くと言っていいほど無い。

そんな二人の恋愛に対する価値観に大きな違いがあることは、パルスィはもちろん周囲の妖怪たちも理解していることなのだが、厄介な事にヤマメはそれを理解していなかった。

だからパルスィにとっての自分は”代わりのきく存在”などと勘違いをしてしまう。


「そういやあんまり考えたことなかったっけな、ずっと一緒に居て、それが当たり前だったから」


普通は恋人でも出来れば友人とは疎遠になるのかもしれないが、ヤマメとパルスィにはそんな一般常識は通用しない。

何せ、パルスィには週替り、酷い時は日替わりで恋人が出来るのだから。

果たしてあれを恋人と呼んでいいものなのかは甚だ疑問ではあるが、ヤマメは一応恋人だと認識しているらしい。


「寂しい……かな、やっぱり」


パルスィの居ない日常、どうでも良いと思っていた二人の時間。

でもそんな何も無い時間を心地よいと感じているのは事実で、どうやらパルスィも自分と同じように思ってくれているようだ。

だからこそ約束しなくても自然と二人はあの場所に集まってくる。

そう考えると、案外パルスィも自分のことを大切に思ってくれているのではないだろうか、と一筋の希望が浮かんでくる。

代わりなんて誰もないんじゃないだろうか、と言う期待が。

仮にパルスィが、自分が居なくなることで寂しいと感じてくれるのなら――


「なんでだろ、すごく嬉しい」


誰かにとっての唯一無二の存在になる、それがこんなに嬉しいことだったなんて。

自分で思っている以上にパルスィの事を大事に思っていることに気づき、なんだか恥ずかしくなってしまう。

……いや、違う。

覚えはあった、見て見ぬふりをして押し込めてきた、見知らぬ感情の存在が。


「……嬉しい、か」


ヤマメの頬がほんのりと赤らむ。

それを友情とは呼ばないことをヤマメは知っている、割と、ずっと前から。

今までは見て見ぬふりを続けてきたけれど、感情は、気付けば目をそらせないほどまでに膨れ上がっていた。

同時に、無性にパルスィに会いたくなる。

胸に宿った感情は何だかくすぐったくて、ちょっとだけ恥ずかしかったけれど、嫌な感じはしなかった。


「うん、行こう。だるいけどそんなの二の次だ」


もしもヤマメがいつもの場所に来なかったとして、案外パルスィはヤマメの家にまで来てくれるのかもしれない。

だけど、もし来なかったらどうしよう――それが怖くて、試す気にはなれなかった。

期待は期待のままにしておいた方がいい、行き過ぎたポジティブ思考は時に自殺行為になるけれど、その思考が自分に牙を向くのは期待が現実に否定された時だ。

パルスィは思っているよりも自分の事を好いてくれている、そう思い込むのは悪いことじゃない。

胸に抱いた気持ちだってそう、表に出しさえしなければ現実にはならない、言葉にしなければ友情にほんの少しの暖かさとスリルを与えてくれる程度の物。

だったら構いやしない。

胸に留めておく、たったそれだけでパルスィに会いにいくのが何だか楽しくなるのだから、避けておく必要なんて無いじゃないか。

現にヤマメは今わくわくしているし、胸だって高鳴っている、それは悪い気分じゃない。

仮に本当はパルスィがヤマメの事を「どうでもいい」と思っていたとしても、パルスィが面と向かって言ってくることは無いだろうし、ヤマメがパルスィに会いにいく限り、思い込みが否定されることはない。

自分から会いに行かないなんて、わざわざ思い込みの幻想を自分でぶち壊すような真似、必要ないのだ。

真実がどうであれ、例え間違っていたとしても自分にとって利益になる答えを選んでいくのが、賢い生き方なのだから。




二日酔いの気だるさはどこへやら、橋へと向かう足取りはいつもより軽いほど。

さすがに頭痛が完全に消えたわけではないが、痛みを忘れてしまいそうになるぐらいヤマメは上機嫌だ。

思わずスキップをしそうになるが、さすがに公衆の面前では恥ずかしいのでやめておくことにした。

川のせせらぎが徐々に近づいてくる。

遠目でもわかる、パルスィはやはり今日も橋の上で一人、欄干に頬杖を付きながら大通りを眺めている。

おそらく獲物を探しているのだろう。


「やっほ、パルスィ元気かい」

「ヤマメ、来たんだ」

「……うわ、大丈夫?」


帰ってきたのは、トーンの低い返事だった。

元気ハツラツとした返事を返すキャラでもないが、今日のパルスィはいつもと比べて明らかにテンションが低い。

アンニュイな表情にすら色気を感じてしまうのだから卑怯だ、なんてどうでもいい感想がヤマメの脳内に浮かぶ。

本当にどうでもいいことだ、ヤマメは無駄な思考を振り払い、パルスィの顔を覗き込む。


「具合でも悪いの? 負のオーラが全身からにじみ出てるよ」

「別に、なんでもないわ」

「うーん……そっか」


具合がわるいというより、虫の居所が悪いようだ。

今日は気分がいいからちょっとテンション高めで騒ぐつもりだったヤマメの目論見は、早くも崩れ去ってしまった。


「えっと、私に何か出来ることはないかな? さすがに隣でそんな顔されたんじゃ気になっちゃうよ」

「気にしなくていいわ、個人的な問題だから」

「気にするなって言われて気にしないで居られるなら苦労しないよ。

 それにさ、人に相談した方が早く解決すると思うし。

 パルスィが私のことどういう風に見てるかは知らないけど、こう見えても私、悩み相談とか結構頻繁に受けてるんだからね、的確なアドバイスで評判なんだから」


ヤマメを慕う妖怪が多い理由の一つだ、悩みが解決するかは置いといて、前向きで明るい性格の彼女に救われる相談者は多いのだと言う。

自信有り気な表情をするヤマメだったが、パルスィはしばらくじっとその顔を見つめた後、盛大に溜息を吐いた。


「無理よ」


ただ一言、それだけでヤマメを突き放す。


「ヤマメには無理」


さらに追撃、加えてヤマメにダメージを与える。

パルスィも自分に好意を向けてくれている、そんな幻想が砕かれたような気分だった。

大げさだということはヤマメ自身もわかっている、それでも多少はショックを受けるのも仕方あるまい。

ポジティブ思考の反動というやつだ、まさかこんな早くに否定されるとはヤマメですら思いもしなかったが。


「……ごめん、ちょっと言い方が悪かったわ、まさかそこまで落ち込むとは思わなかったのよ。

 恋愛絡みの悩みなの、だから経験のないヤマメには無理だって言ったの」

「べ、別に経験が無いわけじゃっ」

「あるの? 聞いたことないけど。

 最近は毎日のように私と一緒に居るし、誰かと恋愛する時間なんて無いって自分で言ってたわよね」

「パルスィだって私と一緒にいるけど恋愛してるじゃないかよぅ」

「私はほら、エキスパートだから」

「すごい説得力!」


ぐうの音も出ない正論に、ヤマメは納得することしかできない。


「ほらほら、ヤマメもそれらしい申開きをしてみなさいよ。

 出来ないなら早く認めなさい、恋愛経験はありません、つま先からてっぺんまでスルメみたいに枯れきった惨めな女です、ってね」

「酷いよっ!」

「でもそうなんでしょう?」

「あるとは言い切れないけれど、無いわけでもないというか……何というか……」

「見栄を張るならもっと堂々としなさいよ。

 安心なさい、地底に住む妖怪はみんなヤマメに恋愛経験があるとは思ってないから、もちろん恋愛相談が出来るとも思ってないわ」

「うぅ、言い返せない自分が惨めだ……。

 そういえば相談はされるけど、恋愛絡みの相談は受けたことが無い気がする」

「でしょう? みんなわかってるのよ。

 いいじゃない、純粋で綺麗なヤマメの事が好きなのよ、みんな」

「このタイミングで言われても褒められてる気がしないんだけどー。

 ま、いいけどさ。どうせ、恋愛エキスパートのパルスィに解決出来ない悩みを私が解決出来るとは思えないし」

「そういうこと、わかってもらえたなら重畳だわ。

 それにね、わざわざヤマメに心配してもらわなくても大丈夫なのよ、どうせ時間が経てば解決する問題なんだから」


パルスィはそう言って笑ってみせたが、その笑顔にはいつもほどの元気は無い。

心配させまいと虚勢を張った結果なのだろうが、むしろ不安を煽っているようにしか見えない。

ヤマメだって踏み込みたかった、本人は時間が解決すると言ったが、とてもそんな風には思えなかったからだ。

しかし、ヤマメには踏み込めない。

これで親友と呼べるのだろうか。

ヤマメ個人の心情だけで言えば、彼女にとってパルスィは間違いなく親友だった。だが親友という関係はお互いの意思によって成立する関係だ。

パルスィがこれ以上踏み込んで欲しくないと言うのなら、ヤマメはここで踏みとどまるしかない。

人間関係はフェアなんかじゃない。

もしパルスィがヤマメの深い部分まで踏み込んでいたとしても、逆はそうとは限らないし、それを理不尽だと嘆いても現実は変わらない。

無理に踏み込むことだって出来るかもしれない、けれどそれは関係を壊す可能性がある諸刃の剣だ、そんなリスキーな方法を使えるほどヤマメはギャンブラーではない。


「パルスィがそう言うなら、仕方ないか」


だから、ヤマメは相手の意見を鵜呑みにすることしかできなかった。

自分は臆病者だ、そう自身を罵倒しながら。

そして二人はいつも通りを装って、並びながら他愛もない会話を繰り返す。

会話がどこかぎこちないことや、笑い声が社交辞令じみていること、そして何より二人の距離がいつもより離れていることに、お互いに気づきながらも触れようとはしなかった。

ヤマメにはパルスィの意図はわからない、だが一つだけ理解出来ることがある。

おそらく、彼女の悩みには自分が関係している。

それはパルスィの様子から察したヤマメの想像に過ぎないし、事実なら本人から確認が取れるわけもない。

だから間違いなく正しいと言い切ることは出来ないが、ヤマメはほぼ確信していた。

長い付き合いは伊達ではない、これだけ一緒に居れば相手のことは理解出来てしまうことだってある。

仮にパルスィが本心を見せたことが無かったとしても、断片的な情報から概形ぐらいは割り出すことぐらいはヤマメにだって可能だ。

とはいえ、パルスィの悩みを解決出来るほど詳しく読み取れるわけではない。

ちょっと理解できた所で、結局はヤマメは無力なのだ。

所詮は自己満足、突き放されてショックを受けている自分自身に対する慰めにしかならない。

ともすれば、惨めさを増長させるだけにもなりかねないじゃないか。


「そういえばさ、この前の女の子はどうなったの」


ネガティブ方向へと進もうとする思考を遮るようにして、ヤマメは別の話題を切り出す。


「またあの子のこと? 随分と気にするのね、もしかしてヤマメの好みだった?」

「まさか、いつも聞かないだけで内心では結構気にしてるんだよ。

 てかタイプも何もあの子は女の子じゃん、私はノーマルだよ」

「恋愛経験無いくせにノーマルとかわかるの?」

「そりゃ、まあ」

「男の人のアレで興奮する?」

「いきなり何聞いてんのっ!?」

「せっかくの機会だし、ノーマルかどうかテストしておこうかと思って。

 で、興奮するの? それとも女の人の裸の方が好みかしら」

「だ、だからさぁ……っ」


男性のそれなど見たことも無いから想像出来るわけもなく、パルスィに煽られてヤマメの脳裏に浮かんだのは、いつぞやに見たパルスィの裸体であった。

思わず顔が熱くなる。

なんだって目の前に居る彼女の裸なんかを想像してしまったんだ、とあわてて不埒な妄想をかき消そうとしたが、中々その姿は消えてくれない。

確かにパルスィの裸は綺麗だったし、見とれてしまうほどではあったけれど、いかがわしい物と認識したことなんて無かったはずなのに。


「うわあ、顔真っ赤じゃない。何を想像したのかしら?」

「……何も想像してマセン」

「そんなに愉快な顔しといて誤魔化してるつもり? 卑猥な想像しましたって言ってるようなものじゃない。

 ほらほら吐きなさいよ、何ならさとりを呼んできて探らせてもいいんだからね」

「べ、別に呼んでくればいいじゃんっ、何もやましいことは無いわけだしっ! 全く、これっぽっちも!」

「必死ねえ、そう言われるとますます知りたくなるわ」


必死になればなるほどパルスィの好奇心を刺激してしまうことをヤマメは知っていたはずである、これは完全に戦略ミスだ。

興味を失うどころかさらに興味を持ってしまったパルスィは、悪い笑顔を浮かべながら何度も何度も、しつこくねちっこく問いただす。

もちろんヤマメが答えるわけがない、だがこのまま続けても、どちらも引かずに延々と同じ問答を繰り返すだけになってしまう。

それならいっそ、冗談めかして事実を言うことで誤魔化してしまおうか。

そんな考えがヤマメの頭に浮かんだ。

想像したのは冗談めいたヴィジョン、なら事実を言ったってパルスィは信じないかもしれない。

二人の間柄が友人だと言うのなら、それで笑ってお開きになるはずだ。

どっちにしたって何かしらの答えを用意しなければパルスィだって引かないだろう、このまま無駄なやり取りを続けるぐらいなら、多少の恥を覚悟して事を前に進める方がよっぽど建設的だ。


「ヤマメってば強情すぎ、早く正直に答えなさい」


ヤマメは意を決して、パルスィの問いに対して正直に答えを告げる。


「……わかったよ、じゃあ教えてあげる」

「ようやく観念したのね、それじゃあ聞かせてもらおうじゃない」


パルスィはにやりと笑う。

しかしその余裕を多分に含有した笑みは、次の一瞬ですぐに消え去ることになる。


「パルスィのことだよ」

「ん、私?」

「うん、だから……パルスィのこと、考えてたの。

 この前、温泉に行った時に見た、パルスィの裸を思い出してた」

「――」


さあ笑え、と真正面からパルスィを見据えて堂々と言い放つ……予定だったが、ヤマメは自分で思ってる以上にチキンだったらしい。

露骨に目線をそらし、反応を伺うようにちらちらとパルスィを見るのが精一杯だった。

鏡はないのでヤマメ本人が確認出来るわけではないが、血が頭に上り火照っているし、自分の顔の有り様を想像するのはそう難しいことではない。

まあ想像するまでもなく、現にヤマメの顔は真っ赤なのだが。

パルスィの目を真っ直ぐ見ることが出来ずに、恥じらいながらちらちらと何度か視線を合わせ、瞳は潤み、上目遣いで相手を見つめ――ヤマメからしてみれば余裕の無さ故の挙動だったのだが、そんなあざとい表情を見せられて、パルスィが平静を保てるわけがない。

クリティカルである。

頭と心臓と心と魂に、ずがんと巨大な衝撃。

目に毒なんてもんじゃない、劇毒だ、致死量だ、さすが毒を操る力を持っているだけはある。

揺らぐ、揺らぐ、根幹が揺れて存在すら揺らいでしまいそうだ。

回避なんてできるわけがない、何せ至近距離の真正面、情け無用のド直球、渾身の右ストレートだ、こんなのプロボクサーだって避けられるはずがない。

同時に、パルスィはなんとかして忘れようとしていた昨日の深夜の事を思い出してしまった。

突発的に我慢できなくなって、勢いで彼女の唇を奪ってしまったことを。

いや、忘れようとしたって忘れられるわけがない事は、昨日の時点でパルスィは理解していたはずだった。

だってあんなの、あんなに柔らかくて熱くて蕩けそうなキス、他の女と何度キスを繰り返したって忘れられるわけがない。

極上なんて言葉じゃ足りない、今まで満たされなかった全てが一瞬で満たされてしまったのだから。

きっと一生だ、いいや永遠かもしれない、死んで霊になって生まれ変わったって忘れられないかもしれない。

だから距離を置いていたのに、だから自己嫌悪でいつもより大人しくしていたのに、無理に”いつも通り”をやろうとして自分で地雷を踏んでしまった。

下トークなんて振るんじゃなかった、とパルスィは激しく後悔した。

だが時すでに遅し、衝動はすでに理性で抑えられないレヴェルまで達している。


「ヤマメ……それって」

「あ、あれ……いや、その、えっと……」


ヤマメにとって想定外の反応である、パルスィのことだからきっと笑い飛ばして、それをネタにしてからかってくれるだろうと踏んでいたのに。

ところがどっこい、目の前に居る秀麗な美少女はあろうことか目を潤ませて、顔を紅潮させている。

笑うどころか、嬉しそうな、苦しそうな、ヤマメの見たことのない複雑な感情をしているのだ。

恋愛事に縁のなかったヤマメは、もちろんパルスィ相手にも恋愛絡みのハプニングが起きるなんてことは今まで無かった、だから今回が初めてだ。

つんと澄ました表情に、ヤマメ程度じゃ上手なんて取れっこない余裕たっぷりの表情、言動、そんなパルスィしか見たことがなかった。

それが彼女の全てなのだと、そう思い込んでいた。

ところがどうだろう、今まさにヤマメの目の前に居る彼女は、まるで白色の花弁が紅く染まるかのように色めいているではないか。

確かに美人ではあった、街を歩いていれば男性どころか女性の目すら引いてしまうほどで、ただそれだけで恋人たちを嫉妬させるには十分すぎるぐらいだ。

でも、ただそれだけで恋人たちをいとも簡単に引き裂けるものか、と言うのが常日頃からヤマメが抱いていた疑問だったのだ、外見に拘らない女性が世の中には一人や二人ぐらい居るはず、なのに百発百中なんてあり得るものか、と。

あるいは緑の瞳に不思議な力が宿っていて、とも考えていた。

しかしそれらの疑問はたった今、見事に氷解した。

いや、あるいはこんな表情を見せるのはヤマメを前にした時だけなのかもしれないが、仮に演技だったとしても、パルスィのこんな表情を、あるいはこれに準ずる表情を見せられたのなら、そりゃ落ちるに決まってる。

何に落ちるかって、そんなのは一つしかない。

恋だ、恋以外にあるものか。

パルスィがヤマメの赤面した表情に大きな衝撃を受けたのとほぼ同時に、ヤマメも大きな衝撃を受けていた。

揺れている、振り子ではなく柱が揺れている、自分を構成する根幹が、二人の関係を形作っていたど真ん中の大切な部分が揺らいでいる。

どくん、と胸が高鳴る。

ヤマメが今までの人生で感じたことの無い強い鼓動だった、同時に胸を締め付けるような痛みも感じる。

パルスィと過ごす日々の中で、それは幾度と無く感じてきた感覚ではあったが、今日のはその規模が違う。

目をそむけて、胸の中にそっと押し込めておくつもりだったのに、今じゃ溢れそうなほどに膨らんでいる。

固く閉じた心のドアを内側から強引に破ろうとしている。


「あ、そ、そうだ、やっぱり今のじょうだ――」


しかしその感情を許容できないヤマメは、現状をとにかく良くない状況だと判断し、回避しようとした。

今までにない痛み、今までに遭遇したことのないシチュエーション、それはヤマメにとって”失敗”なのである。

このままでは関係が壊れてしまう、そんな予感がしたわけだ。

だから冗談なのだと、一連の流れを無かったことにしようとしたのだが、パルスィはそれを許してくれなかった。

ヤマメが言葉を発し終えるその前に、パルスィの体が動いていた。衝動的に、情熱的に。


「ひぁっ!?」


パルスィは、ヤマメを力強く抱きしめた。


「あ、あの、ぱ、ぱぱぱ、パルスィ……っ!?」

「――っ」


腕ごと抱きしめて、強く引き寄せて、全身をぴたりと密着させる。

動揺するヤマメの言葉にも反応せず、パルスィはひたすらに「ふぅ、ふぅ」と息を荒くするばかりであった。

興奮しているようにも思えたが、どちらかと言えば興奮を抑えるための荒い深呼吸なのかもしれない。

なぜならパルスィはこう考えているからだ。

抱きしめるだけで止められて良かった、と。


「あれ、あれっ? あの、触られるの嫌だったんじゃ……って言うか恥ずかしいよ、いきなり、こんな、ほら見てるし、大通りの人たちめっちゃこっち見てるしっ!

 あの子見てたらどうするの!? 刺されるよっ、恋人から奪った挙句に浮気してるとか思われたら大変だよ!?」


やはりパルスィからの反応はない。

パルスィも大通りの方から無数の視線を感じていたが、彼女からしてみればそれどころではなかった。自分の中の欲望を押し留めるので精一杯だったからだ。

ヤマメの体は柔らかい、甘い匂いがする、胸に顔を埋めると心臓の鼓動すら聞こえてくる。

体温は高めだ、急な抱擁に驚いているせいだろう。

じとりと汗ばんだ首筋が艶めかしい。

恥ずかしがってくれている、それに引き剥がそうとしないのはまんざらでもないという証拠だ。

それがパルスィにとっての救いだった。

嫌われたらどうしよう、突き飛ばされたらどうしよう、ネガティブな彼女はそんな風に悪い方ばかりに考えてしまったから。

だが救われる自身が居る一方で、意思の弱さに呆れ返る自分も居るのだ。

自分みたいな汚物がヤマメを汚すのが嫌だったから、頑なに触れようとしなかったんじゃないのか。

思えば、以前からヤマメはパルスィに触れたがっていた、だから拒否しないのは当然と言えば当然なのだ。

その制約は、パルスィの自己嫌悪からくる自己満足にすぎないのだから。

敵は意思の弱さ、自分自身。

”抱きしめるだけで止められて良かった”などと、程度の低い自制で満足している場合ではない。


「……ごめん、急にこんなことして」

「あ、あはは……大丈夫だよ。

 よくわかんないけど、パルスィの気持ちは何となくわかる気がする」

「なによそれ、わかんないのにわかるとか、意味がわからないわ」

「私も本当によくわからなくて……ただ、急に抱きしめたくなったんだよね、理由は分からないけど、気持ちが高ぶってそうなっちゃったってことだけはわかるって言うか。

 理屈じゃなくて、意識せずにそうなっちゃう感じ、なんかわかるんだ」

「同じ、だった?」

「抱きしめるまではいかなかったけど、たぶん同じだったんじゃないかな。

 気持ちだけじゃなくて、距離だってもっと近づきたいと思ったから」

「そう……同じだったんだ。ヤマメと、一緒」


一緒、と言う言葉に万感の思いが込められていることが、ヤマメにも理解できてしまう。

理解した瞬間、再び胸が苦しくなる。

相手の気持ちはわからないし見えない、人間関係を構築していく上でそのブラックボックスは最も大きな障害になる。

表面上では友人だったとしても、本心では嫌われていたらどうしよう、と。

友人が多く対人関係は得意だと思われているヤマメですら、相手に嫌われることの恐怖を常日頃から感じていた。

それは能力ゆえに、地上から追い出された過去があるゆえに、トラウマは何年経っても消えてはくれない。

だからこそ、その中身が明かされた時の喜びも大きいのだが。

箱の中身が自分の感情と一緒だったのならなおさらに、相手に向ける感情が大きければ大きいほどに歓喜は大きくなるだろう。

だから、ヤマメの”同じ”という言葉は彼女が想像する以上に、パルスィに対して大きな意味を持つ言葉足りうるのだ。

それはパルスィの場合、”触られてはいけない”と言う戒律を破ってまで思わず抱きしめてしまうほどに歓喜してしまうような、喜ばしい言葉であって。

裏返せば、それはパルスィがヤマメの事をそれだけ好いていると言う意味でもある、要するに間接的な告白だ。

それが恋愛的な意味を持つかどうかはヤマメにはわかりっこない、ただ相手からの好意に応えたいと思った、触れて喜びを分かち合いたいと思った、そういう衝動があったことは確かだ。


「本当にごめんね、びっくりしたでしょ」

「ううん、私も一緒で嬉しいよ」


ヤマメは、気まずそうに苦笑いしながら自分から離れようとするパルスィの体を引き寄せ、その背中に腕を回す。


「なっ……!?」

「パルスィから抱きしめといて、私がダメってことはないよね? もしダメだって言われても、そんな理不尽聞いてあげないけどね」

「もう、ヤマメも人のこと言えないぐらい性格悪いと思うわ」

「あはは、さすがにパルスィには負けるって」

「触られたくないって、何度も言ってるじゃない」

「じゃあ力づくで引き剥がせばいい、何も全力でしがみつこうってわけじゃないんだから」

「……嫌よ、勿体無いじゃない」


”勿体無い”と言う言葉の意図はヤマメには理解出来なかったが、パルスィが触られることを嫌っているわけではないことだけは理解出来た。

ほんのりを顔を赤くそめ、ぎこちないながらもヤマメの背中に腕を回すパルスィは、むしろいつもよりも上機嫌に見えるほどだ。

なるほど、どうやらさとりはこうなることを予見して、”いっそ触れてみたらいい”と言うアドバイスをヤマメに贈ったらしい。

しかし、となると余計に触れられるのを避けていた理由が解せない。

どう足掻いても越えられなかった境界線をようやく越えられた達成感はあったが、謎はむしろ深まったような気すらしていた。


「私、もうどうしたらいいのかわからないわ」

「どうしたらいいって、いつも通りでいいじゃん。

 正しく友人として、きちんとスキンシップを取れるようになっただけなんだから」

「正しい友人はこんな風に公衆の面前で抱き合うものなのかしら」

「そ、そう言われると違う気もするけど……ほら、私たちってちょっとしたボディタッチも出来てなかったでしょ、だからその反動なんだよ。

 今まで触れなかった分、今日からはべたべた触ってやるんだから」

「許したわけじゃないわよ、嫌な物は嫌なんだから」

「あはは、なにそれ。こんだけ濃密に触れ合っておきながら、明日からはダメだなんてそんな無茶な話が通るわけないじゃん」

「ヤマメのわからずや」

「パルスィの理屈なんて誰にも理解出来やしないよ、一番理解してるはずの私がわからずやだって言うんなら、世界中のみんながわからずやになるんじゃないかな。

 気持ちってのはさ、さとりっていう例外を除いてきちんと言葉にしないと伝わらないの」

「……言えるわけないじゃない、そんなの」

「じゃあわかるわけないよ」

「わかって欲しくないんだもの、当然だわ」

「理解しないと怒られるし、理解しようとすると理解するなって怒られる、理不尽だ。

 パルスィは面倒な女だね」

「もうちょっとオブラートに包んだ優しい言い方してよ、ヤマメの罵倒は貴女が思ってる以上に人を傷つけてるのよ」

「じゃあ……パルスィはミステリアスだ、ってのでどうかな」

「ふふん、ミステリアスさは女の魅力よ」

「ちょっとおだてたらそうやってすぐに調子に乗るし。

 けどずるいなあ、そんなとこまで魅力にしちゃうんだから。

 それを武器にして、道を歩く可愛い女の子を手篭めにしちゃうんでしょ」

「さて、どうかしらね。もうやらないかもしれないわよ」

「嘘だね、あれはパルスィのライフワークだし、いやライフワークってか酸素みたいなもんだよね、止められるわけがない」

「一瞬たりとも信じて貰えないなんて悲しいわ」


いつまでも抱き合ったまま話すのも気恥ずかしい。二人は頃合いを見て体を離し、赤い顔を突き合わせてはにかみ合った。

そしていつもの距離に戻る。

いや、いつもより二人の距離は近いのかもしれない、ヤマメが少し横に移動するだけで肩が触れそうなほどの距離だ。

以前なら、不意の事故で肩が触れてしまっただけで二人の間には気まずい空気が流れていただろう。

しかし、触れることが許された今なら、ふとしたタイミングで肩が触れたとしてもパルスィがヤマメに謝ることはないだろうし、二人の空気が悪くなることも無い。

パルスィはその変化に対して微妙な心境だったが、ヤマメは素直に喜んでいた。

やはりさとりが指摘していた通り、ヤマメは心の奥底でずっと気にしていたのだ、パルスィが触れることを極端に嫌っていることを。

土蜘蛛に触られるのが嫌なんじゃないか、病を伝染されると思っているんじゃないか――地上に住んでいた頃、ヤマメは実際にそうやって差別されてきたのだ、気にしないわけがない。

ヤマメとて地底の妖怪、つまりは地上から移住するだけの理由があったわけだ。

だが触れることを許された今、その不安も綺麗さっぱり消え去った。

もはや自分とパルスィの間を隔てる壁は何もない、ただそれだけでパルスィとの距離が何倍にも縮まったような気がしていた。


「難しいわよね、人の気持ちって」

「人の頭を悩ませてる張本人のパルスィがそれ言う?」

「張本人だからこそわかるのよ、ヤマメは単純だから悩み事も少ないでしょうけど、繊細な私には潰しても潰してもキリが無い程の悩みがあるの」

「遠回しに馬鹿にしてるでしょ」

「割と直接的に馬鹿にしてるわよ、嫌だって言ったのに触った罰」

「抱き返したくせに、酷い友人だね」

「そっくりそのまま返すわ、このわからずや。

 まあでも、だからこそ……なのよね」

「だから、こそ?」

「ヤマメは人の気持ちが理解できないわからずやだけど、逆に人の気持ちにすぐに気付くような子だったら状況は違ってたって話」

「全く要領が掴めないし。だからさ、私にわかるように話してよ。

 今日のパルスィの物言いは、まるでさとりみたいだ」

「言えないって言ったでしょ、さっき」

「じゃあ話さなきゃいいのに……」

「言えないけど、話したいのよ。伝えたいの本当は、でも話せない内容なの」

「余計わかんない」


パルスィ自身、理解は出来るが納得はしていなかった。

早く答えを出してしまえばいいだけの話だというのに、理性と本能、ポジティブとネガティブのジレンマが彼女を前に進めなくしている、あまりに強固すぎる足かせである。

全て曝け出してしまいたい気持ちはある、だが一方で、気持ちを伝えてしまえば成功しようと失敗しようと今のヤマメとの関係は終わってしまう事を恐れる気持ちもあるのだ。

二人の関係の終焉はパルスィが最も恐れる結末だ。

形はどうあれ続いてさえくれれば、それだけで満足できる、そう思っていた。

ヤマメがパルスィの気持ちに気づいてくれさえすれば、事は簡単に終わるのかもしれないが――恋愛経験の無いヤマメが気持ちに気付くはずもなく。

相手に伝えるのが怖いパルスィは、どちらかと言えば気づいて欲しいと願っていた。

要は責任から逃れたいだけ、全てをヤマメのせいにしてしまえば自分は許されるのではないか、と都合のいい解釈で臆病に自衛しようとしている。

だが、パルスィはヤマメが純白だからこそ惚れ込んだのだ、パルスィの気持ちにすぐ気付くほど経験豊富であれば、最初から彼女を好きになることなど無かっただろう。

だから難しいのだ、と。

あちらが立てばこちらが立たず、トレードオフと言うバランサーは思った以上に上手く機能しているらしい。




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