初っぱなから異世界スタート!? 7
先ほど飛ばしたのはただの岩じゃない、岩の中に火の玉を隠し死角から時間差で爆発させただけ。いわば岩の花火爆弾のようなものだ。
もちろん俺とフラーフェには当たらずに透けるようしている。
咲「おまえらがさっきやったことの仕返しだよ」
盗賊頭「このっクソガキが…!!」
何か唱えている。あいつも魔法が使えるのか…?
盗賊頭「こいつらは役にも立たねぇ、クソどもだ。てめぇらもろとも塵になれや」
発動した瞬間、奴が放とうとしているものが何か分かった。火の玉だ。
しかし先ほどのものとはケタ違いだ。誰でもわかる、ここら一辺焼き尽くすほどの威力だと。
咲「お前仲間も巻き込むつもりかっ!!?」
盗賊頭「仲間ァ?知らねぇよ!!んなもん、てめぇらが死ぬならどうでもいいことだ!!!」
あいつは仲間のことなんて気にもしていない!?
神様の言葉が蘇る。世界を破滅に追い込む――
不安はあるが、使うしかない。
大丈夫だ。今の俺なら、出来る――!!
盗賊頭「死ねやぁ!!!」
意識を集中し、放つ!!
咲「グラビティホール!!」
あいつが放つ巨大な火の玉の目の前に大きな真っ黒い球体が浮かび上がる。
それは地面や空間、そして火の玉も飲み込み小さくなっていく。バチッ、バチッと何か弾ける音が響く。それは段々小さくなり、やがてそこには丸くえぐられた、ぐにゃりと歪んだ空間が残った。
盗賊頭「なんだ、と…!?」
盗賊は唖然とするが、すぐさま逃げて行ってしまった。
咲「あっ。…逃げられたか」
周りの盗賊共も気が付くと、全員怯えているのか蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていく。
…何にせよ、ひとまず助かったか。
余計な道草を食ってしまったがこのままマライブに向かうとするか。そろそろ、夕暮れ時も近いのか空がオレンジ色に染まりかけている。
俺はフラーフェの背中に乗り、目の前に見える森の中へ進んでいく。
???「あの魔法は一体…?ううん。それより…」
彼らより遠く離れた丘で少女は独り呟く。そして何か答えが出たのだろうか、咲達と同じ方向へ追いかけていくことにしたようだった。
しかし、彼女の後ろにも追いかけていく影があった。
彼女は感知能力が高いのかそれに気づく。
???「もうっ!!まだ諦めていなかったのね!そんなに追いかけてもこれを渡すわけには――-」
…どうやら追いかけて来ていたのが違っていたらしい。
???「…あはは。さすがに、これは…」
顔から血の気が引いていく。彼女は咲達を追いかけていく、いや助けを求めに走りだした。