初っぱなから異世界スタート!? 5
普通のカマキリと比べ大きさも違うが、色も全体的に淡いピンク色だった。
そのこともあるのか傷が余計に目立つのだ。特にお尻?部分が。
獣の傷なら爪痕というのは分かるのだが、やけに一本一本長い斬り跡がある。
そんなことをされたなら人間を恨んでも良いのに、なぜかこのカマキリはこうもすぐ俺に懐いてきた。そもそも魔物って人に懐くものなのか?
もしかして、誰かと一緒に過ごしていた?
だとしたら…
咲「お前、名前か何かないのか?」
キシュ?キシュキシュ!!
咲「…まさか、キシュ?」
キシュキシュ!!
そうだと言わんばかりに首を縦に振る。
咲「名前付けた人テキトー過ぎやしないか…?」
何か別の名前……そうだ
咲「花を守る、フラワーディフェンサー…フラーフェってどうだ?」
キシュ―…キシュッ!キシュッ!
どうやら気に入ってくれたようだ。
咲「さて、名前も決まったことだし、マライブに向けて行くか」
フラーフェ「…キシュッ!」
…この場所がいかに重要な場所なのだと知ることになるのは随分と後のことだった。
マライブへ行く途中フラーフェがどうしても歩かせたくないのか、お尻?部分に乗れとしつこくジェスチャーして来て、今俺は座らせてもらっている。案外柔らかく座り心地は申し分ない。
まさか、カマキリのこんな部分に座ることがあるとはなぁ…
そう思いつつもやはり頭に浮かんでくるのはあのテキトー神様のことだ。
下手したら全部の都市廃墟の可能性があるじゃねぇか。そうだとしたらこれから一生人と出会うことは無いのだろうか…
それはそれで嫌だなぁ…
そう思った矢先フラーフェの足が止まる。
咲「ん?どうした?」
フラーフェの見ている方向を見ると人らしき姿が見える。
お、現地の人か?
幸運だな。今ここらへんの状況を聞いてみよう。
そう思い降りようとすると、フラーフェが奇声を上げる。
え?と思い振り向くと俺らに向けて火球が飛んでくる。
フラーフェ「キシャァァァアアアッ!!」
フラーフェが勢い良く身をひねるように避ける。
俺もフラーフェに合わせ避けるが、バランスを崩しそのまま地面とまた挨拶をすることに。
咲「いってぇ…またかよ」
鼻を押さえつつ火球が来た方向を見てみる。
人は人でもどうやら盗賊団のようだった。