物流の街 キブス 4
門番「…よし。通れ」
門番は道を譲る。
…怪しまれずに中に入れたようだ。
フラーフェ「良かった。あとはカイって人に話を聞きに行くだけだね」
小声で話しかけてくる。それにコクリと頷く。
ここからは何が起こるか分からない。いつ襲われるのかも。
そんな中に一人で情報収集する人物とは一体何者だろうか?
ガルクが言うにはこの街のどこかにカイという古い知り合いがいるそうだ。
門をくぐり抜け晴天が広がる。キブスは山の上にあるがマライブから様々な魔法を提供されているらしい。気温も一定の温度を保たれ、街にはいる前は髪の毛も乱れるほどの風も今は全く吹いていない。そして空には様々なレールが至る所に繋がれている。所々四角いものがあちこちに流れ建物に空いた穴へと入っていく。人も忙しそうに歩いている中、中央にはこの街の中心と象徴するように城が見える。見た所、街としては動いているようにも見えるが、ガルクの言葉がちらつく。
咲「この街に俺を狙う誰かがいるんだよな…」。
フラーフェも小さく頷く。
迂闊にここの住民に尋ねて良いものか…。注意しつつも尋ねてみる。通行人は忙しいのかこちらに振り向くこともしない。
その時一人の男が小さく声をかけて来た。メガネをかけた彼は目にクマがあり頬が少しこけていた。
???「君たちがガルクの言った知り合いかな?」
ガルクの言葉が出て瞬時にこの男がカイであることが分かった。彼はこっちこっちと案内してくれる。
そこは街の中心から外れた小さな二階建ての家だった。
カイ「ここならようやく話が出来るな。」
一息ついたといったような顔をする。しかし俺の服を見て顔をしかめる。
すぐにテーブルの上にあった紙に手を伸ばし何か書き始めた。
書き終えた紙には、服にどうやら細工をされているらしく、今から解除するとのことらしい。
数分後、小さな破裂音がする。
カイ「ふう。どうやら盗聴器の様だね。変な男に襲われただろう?奴らは狙いを付けた者にこうやってマーキングの様な事をするんだ」
そう言われると確かあの気味悪い男に襲われた時、何かされたような気がする。
カイ「さて、それは置いといて…君たちがガルクの言っていた二人だね。改めて僕がカイだ。そちらがフラーフェ君、そして君がサキ君だね?…いやいやガルクが好みそうな体型に姿を変えたものだ」
愉快そうに笑っているが、こっちとしては笑えない。全く笑えない。
咲「アイツ、元に戻ったら覚えておけよ…」
カイ「おっと…フラーフェ君は魔物なのか。中々上手い事仕上げているな」
咲「…フラーフェが魔物だって何で分かった?」
俺の問いに単純に答えた。
カイ「何でって、僕は魔物を研究しているんだ。マキが言っていなかったかい?…ああ、彼女のことだ。僕と同じ研究者というのが恥ずかしかったのかな?」
…マキも魔物を研究していたのか。だから最初あんなにフラーフェを…。
いや、今はそんなことに驚いている場合じゃない。
咲「それで…ガルクが言うにはここでかなり厄介なことが起こっているそうだが?」
メガネを取り布で拭きつつも彼は言った。
カイ「そうだね。その話に戻ろう。…どうやらキブスが他の街と戦争を起こそうとしているみたいなんだ」




