ギルド『ハブドブレイブ』 22
ガルク「あうぅぅ…。今回は俺の名を騙って金を巻き上げる輩がいるって聞いたからぁ、そいつらを見つけて連行するためなんだってぇ」
毎度のごとくマキにお灸をすえられているガルク。懲りないことに逆に感心してしまう。
咲「コイツは置いといて、マキさんはこっちに何の用で?」
俺の疑問にさらりと答える。
マキ「ギルドのメンバーから詐欺まがいの人物を捕らえたと報告があってね、その報告にガルクとあなた達もいると聞いて、ね」
視線をアイツに向ける。メドゥーサに睨まれたように固まっていく。
マキ「…はぁ。まぁこちらの都合に丁度良かったのよ。…今すぐギルドの方に一緒に来てくれないかしら?」
分かったと承諾する。フラーフェとの散策も満足のいくものではなかったがどうやら断るわけにもいかないようだ。
ギルドに着くと中にはカレン、ジールとミラドにバーグまでもがいた。
咲「ジール達も呼ばれたのか?」
前髪を払うジールの第一声はいつもの皮肉だった。
ジール「ふん。こんな時までお遊びだとはな。お気楽なものだ」
バーグ「ジール、そう言うな。サキもガルクから訓練を毎日受けているのだ。たまには遊びたくもなろう」
そう言ったバーグだが、今はそんなことよりも気になることがある。
咲「…バーグさん何か緊急事態でも起きたのか?」
先程から雰囲気が何か重い。バーグさんの口から驚くことを言われる。
バーグ「うむ…そうだな。先程だな、こんなものがキブスから届いたのだ」
そこには一枚の用紙。多くの文字が書かれている。
バーグ「キブスから匿名でな、今ここが例の男に狙われているとの情報をもらった。」
咲「なっ…!!?」
例の男。あの黒髪黒目の人物。
咲「そんな狙われているって…!?」
マキ「情報は確かなの?」
バーグ「うむ、悪戯の一種だとも考えたがこの文章の中にもう一つ厄介ごとがあってな」
そこからはとミラドが説明役をかってでる。
ミラド「このことをおじ様からお聞きしてメニスタ方面に私とジール、数人のギルドの方と確認しに行きましたの。…この文章に書かれていた通り、またメニスタ方面から大量の魔物がマライブに向けて押し寄せていますの。しかも前回の倍以上に」
咲「何でまた…!!?」
それも倍以上…!!?ここまで口をつぐんでいたガルクがとんでもないことを言う
ガルク「師匠、多分だけど、この群れの中に奴がいるんじゃないのか?」
このガルクの予想にバーグも同意する。
バーグ「私もそう思う。魔物が統率をとれるほど知能は無いはずだ。ただ…」
言葉が淀む。そうだ、あの男は魔物も憎んでいるはずだ。じゃあ何故魔物を操る?そんなことしなくてもあの男は一人で街を滅ぼすほど強いはず…。
バーグ「とにかくだ。皆にこの群れの迎撃に向かってもらう。明日、また話をしよう」