ギルド『ハブドブレイブ』 13
ジール「そんな、馬鹿な…!?」
誰もが動けなくなる。そんな中フラーフェのペンダントが強く光る。
ふと気が付いた時には俺らはマライブの門の前にいた。そしてそのあとすぐ森から爆風と共に大きな火柱を見る。
その方向を唖然として見つめること数分、火柱を見かけて駆けつけたであろうバーグとガルクが俺らを見つけ寄ってくる。
バーグ「今のは何だ!?」
マキ「…彼よ。彼が現れたの」
マキの言う彼。それだけでバーグの顔が青ざめていく。
バーグ「なんて事だ…。総員魔法陣展開を急げ!!ガルク、すまないが火柱周辺の捜索を頼む。もし戦闘になることがあれば知らせてくれ。こちらも何かあれば連絡する」
ガルク「了解!お前ら、マキを頼むぜ」
颯爽と森の中へ駆けていく。
咲「バーグさん!アイツ一人で大丈夫なのかよ!?」
バーグ「…大丈夫ではない。だが現状、アレに対抗できるのは今の所ガルクだけだ」
そう言うと街の中へ走り去っていく。俺らもマキの指示に従い、街のギルドへ戻るしかなかった。
数時間後、周辺の捜索からガルクは戻って来た。
付近に黒髪黒目の男はいなかったそうだが、俺らの前に二度も現れたカザックも見当たらなかったそうだ。
街の騒ぎも収まりつつあるものの不安と恐怖はかなり増しただろう。
ミラドもジールもその対応をしなければならなくなったのかどこかへ行ってしまった。
マキやカレンもギルドの対応で忙しいようだ。
そんな中、俺とフラーフェはバーグの屋敷の客室で時間が過ぎるのを待っていた。
何か出来ることがあればと掛け合ったが、ジールから貴様のような庶民の手伝いはいらない。部屋で大人しくしていろと言われ、こうしてただ時間が過ぎるのを待っている。
咲「そりゃまぁ全くこっちの事なんて知らないからしょうがないけど、いくら何でもこのまま待つのは暇で暇で…」
ふあぁっとあくびが出てしまう。一方フラーフェはあれ以降顔がずっと曇りっぱなしだ。
何か気晴らしになればとフラーフェにふと気になったことを聞いてみる。
咲「…そういえば、フラーフェは何で最初俺を助けたんだ?」
この質問にフラーフェは顔を曇らせたままだ。聞いてはいけないことだったか…?
少しの間を空け答えてくれた。
フラーフェ「…昔、私と一緒に過ごしていた人と似ていた気がするの。ただ、顔も姿も思い出せないけど…」
咲「人…?人と一緒にいたことがあったのか?」
頷く。けれどそれ以上のことは何も思い出せないらしい。
フラーフェ「それでメニスタでサキを見つけた時どうしてもそのままに出来なかったの…。魔物に襲われかけていたし…」
なるほど、そういうことだったのか。何故フラーフェがが人に警戒をしていないのか、ただ似ていたというのは俺と似たあの男なのだろうか…?
???「ほほう、二人の馴れ初めはそういう始まり方だったんだねぇ。うーん、お兄さん感激」
突然の声に驚く。声が聞こえた窓の方向にはアレがいた。
ガルク「あ、どうぞどうぞお構いなく。お二人の話続けて下さいな」
ニヤニヤしながら話す。俺も笑顔を返す。
ガルク「おやぁ?目が笑って無いぞぉ…?あ、誰か助け」