ギルド『ハブドブレイブ』 3
ガルクの妻…!?
耳を疑った。ちょっと待て。今じゃあものすごくまずい状況じゃないのか!?
咲「…怒っているのか?」
マキは笑顔だが、目が笑ってない…気がする。
マキ「別にあの人のああいうのはいつものこと。馬鹿にふざけていつも誰かに制裁受けて。むしろ助かったわ」
頭を抱えている。奥さんにまで呆れられているとは、ギルドマスターとしてもう駄目じゃないのか?
そんなことを思っていると、マキがフラーフェに視線を移す。
マキ「彼女が魔物から人間に姿を変えたのね。…興味深いわ」
マキの目が輝いている…?
何か感じたのか、フラーフェが俺の後ろに隠れる。
フラーフェ「あの人、何かイヤ…」
ただ興味があるではなく何かいじくりまわしたいというような、そんな見方だ。これはこれでガルクの感じよりもたちが悪い。
マキも俺らの雰囲気を感じ取ってくれたのか、じろじろ見ることは止めてくれた。
ただ、今度はカレンとミラドが驚きを隠せずにいた。
ミラド「嘘、魔物…!?」
カレンも同様の驚き方をしている。
しまった。迂闊だった!
しかし俺が思っていた最悪の想定とは全く異なっていた。
カレン「ミラドさん!!魔物ですって!!うわぁ、お人形さんみたい!」
ミラド「嘘!?とても可愛いじゃない!ねぇ、私の所でメイドとして働かない?」
二人の圧はかなりのものでマキさえ少し引いている。しかし、どういうことだ?
あの夜、バーグが言っていたことと全く違う反応だ。この二人は忌み嫌うどころかとてつもない興味を持っている。
フラーフェ「サキィ~助けてよ~」
涙目になりながら俺にすがってくる。これはこれでちょっと幸せかも…いやいや。
とにかく二人を引き離す。
咲「フラーフェから離れろ。魔物が怖くないのか?」
二人とも平然と答える。
ミラド・カレン「可愛いは正義だから!!」
…ああ。そういうこと。よくある可愛ければ何でも許されるあれか。
咲「…それだけならまぁ大丈夫か」
そのあとフラーフェは色々いじられる。それを俺とジール、マキは眺めていたが、唐突にマキが何か思いついたように人差し指を立てる。
マキ「…そうだわ。あなた達一つクエストに同行してもらってもいいかしら?」
咲「クエスト…?」
マキは一枚の紙を見せて来る。大きな文字で書かれていたのは討伐という文字だった。そしてそこに描かれていたのはここに来る途中に出くわしたあのクマだった。
マキ「あなた達二人のテストのようなものね。ランクはそこそこだけど、問題はないでしょう?」




