魔法の都市 マライブ 4
???「こんなこと聞いていないぞ…っ!?」
相手は動揺しているのか動こうとしていない。
今が狙い時か?
咲「ロックショット!!」
石つぶてを相手に向けて放つ。しかし経験があるのだろうギリギリの所で避ける。
???「くっ!!調子に乗るなよ!!」
青白い魔法陣が複数浮かび上がる。尖ったものが形成されていく。
???「アイスソード!!」
氷でできた剣がこちらに向かってくる!
咲「そんなもの溶かしてやるよ!!ファイヤウォール!!」
縦一直線に伸びる炎の壁を作り出す。氷の剣が溶けていっているのだろうジュウッといった音が聞こえてくる。
だが、相手も読んでいたのか、左右、後方から風で出来ているであろう刃が飛んでくる。
咲「ロックウォール!!」
分厚い岩でできた壁を作り出し風の刃を凌ぐ。
終わった…?
相手の猛攻が弱まる。ふと、空が暗くなったことに気づく。
咲「しまった!嵌められ――」
???「さらばだ。アイスロック」
氷の塊が真上から落ちてくる。
姿を確認するつもりもないのかさっと身を翻す。
咲「まだ終わってねえよ」
剣士は後ろを振り返る。
しかしもう遅い。渾身の一発を顔面に殴り込む。
炎の勢いも利用していたからか相手は大きく吹き飛ぶ。
???「ぐっ…追い込んだはずなのに…!?」
咲「残念だったな。俺は諦めが悪いんだよ」
あの時、氷に何かしても無駄だと感じた俺は、どうすれば自分の炎の壁を抜けアイツに一発当てることが出来るか考えた。もしかしたら盗賊に対して使った方法が使えないかと閃く。自分を岩で包み炎の魔法で弾き飛ばす。間一髪で避け、その勢いのまま相手に殴りにいった。
咲「どうする、まだやるか?」
相手の剣士は小さく笑い俺を睨みつける。
???「貴様、本気で僕を怒らせたな」
青白い魔法陣が複数浮かび上がる。尖ったものが形成されていく。
???「アイスソード!!」
咲「ロックガンショット!!」
相手の氷の剣を相殺しその後、
バンッと大きな音を放ち相手に石の塊を多数放つ。
???「グハッ!!?」
咲「そう何度も同じ手にかかるかよ」
???「おのれ…!!」
まだ、立とうとしているらしい。向こうもよほどしぶといみたいだ。
あまり使いたくない方法だが、降参させるためにはしょうがない。
相手を岩で閉じ込める。
???「何だ一体!?」
咲「ファイヤウォール」
相手の岩を中心に縦に伸びる炎を出す。サウナ、といえば聞こえはいいだろうか。
数分後、炎を消すと岩は黒くなりボロボロと崩れ落ちていく。
中の剣士は汗まみれでぐったりとしている。
咲「どうする、まだやるか?」
小さい声でポツリと呟く。
???「こ、降参だ…こんなもの耐え、られ…ぬ」
そういうと気絶したのか。静かになってしまった。
試合は俺の勝利ということで終わったが、観客からは拍手というよりもどよめきに近いものだった。
よほど有名な相手だったのか、やり方が激しかったのか…。
ともあれ、俺の勝ちには変わりない。先ほど出てきた扉に引き返す。
扉を抜けた先には騎士が列を成していた。
その中央に一人風格の違う兵士が立っていた。
???「貴殿が死刑囚32番か」