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異世界ファンタジーは割と身近にありました。

作者: 紫音

先日、投降した物を直しました。

感想などいただければ幸いです。

……どうしてこうなった?


『藤倉真咲』は修羅場?に陥っている。

部屋には俺、元勇者の『藤倉真司(父親)』、その仲間だった見た目金髪ロリ巨乳自称永遠の16才の『藤倉サキ(母親)』。そして、俺の腕に抱き付きご満悦な美少女(現魔王)ユーミリア。

それも全員、着物姿である。

そこは正月だから仕方ないとは思うんだけど……どうして良いかは良くわからない。

とりあえず、今の状況を整理してみようと思う。


どうして、こうなっているかと言うと事の発端は1週間前に遡る。


高校最後の冬休み初日。

成績に自信がなかった俺は手に職をと考えて専門学校へと進学を決めていた。

だけど、仲の良い友人達は最後の頑張りのために忙しく、ヒマな俺は惰眠をむさぼる予定でいた。

実際、先ほどまで部屋のベッドで寝ていたはずだったのだけど、なぜか、目の前には見た事のない広い空間。

そして、ゲームで良く居そうなひげの王様おっさんと大臣風の男に鎧を着て、剣を腰に差した兵士達。


……何が起きた?


先ほどまでは自分の部屋で寝ていたはずだ。

現に今の俺の格好は寝間着代わりに使っている古くなり襟元が伸び切ったTシャツとトランクスに足元には掛布団。

掃除の邪魔だと言う理由で先ほどまで見た目金髪ロリ巨乳の母親サキ、自称永遠の16才に布団を引っ張られていたはずだ。

必死の抵抗を見せていたのだけど、うちの母親はロリ巨乳のくせになぜか力はかなり強い。

現代社会に生きる俺は母親の腕力に屈してしまい、掛布団とともに床に落ちた。

文句でも言おうと布団から頭を出したら、この状況だ。


しかし、この状況だけを見ると……異世界?


いや、ないない。そんな、どこぞの中二病の妄想じゃないんだから。

頭の打ち所が悪かったから、これは夢なのかも知れないと頬をつねってみるが痛みはあるため、夢ではなさそうである。


現実を処理しきれない俺の前に王様はゆっくりと近づいてくる。

俺は実は勇者なのか? それとも、ただの偶然、神隠し?

王様の前に不審者? ……つんだ。死ぬにしてもできれば日本で死にたかった。

もし殺されてしまうなら絶対に無理だろうけど、ふ、腹上死を希望したい。


自分が勇者なわけがないため、不審者として殺される姿しか目に浮かばない。

あの時の事を思い出すと危機的な状況なわりに冷静だったのかとも思う。


顔を引きつらせる俺の目の前まで寄ってきた王様は俺の顔を覗き込むとその口からは信じられない言葉が出てくる。


「真咲と言う名だったな。確かに若い頃の真司に良く似ている。眼元と瞳の色はサキのものだな」


王様は俺の顔を覗き込むと無表情で仕事人間の父親『藤倉真司(42才)』とロリ巨乳な母親自称永遠の16才な『藤倉サキ』の名前を出す。


ど、どういう事?


「何だ? 2人からは何も聞いていないのか。まったく、面倒な事を私に押し付けたな」


意味がわからない俺を見て、王様は呆れたようにため息を吐くのだ。


この人、うちの両親を知り合いなのか?


そう考えるとここは日本で……この人はコスプレ好きのただのおっさん?

良い年したおっさんがコスプレかよ。世も末だな。


「……真咲、言って置く。これはコスプレと言う物ではない。この国の王としての私の正装だ」


……考えていた事を読まれてしまいました。

と、とりあえずは怒っていはいなさそうだけど、この人は王様だとしたら、俺、かなり失礼な事を考えていたんだよな?

……やっぱり、つんだな。死ぬのか、童貞のままに死ぬんだったら当たって砕けても良いから、好きな娘に告白でもしておけば良かった……


「お、王様? それじゃあ、ここは異世界?」

「うむ。そうなるな」

「……リアリー?」

「reallyだ。発音が良くないぞ。学業は得意ではないと言っていたが、大丈夫なのか?」


状況が整理しきれないのだけど、異世界でうちの両親と王様が知り合いなら、何とか無罪にして貰えるかも知れない。

そう考えて状況を確認するが王様はなぜか英語で返事をしてくれた。

かなり俺達の世界についても知って良そうだ。

それだけではなく、俺の成績に付いても……

それがさらに俺の頭を混乱させるのだが、その時、俺の目の空間が淡い光を放ち、小さな衝撃音とともに目の前に俺の愛用しているスマホが現れる。

慌ててキャッチすると同時にディスプレイにはメール着信が表示されており、送信先は母親の名前が記されている。

急いでメールボックスを開くとそこには……


『真咲くん、内緒にしていたけど、あなたの愛するサキちゃんは異世界の住人だったのです。それも異世界と異世界をつなぐ召喚術士なんです。どうだ、凄いでしょ。えっへん。昔、真咲くんのいる世界を救うために召喚された真司くんと一目で恋に落ちてこっちの世界に追いかけて行きました。そこからは長くなるけど聞きたい?』


と書かれているではないですか……信じられない新事実です。


信じられない事に声が出ないのだけど、この年になって両親のなれそめなど聞きたくない俺は何とか『聞きたくない』と返信する。

その後に状況が整理できない事もあり、顔はどんどんと引きつって行く。

俺の姿は滑稽だろうけど王様はなんとなく状況を察してくれているのか励ますように肩を叩いてくれる。


……異世界でも人の優しさはありがたいです。


初めて会う王様の優しさに涙が出そうになるのだけど、その後に再び、俺のスマホは母親からのメールを受信する。


『やっぱり、メールじゃダメだよね。こっちの世界に帰ってきたら、話すから楽しみにしていてね。後、藤倉家の男の子が18才の誕生日を迎えるとなぜか、その世界の魔王が蘇るから、藤倉家の男の子の責任として魔王を封印してね。朝、昼、夜の三食は差し入れを送るから頑張ってね。冬休みの間には帰ってくるんだよ。帰ってこなかったらサキちゃん、怒っちゃうからね。後、朝と夜にはメールください』


……マジで? と言うか本題の方が取ってつけたような感じじゃね?


「……本当だ。頼むぞ。新たな勇者真咲」

「……その前に何があったか説明をお願いいたします」


……俺、今日から短い冬休みの期間に魔王を封印しないといけないようですが、まずは状況を整理させてください。






















さすがに寝間着ではと気を使ってくれた王様が着替えを用意してくれたのだけど、着替えは俺の服でした。

……これも母親の召喚魔法で送られてきた物なんだろうか?

異世界って言っても現実味がまったくない。


着替えを終えて謁見の間に戻ると大臣さんからこれからの事を簡単に説明される。

簡単にまとめてしまえば、この世界『クレメイア』には魔王がいる。

大昔には強力な魔法で街々を焼き払い、人々を恐怖のどん底に叩き落していた。

魔王を倒せないこの世界の者達は魔王を倒す者を求めて、異世界への門を開けた。

そして、激闘の末に魔王を封印した勇者が俺の御先祖様らしいのだけど、封印には欠陥があったらしい。

その欠陥とは藤倉家に男児が生まれて、男児が18才の誕生日を迎える日に魔王が復活すると言うものだ。


……封印、欠陥だらけじゃね?


実際、藤倉家は男系の家系だ。

そう考えるとひいじいちゃんの時もじいちゃんの時も封印解けているよな?

ひいじいちゃんは御年100才になるけど今もボケずに元気だし、少なくとも100年間で4回目の魔王復活か……この世界にピンチ来すぎじゃね?

と言うか、何度も封印される魔王もどうなのかと思うんだけど、家に帰るにはうちの母親が異世界の門を開けてくれないと無理だと言う話だ。


「……俺、本当に勇者なんですか?」

「そうなるな」

「あの、うちの母親、冬休み中に魔王を封印しろって言っていましたけど、魔王城ってどれくらいの距離があるんですか?」

「大昔はかなりの日数を有したのだが、今は馬車で3日と言ったところか?」


……予想以上に近いぞ。魔王城。


念のために本当に自分が勇者なのかを確認してみるとすぐに返事がある。

実際、ここ100年で身内が3度も魔王を封印しているのだから、血だと言うのは間違いないと思うのだけど、正直、特別な力がある気がしない。


「あの、勇者って言いますけど、俺に何か特別な力があるんですか? この世界に来たら魔法が使えるようになるとか? この世界の人間より、絶対的に力が強いとか……」


勇者と言われても信じられないため、王様に自分の能力について確認してみるのだけど目をそらされてしまう。

ないのか? ゲームとか一緒でレベル1スタートか?

強くてニューゲームとか美味い話はないのか?


「……あの、それは街の外の魔物と戦って、強くなって魔王に挑めと言う事でしょうか? 俺は封印方法とかまったく知りませんよ」

「すまない。封印についてはこの世界の者達は何もわからないのだ。魔王城で魔王の前に立てるのは勇者だけで、それ以外の者は魔王に会う事もできない」

「それって、本当に魔王がいるんですか?」

「いる。それだけは断言できる」


弱いままで魔王と対峙しては殺される気しかしないので王様から魔王の情報を少しでも聞こうと試みるのだけど、誰も魔王に会った事はないと言うのだ。

しかし、誰も会った事が無いと言う事は本当に魔王がいるのか怪しいと思う。

疑問が顔に出ていたようで王様は俺の顔を見て、魔王がいる事を断言してしまった。


どうして良いのかわからなかったのだけど、王様が話す事は無くなったようで用意された馬車につめこまれてしまった。

馬車につめこまれた俺は王様が用意してくれた仲間3人、どれも美少女とともに魔王城に向かわされてしまう。


父さんが母さんとこの魔王封印で良い感じになったと言う事はこの美少女の内、誰かとむふふな関係に?

そう考えると良い事もあるのではないかと思うのだけど……問題は魔王だ。


と言うか、魔王城のすぐ近くに王都があるなんて危機感なさすぎじゃね?

襲われたらすぐに全滅だろ。

さすがに100年間で4度目となるとどこかで安心してしまうのだろうか?


だけど、魔王が封印できなかったらどうするつもりなんだろうか?

いろいろと疑問があるのだけど、何事もなく、馬車は魔王城に到着してしまった。

何の成長も見られないのに魔王を封印なんてできるんだろうか?


ちなみに美少女の仲間3人とは会話なんてありませんよ。

最初は勇者と言う事で好意的に話もできてお持ち帰りもできるんじゃないかと期待したんですけど、初日の夜に母さんから送られて来た夜のおかずを見られてそこからは軽蔑の目ですよ。

母さん、息子の息子を心配するより、いつか来る義娘の事を心配してください。


それから馬車移動は針のむしろだったよ。

18才になったばかりなのにストレスで胃に開きそうだ。


魔王城の前に到着するなり、俺は同行していた美少女な仲間3人に馬車からけり落とされて1人で魔王城の前に立ちます。

しかし、魔王が封印されていたわけだけど、魔王城の中ってどうなっているんだ?


約20年間ほったらかしにされていたにしてはキレイな城門だ。

手入れされているようにも見える。

それより、本当に魔王の封印が解けているのか?

この世界に来てから3日経つんだけど、封印が解けたならすぐに世界を滅ぼそうとするんじゃないだろうか?

……いや、魔王を封印できる気がしないから、説得で終わらせたいんだけど、正直、本音を言えば魔王をこのままにして家に帰りたい。

何も起きないんだし、このままでも良いじゃないか?


城門の前に立っては見たものの、奥に進む気にはなれない。

背後から早く行って来いと言う視線を向けられているけど踏ん切りがつかない。

でも……なぜか、城門がゆっくりと開き、魔王城の通路には灯りが点いて行く。


招かれているんだよな……


俺がここに来た事で魔王城の門が開いたと言う事は魔王が1番初めに復活して血祭りにあげたいのは勇者の血筋を持つ、俺だと言う事だろうか?

俺より、まだ生きている勇者が……これは考えてはいけない。


「さっさと行きなさい」

「ごふ」


踏ん切りがつかないで魔王城の奥を見ていると背後から仲間のはずだった美少女3人に蹴り飛ばされて魔王城に足を踏み入れてしまう。

その瞬間に門は閉じられ、俺1人が魔王城に閉じ込められてしまった。

門を叩くが門が開く気配はない。

奥には灯りが点いている物の目に入る物は薄暗い。


覚悟を決めるしかないと震える足をゆっくりと動かして前に進むのだけど……どこに行くんだ?


導くように灯りが付いて行く場所は謁見の間と言った最後の場所にふさわしいような場所ではなさそうだった。

目的の場所だと思われる部屋のドアをゆっくりと開ける。

そこは寝室なのだろうか部屋の中央には豪華な天幕のベッドが置いてあり、足を踏み入れると甘い香りとけたたましいくらいにベルが鳴り響いている。

部屋の中を見回すと部屋には可愛いぬいぐるみのような物のとその中に紛れて鳴り響いているベルがあり、うるさいためかベルへと手を伸ばす。


……おいてある物が何かおかしくないか?


部屋の中に置かれている物はこの世界の物と言うよりは元の世界の物に近い。


それに……魔王ってひょっとして女性? もしかして可愛いのか?


ベルを止めた後に部屋の中の物を見て、魔王に性的な意味で興味が湧く。

し、仕方ないだろう。健全な男の子なんだから。

ベッドの中を覗き込むとそこには真っ白な肌の金髪の美少女が小さな寝息を立てている……もろ好みだったりする。

眠っている美少女を起こす方法?……キスだな。ち、違うだろ。この娘は魔王。そして、俺は推定勇者。

しかし、この娘が魔王だとしてもまだ寝ているんだけど……封印解けてない?

そう考えると……俺、本当に父さんと母さんの子なのか?


い、いや、藤倉家の男児が18才の誕生日を迎えたら魔王の封印が解けると言うんだ。

実子だから、母さんも俺をこの世界に送ってきたわけだろ。それなら、そこは問題ない。

だけど……起きないんだけど、どうしたら良いんだ?


寝息を立てている少女の頬を指で突いてみるとくすぐったいのか手で俺の指を払おうとする。

その仕草がとてもかわいく見えるし、今、この娘が魔王とかより、普通にこの娘とお近づきになりたい俺がいます。

欲望に負けてはいけないと考えるのだけど、彼女の寝顔から目が離れない。

……寝ているみたいだし、いや、ダメだ。

寝込みを襲うような事はできない。それにファーストキスなわけだし。


「うーん?」


不味い、起きた?


欲望に負けないように葛藤していると美少女はゆっくりとまぶたを開く。

まだ眠いのか、美少女は指で目をこすった後、俺の顔を見る。

魔王復活?


一気に血の気が引いて行く。

おかしな事を考えずに何か封印方法を探して置けば良かった。


「……後5年」

「長いわ!? せめて、5分だろ!!」

「へ? ……誰?」


美少女は寝ぼけ眼で俺を見た後、まだ寝足りないようでベッドにもぐりこむのだけど、寝ぼけた彼女の言葉にツッコミを入れてしまう。

俺のツッコミに彼女は目が覚めてきたのかゆっくりと顔を近づけてくるのだけど、まだ、寝起きの頭は覚醒していないようで小さく首を捻っている。

すぐそこに美少女の顔があるのだ……そして、ここはベッド。

あれか? これは襲っても良い状況なのか?

いや、ダメだ。もし、襲うのが封印だと言うのなら、父さんといや、じいちゃんとひいじいちゃんとも? ある意味、兄弟になってしまう。

それだけは絶対にダメだ。でも、封印はしないといけない。

しかし、男の子としての気持ちは揺らぐ。


「あの? どちら様?」

「えーと、その前に1つ良い? 魔王様?」

「えーと、そうですけど……そうすると今度の勇者様?」

「そうなりますね」

「そうなんですか? 初めまして、魔王のユーミリアです。お待たせしてすいません。低血圧のせいか、なかなか起きられなくて」


美少女は魔王だったようで勇者である俺の登場に驚きの声を上げるのだけど、その様子からはまったく敵意が見えない……と言うか、普通にその仕草が可愛い。

これはどうしたら良いんだ?

ユーミリアは俺の目か見ても魔王とは思えない。

いや、決して好みの女の子だから、そう思っているわけではない。


「あの、勇者様のお名前は?」

「ふ、藤倉真咲です」

「真咲さんですか。かわいらしいお名前ですね」


……かわいらしいのはあなたです。

しかし、この魔王は大昔から生きているんだよな。見た目は俺と同年代の女の子なのに。


それより、ユーミリアが布団の中から出てこないのが気になる。

まさか、布団の下はゲームなどで表されるようなグロテスクな形をしているのか?

確認しないといけないのか?

いや、決して興味本位ではない。見た目、同年代の女のパジャマ姿が見たいわけではない。

頭をよぎった思いを振り払おうとしたのだけど、そこは10代性欲盛りの男の子。

欲望に負けて、ユーミリアの身体を隠していた布団をはいでしまう。


そして、目に入ったのはユーミリアの一糸まとわない白い肌でした。

それと同時にユーミリアは白かった肌を真っ赤に染めてしまう。


……絶対に選択肢を間違えた。

魔王に殺されると思い、身体を強張らせた瞬間、ユーミリアは大声を上げて泣きだしてしまったのである。

どうして良いかわからなくなった俺は必死に頭を下げて謝った。


ユーミリアが泣き止んだ時、1つの約束をしてくれれば許してくれると言われて、頷く事しかできませんでした。

仕方ないだろ。こんな風に女の子に泣かれた事なんてないんだから、それに悪いのは全面的に俺なんだから……


察しの良い人達はわかるだろう。

彼女が出してきた条件は『責任を取ってください』と言う物であり、ユーミリアはご両親に挨拶をしたいと言って、その協力過ぎる魔力で召喚術士しか開く事の出来ない異世界の扉を開いてしまいました。


魔王がいきなり、異世界に現れたのだけどそこは元勇者とその仲間だった両親。

この状況をなぜか受け入れてしまったのである。

母さんは召喚術士の能力を使って王様に状況を報告。

魔王がいない方が良い王様とクレメイアの人達は大喜びでユーミリアを見送ってくれた。


そして、ユーミリアはこの世界に来て4日目にも関わらず、すでに藤倉家に馴染んでいたり、魔王のはずなのにかいがいしく俺の世話や母さんの手伝いをしたりしている。

状況から見れば自分を封印した仇が目の前にいるのだけど、ユーミリアは気にする事無く、ミカンの皮をむくと俺の口元にミカンを差し出す。


た、食べないといけないのか?


さすがに両親の前でユーミリアの手からミカンを食べるわけにはいかないと断ろうとするが、彼女の瞳に頷いてしまったりします。

俺とユーミリアの様子を見て、母さんはニヤニヤと笑っているのだけど父さんはいつも通り、無表情なままお茶をすすっている。


「……なあ。父さん、魔王の封印って」

「目覚まし時計のような物が有っただろ。それを止めればまだ眠れると思うようだ」

「そ、そうか。あの世界の人には目覚まし時計なんてないよな……と言うか、父さんより、先の勇者はどうしていたんだよ? 知らなければ止めようと思わないだろ」

「私に言われても困る」


封印が気になって父さんに封印の事を聞いてみるのだけど、封印だと思われていた事はただのユーミリアの寝坊である。

それで良いのかと思うのだけど、まあ、隣で笑顔を見せているユーミリアの顔にどうでも良いかなと思っています。


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