作戦決行
さぁ飛影の暴走を止めることができるのか
「いいね!!?作戦開始!!」
飛影の暴走を止めるための作戦がスタートする
初手ギルギアを引っ張り出す
《アンビリルワールド》
「一本釣りです!!」
アンジェレネの作成した世界は出し入れ自由である
つまりギルギアだけ引っ張り出すことも可能
「う…わ」
引っ張りだしたアンジェレネが驚愕する
人型形態で翼がもがれ鱗も破壊されて血だらけなギルギアが釣れた
肩で息をしているギルギアは笑っていたが
「…貴様らなんのつもりじゃ!!?」
視界が変わり元の魔界へと戻ったことに気付いたギルギアは殺意を込めてアンジェレネを睨む
「悪いわね…少し寝なさい」
《クルーズ》
コトハが全魔力を消費してギルギアに触れる
「ぐ…」
強大な殺意を放ったままギルギアの時が止まる
作戦通り
次手
「お次は飛影さん!!」
《アンビリルワールド》
二人同時に戻すと何が起こるかわからないため
確実に一人ずつである
コトハとギルギアはリタが城へと運ぶ
30分の間に住民の避難は完了している
飛影を引っ張り出す
「あははは…あはははははは!!!!」
無傷の飛影がいた
いや服は原形を留めておらず小さな怪我が治っている最中
つまりギルギアはかなり飛影を殺し吸血鬼の再生力を削りおとしたのだ
《スロウス》
シーレイは鍵を振り下ろし笑っている飛影の腕を爆散させる
ついでにスロウスで動きを遅くさせる
まだ回復力に底はついていないようで飛影の腕は徐々に再生する
「あははは!!」
飛影は片方の手で爪を伸ばして振りかぶる
「はい!!抑えた」
その腕を右腕を槍に変化させた黒鋼は貫き木に縫い止める
飛影の動きを止めることに成功
「とりあえずこれで成功したらラッキッキー!!」
まず、椿がいつものように拳を握る
「飛影の馬鹿!!眼を覚ませ!!!!」
椿の拳が飛影の頬を捉える
「あ…」
笑いが止まった
「おっと!!」
「あらら…」
《完全領域》
リタは一瞬早く気付き椿を抱えて移動する
椿のいた空間を飛影の蹴りが薙いで静紅の防御壁に直撃する
「作戦失敗!!これより作戦を第二フェイズに移行するよ!!退避!!」
もともと今のは飛影の残りの魔力と再生力と力を確認する作業も含めていた
充分に作戦の範囲内で更にシーレイがスロウスで遅くしたことにより作戦が実行できる
ただ一人だけ残し迅速に退避する
「あははは!!」
残るは狂ったように笑う飛影
傷は完治していたが再生力も限界である
「さて…お前と喧嘩するのは初めてだな…いつも私が退いてたからな…」
そしてセツネ
その手に槍は無い
武器を使う必要は無い
なにせこれは
「さぁ!!初めての喧嘩をしようじゃないか!!?親友は喧嘩するものらしいぞ!!!!?」
「あははは!!」
セツネに呼応するかのように笑う飛影
場所は記念公園
セツネと飛影が力を入れて作った公園であった
セツネは魔力を全解放
《炎舞》
《威雷・雷槍》
黒炎の槍と雷の槍が手に表れ同時に放つ
威力は互角
問題なく相殺し二人同時に接近
「はぁぁ!!」
「あははは!!」
拳の打ち合い
拳同士がぶつかる
それも相殺する
《炎舞》
《威雷・纏拳》
二人の拳にそれぞれ黒炎と雷が纏う
セツネはそのまま飛影の拳を逸らし態勢が崩れた飛影に蹴りを放つ
「あは!!」
気付いた瞬間セツネは宙を浮いていた
「柔か!!」
飛影のもっとも得意としていて嫌いな技
パワー同士のぶつかり合いがしたいじゃん
という飛影は使う機会があまりなかったが暴走して狂った飛影は逆に使う
殺すために
「あはは!!」
身動きがとれないセツネの顔面に蹴りが放たれ
《威雷・落雷》
セツネは僅か一メートル
地面に着地
しっかりと空中で態勢を整えていて四つん這いに着地する
《威雷・雷光》
同時に雷が周囲に輝く
《風華》
雷による光の熱で炭になるはずだったが風で光も熱も遮断する
「相変わらず強いな!!」
《威雷・電光》
セツネはそのまま上空に雷を放つ
雷雲が造り出され飛影に向けて落雷する
「あははは!!」
飛影はそれを横に跳躍して回避
「甘い!!」
セツネはそれを先読みしてすでに拳を振りかぶっていた
「あっはは!!」
飛影は最小の動きだけでそれを受け流す
受け流されることは知っていたのでセツネは連打で対抗
全てが流し落とされる
「くっ!!」
僅かに態勢を崩したセツネに飛影は前蹴りを放つ
鳩尾に直撃するが自ら後ろに跳んで衝撃を逃がす
《炎舞》
小さな黒炎の玉が飛影の手のひらに造り出され
「まっず!!」
《威雷・一点放射》
黒炎がレーザーのように発射される
僅かに遅れてセツネも雷をレーザーのように放つ
威力は相殺だが衝撃波でセツネの身体は僅かなダメージを負う
「おいおい記念公園を壊すなよ!!」
今までの攻撃と今の衝撃波で記念公園は半壊状態である
「あははは!!」
「聞いちゃいないか…」
セツネにとっても飛影にとってもここは思い出の場所だ
そこを破壊しても笑っている飛影
「暴走ね…」
単純にキレたとかでは説明がつかない状況
暴走という言葉が一番相応しい
「ふっ!!」
再びセツネ拳を握り突撃
飛影はすでにボロボロで吸血鬼の再生力がほぼ無くなり、さらには魔力もギルギアと戦ってかなり消費している
状況的にはセツネの方がステータス上は上である
今なら力も速度もセツネの方が上である
しかし
「ぐっ!!?」
吹き飛ばされたのはセツネの方である
今なら力も速度もセツネの方が上
しかし経験が違いすぎる
セツネは幾つもの戦場を潜り抜けた百戦錬磨
だがセツネが百戦錬磨なら飛影は億戦錬磨といえる
桁が違いすぎる
戦闘経験の差が技術の差に大きくでる
「強いな」
口に溜まった血を吐き出す
戦闘に支障はあまり無いが改めて実力差を体感した
「災厄か…」
あれは飛影じゃなくて災厄
椿がそう言ったのを思い出す
あれは魔王の飛影じゃなくて災厄の子の災厄
飛影が一番嫌いな自分
「飛影は強いが…災厄なんかに負ける気はしないな!!」
「あは!!」
狂ったように笑う飛影を見て椿の言葉を思いだすと身体が少し軽くなった
そんな気分がした
《威雷・瞬雷》
セツネは全身に雷を纏う
一瞬で飛影に接近
飛影は爪を伸ばし横殴りに振り衝撃波を放つ
「あは!!」
セツネが三つに切断され
「残像だ」
背後に移動していた
雷による高速移動と雷の光により一度だけ飛影を騙すことができた
普段の飛影なら見破っていたが災厄では気付けなかった
セツネはそのまま飛影に突撃し力一杯その身体に背中から抱き付く
「こうやってお前に抱き付くのはたまにあったが…今のお前には暖かさが無いな」
《威雷・雷侵》
「暖めてやるよ」
セツネの身体から雷が纏い漏れでて飛影に流れる
「が…は…あは!!」
空に昇る雷がそれの威力を表していた
長い長い抱擁
15秒の雷の抱擁が終わり飛影の全身から煙が吹き出て膝をつく
「どうやら私の勝ちだな飛影!!」
セツネは手加減や情けなど一切かけず握り拳をつくり飛影の顔面を思いきり殴り付ける
まともに身動きがとれない飛影は直撃し数十メートル吹き飛ばされ木に激突し崩れ落ちた
「ふぅ…」
殴った瞬間に飛影は笑っていた
狂ったような笑みではなくいつもの笑みで
「戻ったか……?」
しかしその判断がセツネにはつかない
肩で息をするセツネ
立つことがやっとである
「は…はは!!」
「ち!!?」
崩れ落ちた飛影から笑い声
再び構えるセツネだが魔力はまともに残っていなかった
飛影は震える腕で地を掴みゆっくりと立ち上がる
「はは…」
頭を上げないままゆらりゆらりとおぼつかない足取りでセツネに一歩一歩と近付く
「…まだやるのか…」
セツネは自分の現在の魔力と体力を確認する
反則級どころか一般級
今のセツネはただの人間と同程度以下だった
しかし、それは飛影も同じである
再生力が尽きて傷がまったく回復していない
「…当たり前だ、初めてのセツネとの喧嘩に負けは許されないからな!!」
顔を上げる飛影
その眼は生き生きとしていて笑っていた
「はっ!!無理すんなよ親友!!」
セツネは笑いながら拳を握る
「そっちこそ死人が何を言う!!」
飛影も笑いながら拳を握る
よたよたとまともに走ることすらできない飛影とセツネは共に接近する
「おかえりだ!!そしてただいま親友(飛影)!!!!」
「ただいまだ!!そしておかえり親友!!!!」
飛影とセツネ
実に百年以上の時を越えての再開
同時に顔面に拳が突き刺さり二人して倒れる
しかし倒れたあとでも頑張って頬をつねったり頭を叩いたりともはやじゃれあっていた
こうして冥界の異常と飛影の災厄という二つの危機は終わった
冥界の異常
死者1,732人
蘇り1人
飛影の災厄
死者1人
国全土が巻き込まれた事件にしては犠牲者の数が少なすぎるが充分な傷跡を残して
無事に戻りました
災厄の子はちょいちょい出たと思うのですが、ようやく少しどんなものか説明できたと思います




