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ハチャメチャ魔王  作者: 火憐ちゃん
冥界編
83/110

死者の魂

魔界のお話です


「……暇ね…」


リーべは暇人であった


いつもいつも暇人の時は、ワインを飲んで暇を潰していたにも関わらずそのいつものワインが無くなったのだ


「このままだと暇すぎて死ねる」


自室でゴロゴロと転がっているだけのリーべ


暇を潰せるところがない


皆無といっていい


酒場もちょうどこの時間帯はやっていない


「なんか騒動はないかしら?」


「キャァァァァァァァ!!?」


リーべが呟くと同時に悲鳴があがる


「厄介事かしら?」


リーべは面白そうに悲鳴があがった方へと走る


出たらすぐの廊下であった


座り込んであり得ないものを見るように怯えている侍女


顔色は真っ青だ


「どうしたの?」


少し屈みこんで同じ目線に立つ


「ご……ごご」


声が震えていた


震える指先で示す


そこには恐怖があった


「ゴキブリ?」


黒くてカサカサしている


油がテカっている


触角がわさわさしている


「どこにでもいるのね…」


世界すら越えたあまりの生命力の高さに呆れるリーべ


「殺していいの?」


「…!!!!」


リーべの言葉に恐ろしき速度で頷く


《黒霧》


魔法を発動する


黒い霧がゴキブリを包み込み圧殺


グチュリと嫌な音が響いていた


「こんな下等な生物に怖がるなんて変な人間ね」


リーべはゴキブリはただの虫だと思っている


そのため別にそこまで恐怖を感じない


「……凄いです!!」


ただゴキブリを殺しただけなのに尊敬の眼差しで見つめられる


リーべはそれを無視


暇が潰れなかったと嘆いていた


「?」


溜め息と同時に妙な魔力を感じた


その魔力はメリア国の全てを包み込む


「これは?」


嫌な気配が包んでいた


血生臭い匂いがリーべの嗅覚を刺激する


「ひゃぁぁああ!!?」


再び侍女の悲鳴と卒倒して倒れる音


そこにいたのは人骨だった


人が骨だけになった姿で武器を持ってゆっくりと歩みを進むる


「きしょいわね」


城の中にどうやって進入したのかがリーべはわからなかったがやることは簡単だ


爪を伸ばし切り裂く


城を破壊しないように手加減した一撃だが、骨は一瞬で消滅する


(……呆気ない)


歯応えがない


暇潰しになることはないとリーべは残念そうに肩を落とす


「キャァァァァァァァ!!」


再び悲鳴


今度は上の方である


もしもの時は頼むと飛影から頼まれていなければ酒の肴にしていた


「ち…」


舌打ちと同時に気絶している侍女の首を掴み走る


「…遅かったですね」


着いた時にはすでに終わっていた


金槌を持ったリタがそこにはいた


コレットがリタに守ってもらうように背中にいた


「なんなのこれ?」


「さぁ?わからないです」


リタもリーべと同じで妙な魔力を感じて悲鳴のあがる方へと移動しただけである


「一匹一匹は弱いので普通の人でも倒せますね…」


「面倒ね」


倒せるは倒せるが武器を持っているため万が一があるのだ


「他のは?」


「国全土が魔力の範囲内なので各それぞれに移動してもらってます」


一匹一匹は大したことは無いので殺すのは楽だが数が多い


殲滅が目的なら一人いれば充分であるが殲滅ではなく護衛が今回の目的である


数がいなければ護りきれない


メリア国の兵士など戦えるものは全て出払っている


城にいる戦える者は概ね五人


リーべ

リタ

エリア

護衛二人


「とりあえず…どうする?」


「黒霧で敵だけ集めれませんか?」


「無理よ。一匹二匹は楽勝だけど国全土でしょ?皆まとめてならできるわよ?」


どこまでも冷静な二人


まずはコレットを守ることと敷地内に侵入してきている敵を排除する


仲良さげに背中を預けよりかかり合い手から光や霧を発生させて護衛する


そんな時にである


「…強いな…俺と戦おうぜ!!?」


《レジック》


鎌鼬


声がした方を二人が横目で見ると鎧を身に纏った若い男が脚を振り上げていた


魔法なのであろう鎌鼬がリーべとリタに直撃する


「気付いた?」


「全く」


威力は絶対強者級の二人にとってはダメージが通る攻撃ではなかったが


距離30メートルちょうどT字廊下でリタとリーべの視界には入っていなかったがそんな至近距離までこの二人を相手に感知されずに接近できるのはアンジェレネぐらいである


若い男は無傷の二人に驚く


「おぉ!!?無傷かよ!?飛影みてぇだな」


『飛影?』


飛影の名前がでてくるとは思っていなかった二人


思わず聞き返してしまう


「あぁ!?お前らこの城にいるのに飛影のこと知らないなんてありえないぜ?」


仲が良さそうに飛影の名前を出す


リタとリーべは混乱するばかりである


敵意は無いが殺意は向けられている


《レジック・双》


脚が十字を描く


十字の鎌鼬がリタとリーべを襲う


城の中なので被害を最小限に抑える必要がある


リタが一歩前に出て鎌鼬を片手で受け止め弾き飛ばす


「俺はリックス!メリア・リックスだ!!」


「なっ!!?」


コレットがその名前に反応する


「誰?」


リタ一人で充分と判断しリーべはリックスに背中を向けて次々に侵入する骨を排除するため霧を発生させる


その間にコレットの反応した理由を聞く


「国王様…です…元ですが、セリエ王の二代前の王です」


「死者よね…」


「はい、随分前に亡くなられました」


すでに100年は経っている


「どういう魔法かしら?」


死者を生き返すだけなら身体が白骨死体なのは理解できる


時間が経っているので骨しか残っていない


しかしリックスは身体も意思も記憶も持っている


「……リーべさん!!」


そしてコレットが気付いた


もし、リックスだけでなく今までの王が復活するのであれば


「王が危険です!!…護衛の二人は元々二人がかりでもセリエ王に勝てなかったです!!」


護衛としての実力は折り紙つきである


しかし、魔王という魂を変質させる者がいて長期的に住んでいた


元々が強力な魔法使いの家系にあるため、強くなることしかない


「上の方ね」


大きな爆発音


雑魚には必要ない威力の音である


「あと、任せたわよ」


「わかりました」


リーべは翼を生やし中からではなく外から向かう


街にはいくつも煙が上がっていた


辿り着くと護衛の一人は片腕を失い一人は壁に叩きつけられていた


「貴方が誰かはわからないけど」


霧を発生し足場にして急降下


そのままの勢いで腕を弾き飛ばし


「飛影から頼まれてるのよ…」


「飛影…?」


王族、リラコの動きが止まる


だが、リーべには関係がない


爪がリラコの身体を切り裂いた


「ふん…疑問があるわね…骨と肉体の差は魔力だけど、若い姿と記憶があるのに攻撃するところ…あとどんな魔法か…現象か。わからないことばかりね」


リーべは護衛二人を軽く観察し命に別状はないと判断する


「助かった…礼を言う」


護衛二人のお陰で怪我をしていないセリエ


「くそっ!!身体が思う通りに動かん!!」


だんだんと衰えて戦うことすらできない自分に憤りを感じるセリエ


「多分これ死者の魂に肉体を渡す何かだと思うけど死体が多いのはどこ?」


予想だがいきなり現れたのはそこで死んだからである


雑魚には墓の肉体を使って復活させ


強者には魂に直接生前の一番強かった肉体を造って宿して復活させる


それならば雑魚は城の敷地内から城に入ってくるが肉体持ちは突然現れることの説明がつく


「……西じゃな。最低でも60万は死んだはずじゃ」


飛影がボジョンド国との戦争を止めたときである


「……あと肉体持ちは王族でも殺していいの?」


「構わん、死んだものは生き返らないのだからな」


死者のために生者を殺すのはナンセンスである


セリエはすぐに首を振った


「それじゃあ作戦会議ね……」


状況を整理しよう


鼻歌を歌いながら暇が潰れていることにリーべは嬉しそうに微笑む



超展開!!?無理矢理!!?

ではなく冥界のことと繋がっています。


ちなみにゴキブリを出したのはどうやって骨を出そうか考えてた時に駅のホームにゴキブリがいたからです

特に意味はありません


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