クラスと依頼
ギャグ回ではなくアホ回です
「お父様!これ見てもらってもいいですか?」
飛影が朝食を終えるとエリアが飛影に飛び付く
手には分厚い紙束
「魔法学校の経済についてなのですけど」
「お!!!」
愛娘の初仕事
飛影は飛び付く
すぐに紙束を受けとり庭園へと移動する
エリアも緊張した面持ちでついていく
庭園に着きゆっくりと熟読すること30分
「驚いたな…」
読み終わった飛影の感想
「どうですか?」
エリアに緊張が走る
「贔屓目無しに良い計画書だと思う。無駄なく最小限に、しかも実現可能…初めてでこれは凄い」
飛影から次々にでる誉め言葉
エリアは緊張が解け笑顔に戻る
「良かったです!!!」
「俺も準備しなきゃな…優希」
「はいは~い!なんですか飛影さん!!?」
どこからか現れる優希
いつも通りの笑顔である
「これを兵士に渡してきて」
飛影が優希に渡したのは20枚の紙
情報屋から仕入れた武術家の現在地である
「丁重にもてなして連れてこいって伝言頼む」
「りょ~かいっす!!」
紙を受け取った優希はふらふら~と走り去る
「エリアはこれを実現できるように協力者に交渉して…」
「はい!!」
エリアも微笑みを浮かべ飛影に一礼すると走る
「娘の成長は嬉しいものだね」
初めてのことであそこまで立ち回れるのは優秀なメリアの王族でもセツネ以来である
セリエは子供の頃に同じように飛影に言われてやったが
結果は飛影の説教一時間である
泣きべそかいて五回目の説教のあとにまともな形になったことを飛影は昨日のことのように思い出せる
セツネは新しいことでも関係なく面白いことを選ぶことができた
エリアはタイプが違うが充分に面白いことになっている
「さて…クラス発表だ」
飛影も娘が真面目に仕事をしているため負けじと働きに学園へ向かう
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クラス割り当てが行われた
100箇所ほどにズラリと名前とクラスが記述されている紙が張り出される
彗達もそのクラス割りを見るために何故か貼られている時計台のてっぺんにいた
秋野の集固で足場を作り三人で見る
飛影からの指示である
そこの紙だけは人間界の言語で記述されているからだ
『……』
沈黙しかない
飛影から聞いた話でBクラス以上で卒業の資格を得ることができる
まぁ三年はいる必要があるが
しかし、飛影の判断と試験の成績で行われた割り当て
Sクラスは0人
Aクラスは0人
Bクラスは0人
Cクラスが40人
あとは順々に数が増えていっていた
彗達はCクラスである
「0かよ…」
「頑張ったんですけどね…」
「兄ちゃん厳しいな」
マラソン完走
テストも八割
それでもBクラスに届いていない
飛影の考えは全てクリアでようやくBクラスなのだ
そこから+αで加算される
だがクリアしたものはおらずCクラスの40人もかなり妥協した結果である
「鬼ごっこがでけえな…」
「あれは答えを知ってイライラしますね」
あの後気絶から復活した後三人でやけ食いしたほどである
「まぁこれからに期待ってやつだ」
「うぉ!!!!?」
彗の目の前に逆さになった飛影の顔が現れる
風華で空を浮いていた
「いや~生徒達の不満が凄くてさ~」
笑いながら困ったように言う飛影
それもそうだろう
卒業する資格全員無いですこのゴミ共が
と言われたようなものである
「ったく!!文句言うなら相応の実力をつけてから言えっての!!」
少々プチ切れモードである
「まぁお前の判断だから正しいと思うが…」
よくよく試験を思い返せば
全ての試験に
体力
知力
判断力
洞察力
が求められていた
全てを合わせ実力としての判断である
「兄ちゃん!!魔法覚えたい!!」
マイペースな火月
会話を断ち切ることに関しては天才である
「マトモに魔力を扱えるようになってコトハの授業と講義に全部参加してから聞こう」
せめてこんくらいはできなきゃな
と飛影は軽く腕を振るう
三人同時に額に軽い衝撃が走る
小学生のデコピンのような威力
「奥が深いんデスヨ」
あっけらかんと笑う飛影
「ってか話戻すけど試験ってまだあるんじゃないのか?」
そんなことを前に聞いたかと思っていた彗
「……飽きた~彗達以外クリアしないんだもん、彗達も鬼ごっこクリアしなかったし、これ以上評価下げてもいいならやるけど」
「凄いぶっちゃけましたね…」
飛影としてはまだまだまだまだ案はあったが求める答えが返ってこないため諦めたのだ
「まぁ今が駄目でも成長すりゃいいんだから気にすんな」
0点を20点にするのは簡単だ
正しいことを教えればいい
20点を50点にするのも簡単だ
基礎を教えればいい
50点くらいでようやくBクラスにはなれるようにしている
「色々覚えて成長する。それがこの学校の在り方だ」
頑張れ少年少女と飛影はぶら~とどこかに行く
「良いこと言ってるのに…」
「心に響かないです」
「言葉と態度が……」
笑いながら逆向きで言われても真剣身はない
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「あぁ飛影久し振り~ちょうど良かった」
「なんだ腐れチート!!略して腐れ!!」
「せめてチートつけてよ!!?」
飛影が一仕事終えて城に戻るとラインがいつものようにスーツ姿で後ろ髪を縛っている状態で庭園で紅茶を飲んでいた
「うっさい!!腐れ」
「え!!?それ定着!!?」
良いリアクション
それだけで飛影は満足である
「なんかようか!?(帰れチート)」
「副音声!!?めっちゃ聞こえるよ!!!なにその技術!!」
風を操って音の振幅を変えただけであるが
かなりの高等な技術が必要でその技術がいじるのだけに使われている
紅茶を飲む暇もないライン
「んでどうした?(…その紅茶はこの国のお金で買ってるからつまり国民の税が使われているのに特に感謝もなく普通に飲んでるゴミ野郎)」
「副音声のが長いよ!!そんな嫌いかこの野郎!!」
「……え?知らなかった!?」
「初耳だよチクショー!!」
口じゃ勝てるわけがない
それがラインの今再認識した内容だ
「まぁ本気はさておき…」
「否定して!!お願いだから否定して!!!」
冗談ではなく本気
本気も冗談だがラインにとっては本気にしか聞こえない
「ほら…人間界に住めなくなって少し経つけど…調子はどうかな?って」
「あぁ…別に普通だ」
飛影の普通は常識外であることは周知である
「あぁそう。楽しそうでなによりだ」
ラインの笑顔
飛影はその笑顔が厄介事を持ってきた時の笑顔だと知っている
「ところで」
「そうか…断る」
即答
用件すら伝えられていない
「せめて聞け!!さすがに聞いて!!」
「んあ~?」
ようやく話を聞く体制になる飛影
「ちょっと私からの仕事を頼まれてくれないか!?」
「へぇ~」
飛影は欠伸をしながらどうでもよさそうに返事をする
「おい飛影」
「聞いたぞ」
確かに聞けと言って一応は聞く体制になったが
確かに約束事は聞くだけである
「屁理屈だぁ!!」
「自分の言ったことには責任もてや…それに人にものを頼むときにそんな態度が許されると思うなよ」
うがぁぁ!!と頭を抱えて何かと葛藤する
決着は一瞬だったが壮絶な戦いが繰り広げられラインは深呼吸で荒れた呼吸を戻す
「え~飛影さんもしよろしければ私からの仕事の依頼をまずは内容を聞いていただきたく思います。その後で依頼を受領なさるかかどうかご判断いただきたいです」
「ふむ…そこまで言うのなら聞いて判断してやってもよいぞ」
《幻想魔境》
「アハハ!!とりあえず一回死ね!!」
限界がきたライン
殺し合い最強たる魔法が発動する
「甘いなライン」
しかし飛影は笑うだけ余裕の表情である
《キュリクレイ》
発動するための光がでない
そしてラインの首もとにはノコギリが
「……」
何が起きたかラインは一瞬で理解する
「飛影を殺す前に殺せるのでそのつもりで」
リタであった
飛影は笑いを堪えていた
「も……モウシワケナイデスチョウシノリマシタ」
「さて…用件は?」
今のが見れて満足な飛影はようやく話を先に進める
「ちょっと助けてあげてほしい子がいるんだ」
「詳細は?」
「冥界の管理者」
冥界は死者がその後どこに逝くかを判断する場所
天界は様々な世界が合わさっており三途の川も天界にある
三途の川を渡り閻魔に悪人と善人を決めさせて悪人は冥界に送られる
その冥界でさらに悪人をレベルに分けて地獄と呼ばれる場所に送る
それが冥界の役割で冥界の管理者の役割である
「若いのに優秀だから任せた私にも責任あるけど、私はそこまで闇を知らないから助けてあげられないんだよ」
若く純粋であるがために、闇ばかり見続けて精神が汚染されていく
それを知ったラインからの依頼である
「……まぁいいけど、報酬は?」
「その冥界で問題起こしてる絶対強者級の処分」
「乗った!!」
下らない報酬なら却下するのも考えたが、絶対強者級との戦い
飛影にとっては最高の報酬である
「依頼した!!んじゃあと五分後に送るね。半径3メートルには誰も近付けさせないで、ダドマと違ってそこまで精度よくないからウチの移動魔法使い」
ダドマは世界が違っても個人単位での移動が可能であるがダドマ以外にそれを行えるのはいない
せいぜい場所を指定して送るくらいである
「はや!!準備は…まぁこのままでいいか」
コートだけ羽織る
「んじゃま…行ってくるか…早めに戻るよ」
飛影はゆるりと紅茶を飲んでその時を待つ
久々登場ライン
次回冥界に行きます
ある奴と一緒に