情報屋
久々アンジェレネ
アンジェレネの魔法の具体的なチートな話になります
「う~ん…」
学力試験の次の日
学校は休日である
パンにスープにサラダという城の朝食とはとても思えない朝食
王族も使用人も関係なく全員がその朝食である
食堂も一つしかなくご飯は階級など全く関係ないものとして食堂で食事をする
彗が最初の朝食時に
「お城の食事ってもっとイメージ的に豪華なものだと思ってたけど……」
と呟いた
「無駄じゃん」
「無駄な経費は削減じゃ」
「三食定量の栄養がとれれば充分ですよ」
と魔王、国王、王女に即答された
基本的にメリアが世界一の大国になったことや国民からの支持も高いのはこのような点もある
城が使用できるお金は国民からの税金である
そのため無駄にならないようにと全てのことに無駄を省略している
彗としても庶民的なご飯であまりテーブルマナーに気を使う必要がないため楽でありその日の夕飯に煮物と白米がでてきた瞬間に安堵した
「ん~…」
飛影の屋敷の面子や王族や使用人での少し騒がしい朝食時間
飛影は唸っていた
一番早く食べ終わり食器を炎舞と風華でキレイにして唸っていた
非常に難しい顔をしている
「何悩んでいるの?」
夜行性とイメージが強い吸血鬼でいながら早寝早起きをすることができるリーべはパンをかじりながら隣で悩んでいる飛影に話しかける
「困った問題が起きてな…どうしようかと」
「何か手伝えることはあるかしら?」
基本的に暇人なリーべは飛影からお金をもらって酒を飲みに行くか寝ているかのどちらかである
「リーべは目立つからダメっぽい」
「あら残念」
暇が潰せないと残念そうなリーべの頭を撫でて飛影は意を決して立ち上がる
「アンジェレネ今日暇?」
食い気より眠気を優先し朝食を食べないシーレイから朝食をもらって勢いよく食べているアンジェレネが顔をあげる
「ふぁいひふぁでふひょ!!!」
口一杯に食べ物が含まれており何を喋っているかはわからない
「なんだって?」
聞き返す飛影
「ふぁふぁふぁふぁいひひぁでふひょ~!!!」
再び解読が至難な言語で返事をされる
「意味わかんねぇよ!!!」
飛影が突っ込みを入れるがアンジェレネの食べる速度は変わらない
リスのように頬を膨らませている
「…貴女には神として自覚はないんですか…?」
そんな神とは思えぬ態度に飛影を困らせていることに苛立ったリタ
席はアンジェレネの隣に座っている
そんなリタの冷たい声色とこっそりと見せられる金鎚
「っ~!!!!!!??」
一瞬で口の中のモノを飲み込み水で胃袋に落とす
「めっちゃ暇です!!私めっちゃ暇ですよ!!!!」
リタならばあのまま頭部粉砕もあり得た
「なんですか!!?デートですか!!?超賛成ですよ!!!」
それに対する恐怖と飛影からの誘いでハイテンションになるアンジェレネ
「…うん、まぁ隠密にやりたいから二人だし、考えようによってはデー」
「いやっふぅぅ!!!」
デーと聞いただけでテンションが最高潮になり両手を挙げて喜びを表現するアンジェレネ
そして一瞬の内にリタはアンジェレネの目の前の食器をどかし
アンジェレネの隣で寝ていたはずのシーレイから裏拳という一撃が容赦なくアンジェレネの後頭部に直撃する
テーブルにそのまま頭をぶつけそうだったアンジェレネの頭をリタは支える
「本当に…うるさい…殺す…」
かなりのぶちギレモードのシーレイ
アンジェレネは今の一撃で気絶している
今までの鬱憤が溜まっていたシーレイは巨大な鍵を取り出し追加攻撃しようとする
「さすがにシャレじゃすまねぇぇぇ!!!」
「っシーレイ!」
飛影とリタの二人がかりでシーレイを抑える
「…リタ…怒る…恐い…部屋…寝る」
般若なリタに追いかけられたことが未だにトラウマとして残っているシーレイ
すぐに大人しく部屋へとゆるりと向かう
「しかし…アンジェレネは成長しないな」
「もはやわざとやっているのかと思ってしまいますよ」
いつもいつもシーレイに五月蝿いと言われるアンジェレネだが静かになったことは一度もない
「まぁいいや…行ってきます」
静かなのは丁度よいと飛影は気絶しているアンジェレネの首根っこを掴みズルズルと引きずっていく
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一時間後
飛影は目的地に到着する
途中からアンジェレネを引きずるのが面倒になり、風で浮かせていた
それのせいかアンジェレネは気絶から眠りにシフトチェンジしていた
飛影が少し前から起こしているが全く起きる気配がない
「……」
そんなわけで飛影は深呼吸する
誰でも起きる目覚まし方法
飛影は魔力を解放し全力で殺気と敵意を放つ
「…っ!!?」
と同時にアンジェレネは起き上がり殺気を放った敵の首を跳ねるために一瞬で接近
寝起きとは思えない全く無駄のない動き
アンジェレネが殺気を放った敵が飛影だと認識したのは攻撃をギリギリ防がれた時である
「あ…飛影さんおはよーございます~」
「……よし、起きたな」
間一髪
というよりも的確に急所狙ってくるとは想定しておらずアンジェレネのダガーが皮一枚切り裂いていた
「殺気だすなんて酷いですよぉ!!!」
あれだけの起こされかたをされれば誰でも何をされたか気付く
寝ていても反射的に敵を殺してから起きることができなければ絶対強者級としては失格である
「殺されかけた俺に言うことかぁ!」
飛影も同じ状況なら同じことをしただろうがひとまずifの話は置いておく
「……てへ♪」
可愛らしく笑うアンジェレネ
「ふん!!!!」
一瞬で接近した飛影のデコピンが直撃する
「ぎゃふ!!!」
大砲のような音と共にアンジェレネが50メートル程吹き飛んでいく
地面につくと同時にアンジェレネは額を抑えながらゴロゴロと転がる
「ひたいいたい!!!ひたいいたい!」
ただのデコピンでなく攻撃力最強のデコピンである
今のを普通の人間に当てれば木っ端微塵
木造建築に当てれば木っ端微塵
鉄造建築に当てれば木っ端微塵
そんな一撃を泣きそうな声で痛いと地面を転がる程度で済んでいるアンジェレネも充分におかしい
「額がめっちゃ痛いです!!!絶対骨折れましたぁ!!!」
痛みが引いてきたため、アンジェレネは立ち上がり飛影に接近
「見てください!!額がめっちゃいたいです」
デコピンが直撃した箇所が赤くなっていた
「あ~結構腫れてんな」
と飛影は腫れている部分を叩く
「ヘニホリンリンクゥ!!!!!!」
奇声をあげながら再び転がるアンジェレネ
「リアクション最高!!!」
「酷いですよぉ!!!ってここどこですか!!?」
今度は軽く叩いたため復活が早い
そしてようやく今いる場所に疑問を抱く
少し遠く離れた所に仰々しいというより神であるアンジェレネなら感覚で不吉な悪意の塊の場所だと気付く
見た目も雰囲気もそれは
「犯罪者の収容所」
「あぁやっぱりですか」
ドーム上の建物
俗に言う監獄
メリアは絶対に脱出が不可能な監獄でも世界一である
そのため国の外れの外れの外れにひっそりと監獄が建てられている
監獄には魔王である飛影ですら入ることができない
外部を完全にシャットダウンしておりここで働く者や囚人は入ったが最後
生涯出ることは叶わない
犯罪者を収容する場合も決まりがある
連続して5個の門があり
収容するさいは最初の門を潜らせることで終了する
時間内に門を全て潜らなければ猛毒猛火など様々な死に方を体験できる
決まりごととして飛影ですら入ることができない
そのためのアンジェレネである
「ちょっと中に話したいやつがいてさ…頼む」
「う~ん…まぁいいですけど、終わったら買い物付き合ってください」
交換条件
交換の対等な条件になっているかは飛影に判断できないが頷く
《アンビリルワールド》
そして魔法を発動する
アンジェレネは飛影の手を引いて自分の世界に招き入れる
着いた先は一面花畑の世界
「おぉ~」
世界を創造できるということは生物も創造できる
アンジェレネは植物以外の生物を創造する気はなくこのようになっている
世界は境界でわかれており他にも大量のマンガがある小世界やぐ~たらするための全てが揃っている世界や戦いのための世界などが存在する
「とりあえず中入ればいいんですか?」
「そうだな…とりあえず…ってか外の様子見れなかったっけ?」
普通の世界とあまり変わらない
しかしアンジェレネが少し眼を瞑る
「わぉ!」
すると一瞬にして風景が外の世界を半透明に映した
「これで座標も狂わずに移動できますよ」
飛影やギルギアなどの完全バトル用ではない絶対強者級の魔法
「すっげぇ」
思わず飛影は笑ってしまう
五つの門を言葉通りにすり抜ける
中は活発な空気に包まれているように見える
人はよくわからない作業を行っている者と食事や掃除を行っている者の二種類いた
意味のわからない作業
例えば一人がペットボトルの蓋を開け、次の者がペットボトルの蓋を締めるなどを繰返しやらせることで精神を弱める
そして意味のある作業を行わせることで効率の向上と脱獄の意識を薄くさせることが目的である
「思ったより暗くないですね」
人も者も所詮は風景で全て二人をすり抜ける
「ここはまだ上層部だからな…下は外に野放しできない連中ばっかり」
この収容所には格差がある
犯罪のランクである
上にいるのはせいぜい100人殺した程度だが
下にいるのは町を消滅させたり国家転覆を狙ったりした者たちである
飛影が用があるのは下である
「さて…困った」
「なにがですかぁ?」
「下への行き方がわからん」
内部の情報は外部に伝わらない
さらに上と下は明確に分けられている
噂では五つの門ではなく違うルートから収容させられるなど
「とりあえず下ですか?」
アンジェレネがパチンと指を鳴らす
風景が上ってゆく
「とりあえず地下500メートルくらいです」
「わぁお!!」
何気なしに言うアンジェレネ
飛影でも驚きの連続である
そしてさらに
「とりあえず…でこれか…」
飛影の目の前の牢屋に繋がれている人物
それが飛影の捜していた人物である
神の強運
てきと~が知らずに適当になる
アンジェレネは魔法を解除すると飛影達は元の世界に戻る
「よう…久しぶりだな」
飛影の捜していた人物はいきなり表れた飛影とアンジェレネに一瞬驚いたが
飛影と認識するとニヤリと笑う
「ケヒャヒャ!!!久しぶりだな…魔王、俺をここにぶちこませた原因じゃねぇか」
男は少し前にメリアで国家転覆をやろうとして飛影に潰された男である
その男は有能で殺すには惜しいということで生かされて収容された
未遂だったから生かされたが
僅かでも実行すれば命は無かったのは当然である
アンジェレネは男の下品な笑いに嫌悪感を抱きダガーを構える
それを飛影は手で制す
「それなりに強い武術家を20人ほど教えろ」
男は情報屋である
情報だけで国家転覆を狙った男だ
「ケヒャヒャ!あんたのが詳しいと思うんだがね!!」
「知らないから聞いている…返事はイエスかノー」
飛影の眼がわずかに鋭くなる
「ケヒャ!イエスだイエス!!!教えるぜ…だが交換条件だ」
男はチャンスだと考える
情報を渡す代わりに脱出の手引きを頼む
魔王ならば脱出することも簡単にできる
それを狙っていた男だが
「交換条件?」
飛影の冷めた眼を見て一瞬で後悔する
「知ってるか?条件ってのは対等じゃなきゃ意味ないぜ」
圧力
男は一瞬で七回ほど死ぬことがイメージできた
「……ケヒャヒャ!!!教える教える!条件なんて無し無償っていいことだ!!!」
一瞬で手のひらをかえす男
アンジェレネが冷めた眼で見るが気にしない
一通り情報を聞くと飛影はポケットから酒を取り出す
「礼だ」
投げ渡す飛影
酒などこの場所で呑めるはずもなく男にとってそれは極上の礼だった
「毎度おおきに!!!」
《アンビリルワールド》
アンジェレネはこんな場所に長居はしたくないとすぐに魔法を発動する
「さて…これで教師はなんとかなるな」
学校の人材を見てみるとマトモに近接戦を教えられるものがいなかった
そのため、指導者の情報を貰いにきたのだ
「さぁさぁ!!!飛影さん!!デートです!!!」
出た瞬間に一気にテンションが最高潮に戻るアンジェレネ
「…ぁいよ~」
買い物に付き合うから一応はデートである
アンジェレネは結局色気より食い気で服も少しは見たが基本的に飯屋を見つけると入って食べを繰返していた
「……さすがの俺も驚いた」
飯屋を20件回ったあとに飛影が言った感想である
次の話はどうしましょうか…
とりあえずメリア魔法学校の休みは土日のように週二日に設定してるため
この話の次の日も休日なので
ちょっと休憩話でも作成しようかと考えています