ダンスパ~チ~
メリア国の底力が爆発します
「……」
飛影は絶句していた
飛影のパーティーへの善処してやるの対応として行動したのはみんなの許可である
許可といっても飛影の周囲はみんな騒ぎごとは好きなので二つ返事で即答だった
飛影の中では関係者くらいで少し酒でも呑もうかと考えていたのだが
「……」
国総出での取り組み
パーティーというよりも祭りに近い
見下ろす城下町には100を越える露店が埋め尽くされ街中が賑わっている
背後を見るとダンスホールではすでに料理と酒
そして他国の王族や貴族などのお偉いさんがすでに集まっていた
「……」
おかしい
飛影はそう思っていた
飛影達が帰宅したのは9時00分頃
現在は18時00分
九時間で用意できるとは到底思えない
いや最善で最高で無駄の無い動きをすれば可能である
予めいつでも帰ってきても良いように計画を立てていれば
「…アホすぎる」
なにやってんだ馬鹿共と叫びたくなるが城からでも飛影の視力で確認できる民の笑顔と城の者達の喜びオーラを放出している笑顔を見ると溜め息しかつけない
このパーティーはドレスコードのため、飛影はスーツを着ている
タキシードは飛影的に動きにくいため少しお洒落なスーツだ
「飛影は人気ですね」
すでにパーティーは始まっており各々は好き放題楽しんでいる
街に降りて露店を楽しんだり
城の飯や酒を楽しんだりと
そんな中リタはシャンパンを持ちながら飛影に話しかける
席などは無く
立ちながら自由に移動したりして会話を楽しんだりするためだ
「おぉリタか…サンキュ」
リタの格好は可愛いドレス
薄い青色のドレスを着用している
リタから一つシャンパングラスを受け取りグラスを鳴らす
「しかし行動力が凄いですね」
リタも行動の早さに驚いていた
「俺も驚いてる」
「皆さん飛影の帰還を心待ちにしていたようですし」
全員が飛影の帰還を喜んでいた
「…いちいち騒ぎすぎだ…全くこのパーティー代を誰が払ってると思ってるんだ!!!畜生!!!」
「えっと…税金ですか?」
国の祭りごとは基本的に国のお金
つまり税金で払っている
「違う…いや…合っているけど…正確には魔王騒ぎたいボックスから出されてる」
「なんですかそれ!!!?」
魔王騒ぎたいボックス
それは100年程昔
飛影は基本的にパーティーは好きだが国民の金を使って騒ぐのは嫌だった
そのため、誕生日等は全て自粛していた
しかしある国民が
「魔王様の誕生日を祝いたい」
と言い出し
国全体にそれが広がった
飛影の税金使いたくないということも国中に広がった
そして税金じゃなくて義援金ならどうだろうと意見ができて
魔王騒ぎたいボックスができた
仕組みは簡単で国中に募金箱のようなものが設置されそれにお金をいれる
そのお金が魔王のために騒ぐパーティーなどの費用になる
つまり国民からの感謝が集まってできたので税金じゃないということだ
「……今のところどのくらいなんですか?」
「100億くらい…らしい…基本的に全部セリエとかに任してあるからこういう祭りに使用するだけだし」
魔王と一緒に騒ぎたいから
魔王騒ぎたいボックスである
基本的に民からの要請があり国王か飛影が認めた場合にそのお金を使用して騒ぐ
飛影としては家に帰っただけで騒がれるのは大袈裟だと感じる
「……飛影のことをみんな好きなんですね」
「ありがたいけど……はぁ」
飛影は深い溜め息を吐く
スイッチを切り替える
シャンパンを一気飲みし
「うっしゃぁぁぁあ!!!騒ぐぞコラァ!!!!」
「…飛影?」
一瞬の静寂
『おぉぉぉぉう!!!』
会場内が飛影の気合いに返事をする
いつものことである
飛影は最初だけ遠慮する
パーティーが開始されて少し経つと吹っ切れる
吹っ切れてからが本番である
自分が企画した祭りは最初からハイテンションでリタはあまり遠慮していた飛影の経験がないため変わりように少し驚いている
《炎舞・花火》
そして毎回恒例
飛影は魔法を構築し窓から外へと放つ
巨大な花火が上がる
化学反応ではなく
温度と魔法で加工した色鮮やかで巨大な花火が国を照らす
国中が一斉に騒ぎ出す
「よし!!!リタ食うぞ飲むぞ!!!」
「はい!!!」
飛影の誘いにリタは大きく頷く
が
「あ…リタタイムやらなきゃいけないことができた」
「?」
飛影の視線の先
エリアとどこぞの王子か貴族のような若い男
エリアは少し引いた笑みを浮かべ若い男が一方的に話している
「…わかりました。それでは後でダンスにお誘いくださいね」
それだけでリタは納得する
「あい…必ず誘うよ」
飛影はリタに笑いかけたままエリアに近付く
「お父様!!」
エリアが第一に気付き飛影の手をしっかりと握る
それと同時に話しかけていた男が停止する
「お父様お帰りなさい!!!よろしければ一緒に踊っていただけますか!!!?」
引いた笑みではなく本心からの輝くような笑み
男はエリアをダンスに誘っていたのだがやんわりと拒絶された
しかし、父親を見た瞬間に逆にダンスに誘うエリア
「よし…踊るか!!」
エリアの頭を撫でながら飛影は誘いを受ける
「ちょ!!あのエリア姫には自分がお誘い中だったのです!!!」
しかし男は二人を止める
エリアと踊ることができるのは飛影のみ
それを知らない男は今回が初めてのメリアのダンスパーティ出席者だ
エリアにはすでに周りの雑音は全く聞こえていない
その代わり飛影がその男に笑いかける
「ひ…」
その瞬間に男は黙り混む
敵意と殺意の込めた笑み
常人には耐えきれるはずはない
邪魔者がいなくなったため飛影はエリアと踊る
椿と共にこのような遊びごとは遊び尽くした
伊達に270年以上生きているわけではない
エリアに踊りを教えているのも飛影である
「お父様は凄いです!!!」
基本的にも応用的にも飛影としか踊らないエリアだがレベルが違うことは見ればわかる
少し足がもつれそうになってももつれないように然り気無く動きを変える
のびのびと自然体で踊ることができるのだ
「まぁ踊りに関してはエリアの先生だからな」
「ふふ…ありがとうございます先生」
一曲を躍り終えるとエリアは物凄く今生の別れのような眼で飛影から離れる
「シャキッとする!王女だろ?」
最後に飛影から頭を撫でられ再び微笑みが戻る
飛影は魔力探知でリタを探し誘う
「喜んで」
リタは笑顔で誘いを受ける
リタの踊りは決して上手ではない
「…リタって踊ったことある?」
踊りながら飛影のふとした疑問
リタには慣れが感じない
「ないですよ。これが初めてです」
「…初めて!!?」
リタは上手ではないがきちんと踊れている
「先程飛影とエリアさんの動きを見て大体は覚えました。お二人ともとてもお上手でした」
微笑むリタ
「さすがだな~」
足下を見ずに飛影を見ながら会話までする余裕がある
「飛影の補佐ですから」
誇るように
楽しげに笑う
再び一曲を終える
「何かあったら言ってくださいね」
リタは一礼すると離れる
飛影は次に誰を誘おうか悩みながら周囲を見渡す
基本的に飛影の屋敷の人物はダンスより酒や飯が好きなのであまりダンスホールにはいない
「おっ!!踊りましょうかお嬢さん」
飛影はニヤリとした笑みを浮かべコレットを誘う
料理を運んだ後のためお盆を持っているコレットは苦笑いを浮かべる
「仕事中です」
「ちょっとなら大丈夫だ!!!」
「はぁ…少しだけですよ」
コレットは諦め慣れたようにお盆を上に放る
飛影の風がお盆をそのまま空中に停滞させる
しばしば飛影から誘われるコレット
最初はレインのように慌てていたが今となっては楽しみながらできる
侍女の服はメイド服のようなもので少し浮くのが気になるし魔王と踊っていることにも注目を浴びるがコレットはすでに慣れた
「飛影さんはお変わりないですね」
「まぁそれが俺だし」
「そうですね…その方が良いです」
微笑むコレット
一曲を終えると風華が解除されお盆がコレットの手に戻る
「遅れた理由は」
「飛影さんを使わせてもらいますね」
慣れているため言わなくてもわかっているコレット
「あっ!!!飛影さんおかえりなさい」
「おう…ただいまコレット」
大事なことを忘れていたとコレットは慌てながら挨拶をする
そしてコレットが離れ飛影に近付く者が二人
飛影にとっては地獄が始まる
「これは魔王様!!本日は帰還おめでとうございます」
ゲッと飛影は思わず言ってしまうところだった
他国の王族
王と王女である
メリアと交流が盛んな国の王族
飛影は反応ができない
見るからに面白くない人間
それだけで飛影の興味は無くなる
しかしメリアとの交流が盛んな国なためメリアという国を守りたい飛影としては無視することはできない
昔からの交流が途絶えてしまえば当然そこからの輸入や輸出ができなくなる
世界一の大国であるメリアと交流を持ちたい国は腐るほどいるがそれとこれとは関係無い
「だれ?」
とりあえず飛影はどこの国の王族かを知りたい
それで飛影の反応は決まる
「申し遅れました!!!ナスカ国のアリヴルと娘の第二王女のクリスでございます」
国王のアリヴルとその娘のクリスが飛影に頭を下げる
「…ナスカ…」
飛影は必死に脳内の引き出しをあけまくる
脳内で10秒
現実で1秒検索してヒットする
(セツネの代からの交流国だぁぁぁ!!!確か…大国ではないけどそこそこ大きな国で物資よりも人材が流れてきたな…政治は苦手だが…人材の動きは国を表す…でも物資ではなく人材であるならば…関係は友好とかはいらないな…よし!いつもの態度で大丈夫だ)
「ふ~ん」
いつもの態度
つまり興味は完全に無くなる
「もしよろしければですがうちの娘と一曲踊ってはくれませんか」
飛影は魔王である
今現在魔王との交流が盛んなのはメリアのみ
魔王という強大な力と交流を深めたいという国は腐るほどいる
従って飛影もこのような誘いを多々受ける
すでに飛影の耳には言葉が入っていない
無視ではなく関心を無くしているのだ
「う~ん」
飛影はキョロキョロと周囲を見る
慌てながら飛影に近付く従者と侍女
いつものことである
素晴らしい動きでアリヴルとクリスを囲う
そしていの一番に気付いたセリエがアリヴルへと挨拶をする
アリヴルもクリスもセリエが来ることによって挨拶を返さなければならない
当然だ。交流させていただいている大国なのだ
失礼が無いようにしなければならない
実際問題セリエ達が来なくとも飛影の対応でアリヴル達が思うのは何か失礼をやらかしたのではと悩むだけで交流が絶たれることはなかったのだ
そんなことはすでに興味が無い飛影は獲物を発見する
このような場が初めてで唖然と震えながら粗相の無いように気をつけながら食事をしている秋野であった
「あぁ!!!先輩!」
秋野は飛影に気付くと焦りながらも近付き安堵の溜め息を吐く
「良かったです物凄くアウェイでした!」
「こういう場は初めてか?」
「はい!なかなか知ってる人がいないですし先輩は忙しそうでしたしどうしようかと」
ダンスにも三回誘われたが踊れないので全て断った秋野
「街に降りて楽しめば良かったのに」
「一度でいいからこういう場に来てみたかったんですよ!!!」
乙女としては一度でいいから城でダンスを踊ることに憧れていた
とりあえずで薄いピンクのドレスを着て
まず踊れないことを冷静になってから気付いた秋野
さすがに秋野にリタと同等を望むのは酷だろう
「ふ~ん…彗じゃなくて悪いが…踊るか!!?」
「へ!?いや踊れないですよ!!」
「大丈夫だ!!!心配するな!!!」
飛影に半ば強制的に手を取られホールの中心まで移動する
その瞬間に秋野が感じたのは視線である
「メッチャ見られてますって!」
「気にすんな!!!いつものことだ」
基本的に飛影は注目を浴びる
エリアやリタやコレットの時も同じくらいに注目されていたが場馴れしているか神の精神力をもってすれば関係無い
しかし秋野には両方ない
ガチガチに固まった秋野
「はぁ…」
飛影が溜め息を吐き軽く眼を閉じる
眼を開けた瞬間にガチガチに固まった秋野と踊り始める
「え…わ!!!」
慌てている秋野
自分の意思では動いていない
身体が勝手に踊り始めた
理由は簡単である
飛影はガチガチに固まった秋野を反射で動かしているだけである
例えば飛影が押せば秋野は反射的にそれに抗おうと前へと重心を持っていく
それを前進につかい
逆に右に態勢を崩させれば左に寄る
それを利用して左に移動させる
やっていることは単純である
しかしそれを踊りにするのは複雑すぎる
最初は足が少しついていかないが次第に身体が覚え始める
「はい!オッケイそのままの感覚で」
「ふわ~私踊れてます」
まだまだぎこちなさはあるが形にはなっていた
そして一曲が終わる
「さて…」
飛影は一度手を離す
「踊っていただけますか?」
その場で膝をつき片手を差し伸べる
「安倍川先輩じゃなくて残念ですけどね」
軽口を叩けるくらいには緊張が溶ける
飛影の手を握る
「喜んで」
再び踊り始める
ゆっくりと揺れるだけだが飛影が時々フェイントを入れるので秋野は気を抜けない
「彗をダンスに誘えばいいのに」
「絶対無理です!!不可能です!」
「残念…」
飛影の溜め息と同時に曲が終わる
と同時に飛影はその場で跳躍する
周囲を見渡しながら踊る余裕があった飛影は声をかけてきそうな人物を2人程見つけてそれから逃げるためである
着地先は新人の侍女の目の前
つまりレインの目の前である
「ひゃ!!!」
いきなり人が降ってきたことに驚くレイン
「レイン…一曲どうだ?」
そしてそれが魔王であると理解
名前を呼ばれたことを認識
ダンスに誘われたことを知覚
「はへぶゎ!!!」
緊張しすぎでその場で卒倒する
「あははは!!ここまでくると面白い!!!!」
気絶したレインを見て大爆笑の飛影
かなり気に入った証拠でコレット達などの飛影のことを知っている人物達はこれからのレインに同情していた
「んじゃあセリエ!!俺は街に行くぞ~」
秋野がリタと合流してエリアもいることを確認した飛影
そろそろ街で遊びたい
そう考えた飛影を止める者はいない
「よっ…と」
吸血鬼の翼を生やし夕陽が沈みつつある街へと飛翔する
今回は帰還パーティーの城編で次話が街編です
というか長くなりすぎた感が……
ちなみに飛影君は自由人です
それと遊びという遊びは椿と遊びつくしました
ダンスも中に入ります




